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建築/建設業界の労災事例

本サイトで紹介している労災事例は、実際にあった労災事故を掲載しておりますが、当協会によせられた労災事例ではありません。予めご了承ください。

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一人親方あんしん労災 – 土地掘削箇所が崩壊し床ならし中に生き埋め

一人親方あんしん労災 – 崩壊、倒壊の労災事例

土地掘削箇所が崩壊し床ならし中に生き埋め


発生状況

本件労働災害はヒューム管設置工事で土地を、ドラグ・ショベルで掘削し溝を作り中で床ならしの作業中に、地山が崩れて生き埋めになったものである。

作業内容は汚水管と雨水管の設置で、土壌を掘るにつれ、土の置き場が足りなくなった。工事を始めて4日目に下請けの独断で雨水管の敷設を優先して進め、汚水管の工事は後で着手することにしたが、元請けはこれを注意した。しかしその後、掘削した土の置き場がなく、雨水管の溝を埋めなければ計画通りに進められない状態を考慮し、汚水管の設置を行うときには土留支保工を備えること、また汚水管と雨水管の間に60㎝以上の地山を残すことを義務付けて作業方法の変更を許可した。しかしそれにより追加で必要となった費用は認められなかった。

災害発生時、2時間前までに掘削した部分にはシートパイルでトンボ式土留支保工を設置していたが、それ以後に掘削した箇所は土留支保工を設置していなかった。崩壊箇所は2日前に埋め戻された雨水管側で、被災者がいた溝は深さ3.5m、幅1.2mであった。またドラグ・ショベルを運転していた作業員の一人は、災害直前に溝の約1.5m先に溝と平行に4mほどの亀裂があることを確認していた。

原因・対策

本災害の原因として、作業計画が立てられていなかったこと、土留支保工の費用を確保せず、設置しないまま作業したことが挙げられる。また、ドラグ・ショベルが埋め戻された土で稼働し土圧、振動が加えられたこと、着工前に現場周辺の土地を点検しなかったことも起因している。

対策として作業計画を必ず立て、深さ2m以上の溝で作業する際は土留支保工を設置する、また作業前に土地を点検することなどが挙げられる。さらに元請けは災害防止に必要な費用を確保し、下請けに対する安全対策の指導を徹底するほか、計画作成の段階で安全面の審査を行う体制を整えることも重要である。


一人親方あんしん労災 – 河川堤防の法面で作業中に路肩が崩れ、バックホウが落下し、作業者が下敷きに

一人親方あんしん労災 – 激突されの労災事例

河川堤防の法面で作業中に路肩が崩れ、バックホウが落下し作業者が下敷きに


発生状況

本件労働災害は、河川の堤防法面の工事中に路肩が崩れ、バックホウ(ドラグ・ショベル)が落下して法面で作業をしていた作業員が下敷きになったものである。

事故発生の当日はバックホウの運転者1人と、作業員3人の合計4人で作業をしていた。天端止の型わくを組む作業が120分ほどで終ったので、次に法面上の小口止め、隔壁、天端止の順でコンクリートの打ち込み作業に入った。その際、運転者がバックホウを運転し、他3人の作業者はホッパーを開いたり、スコップでコンクリートを収める作業をしていた。それらの作業は順調に終わらせることができたため、運転手がバックホウを重機置き場に戻そうと運転を再開した際に、道の路肩が崩れ、バックホウが転げ落ちた。落ちたバックホウは、コンクリートをならしていた作業員1人を下敷きにしたが、運転手は回避して運転席から飛び出したため重傷を負った。

この災害発生の前日は大雨が降っており、地質は非常に弱い状態であった。さらに道路上にコンクリートブロックが積み置きされていたために、バックホウは路肩沿いを走らざるを得ない状況だった。

原因・対策

本件労災は、バックホウが移動する道で路肩が崩れる対策が行われていなかったこと、コンクリートブロックを積み置きしていたために路肩ぎりぎりを移動しなくてはならない状況だったこと、雨の影響を考慮した地盤の点検を怠ったことが原因で起きた災害である。

このような事故の対策は、路肩が崩れることを想定した上で適切な処置を道に施し、バックホウが走行するためにコンクリートブロックを置く位置に配慮することが大切である。さらに、地盤の点検を随時行うことでこのような災害を防いでいくこともできる。


一人親方あんしん労災 – 床下でディスクグラインダーで作業中に感電事故

一人親方あんしん労災 – 感電の労災事例

床下でディスクグラインダーを使って作業中に感電事故


発生状況

本件労働災害は、被災者が排水設備工事のために床下に入り排水管を新たに設置する作業をする際に、パイプを切断するため持っていたディスクグラインダーが漏電したことによって発生したものである。

