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建築/建設業界の労災事例

本サイトで紹介している労災事例は、実際にあった労災事故を掲載しておりますが、当協会によせられた労災事例ではありません。予めご了承ください。

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一人親方あんしん労災 – ドラグ・ショベルをトラックから降ろす作業中にドラグ・ショベルが転倒

一人親方あんしん労災 – 墜落・転落の労災事例

ドラグ・ショベルをトラックから降ろす作業中にドラグ・ショベルが転倒


発生状況

本件労働災害は、防護柵設置工事の現場にて、トラックの荷台に積まれたドラグ・ショベルを降ろす作業中に、ドラグ・ショベル本体が転落し、運転手が下敷きになった事案である。

災害発生当日は、防護柵設置工事初日であったが、積雪があったので作業は中止し、元請けの現場責任者とのブリーフィングだけ行われた。翌日から作業開始が決まったので、それぞれ必要な箇所の話を聞いてきたが、トラックで運搬してきた運転手は、荷台のドラグ・ショベルを降ろす作業をひとりで行っていた。

工事現場の入り口は上り坂で、トラックを坂の途中で止めてアウトリガで荷台に傾斜を作り、ドラグ・ショベルを降ろし始めた。まずは荷台からアームを伸ばして地面を捉え、押し付けながら前進。クローラーが地面に付いた時点で180度旋回し、そこからトラックにバケットを押し当てようとしたところ、滑って転倒。そのままトラックから落ちて運転手が下敷きとなった。

被災者である運転手は技能講習を修了しており、普段から災害発生時と同じ方法でドラグ・ショベルを積み降ろししていた。

原因・対策

本件労働災害は、ドラグ・ショベル降下の際に道板をしようするなど、安全対策を怠ったことに加え、単独作業であったことと、積雪に寄る滑走の危険があることへの対策不足が挙げられる。さらに、トラックを停止させた位置が、上り坂であったために荷台の傾斜が必要以上についていたことも考えられる。

このような事故の対策として、重機の積み降ろしは平坦な場所で行うことと、単独作業をせず作業指導者の指揮のもとで行うことが挙げられる。道板をしようするさいは、道板の強度や長さなどが適切なものを使用することも考慮する必要がある。


一人親方あんしん労災 – 雨水管の設置工事中に掘削溝崩壊で木矢板と挟まる

一人親方あんしん労災 – 崩壊