床下は湿度が高く感電しやすい場所であり、さらに災害当時は気温が高く、被災者は汗をかいていたことにより皮膚抵抗が低い状態であった。しかし、当住宅の配線には漏電遮断器が設置されておらず、ディスクグラインダーに付属するアース線も使用していなかった。被災者はこの状態で電源を家から延長コードで引き、感電した。その後別の住宅で業務に当たっていた事業主が戻って床上から話しかけたが、返事がなかったので床下の様子を確認したときに発見された。

災害後の調査によると、グラインダーのスイッチは入っていなかったものの、固定子巻線に付いている絶縁被覆に損傷が認められ、むきだしの心線が金属の外枠に接触していた。これにより地面と外枠の間で電圧が生じ、グラインダーを持っていた被災者は感電した。

原因・対策

本件労災は、漏電遮断器が設置されていなかったこと、ディスクグラインダーに付属するアース線を使用しなかったこと、ディスクグラインダーの点検を行わなかったことなどに起因する。

このような事故の対策として延長コードの代わりに遮断機能付きコードリールを使う、作業場所にゴム板を敷くことが挙げられる。また工具使用の際は付属のアース線を必ず接続し、定期的な点検、試験等を行う必要がある。


一人親方あんしん労災 – マンション建設中に梁から落下

一人親方あんしん労災 – 墜落、転落の労災事例

マンション建設中に梁から落下


発生状況

建設は民間工事によるもので、鉄骨を組み立てる作業は下請けによって行われており、被災者もそこに所属していた。被災者は当時、本来各階に敷かなければならないはずのキーストンプレートを各階の1箇所にまとめて置く仮置き状態にしてしまっていた。

その後は屋上に突き出した塔屋、ならびに6階のボルトを本締めする作業をすることになっていた。作業を始めてから1時間が経過し、被災者は鋼材の継手部分に使用する重さ約1.5kgのジョイントプレートを5枚持ち、H形鋼の上を渡っている途中で高さ27mから落下した。

災害当時の天候は晴れており、風もなかった。被災者を含めた作業員の多くは安全帯を装着していたものの使用しておらず、高所での作業に必要不可欠な安全ネットも張られていなかった。

原因・対策

本件労災原因は、通常安全対策のネットを張る必要があるにもかかわらず、今回の災害現場では張られていなかったことや、親綱につけて使用する安全帯を使用していなかったことなどが挙げられる。さらに作業中に落下を防ぐための物理的な準備がなされていなかったことや、落下を防ぐための作業計画が十分に練られていなかったことも、本件災害の原因である。

対策として、ネット、親綱といった設備を確実に準備しておくことに加え、より具体的に作業内容とその順序を確かめ、業務中に落下することのないよう全体で共有する必要がある。またつり足場等の設置計画は設計の段階で行い、アームジョイント等の設備を鉄骨加工工場であらかじめ装備することや、作業主任者による作業管理の徹底、さらに下請けに対し元請けの技術面での適切な指導が必要である。


一人親方あんしん労災 – 溶接作業中に焼酎製造メーカーのタンクが爆発

一人親方あんしん労災 – 爆発の労災事例

溶接作業中に焼酎メーカーのタンクが爆発


発生状況

本件労働災害は、ある焼酎メーカーが貯蔵タンクを断熱材で囲む工事を、建設会社に3週間の期間で行うように発注。その工事中に溶接中にタンクが爆発し、1名が火傷を負ったものである。

事前に外部足場の設置は終了していたため、事故発生当日は断熱材取り付け用のブラケットをタンクの周囲に溶接する作業を行なった。このタンクにはアルコール濃度44%の原酒が大量に入っていたが、作業者はそのことを知らない状態だった。ブラケットは6本をつなぎ合わせることで一段分となり今回は9段設置することになっていた。

当日、元請け会社の現場責任者は別件で現場にはおらず、下請け会社の作業員4名に指示を残していた。 1人がアーク溶接をし、他の3名がそのサポートを行う形で溶接作業を開始した。3段目の溶接に取り掛かり、最上段の3本目を溶接していた際に、タンクが破裂し、爆風により1名が火傷を負った。破裂した箇所が偶然にも逆側だったため、被害者が少なかったが、死者が出てもおかしくない事例である。

原因・対策

本件労働災害は、焼酎製造メーカーにタンクを空にするように指摘していたにも関わらず、その作業を怠ったこと、作業者が作業開始時にタンクの中身を確認していなかったことが原因で起きた災害である。また、確認を怠ったせいでエチルアルコールが入っているにも関わらず、アーク溶接を行ったことで爆発に繋がった。

このような災害の対策は、アルコールなどの危険物を取扱う際は爆発火災の危険をなくしてから作業を開始すること。さらに発注者と作業者の連絡を密に行うことが重要である。

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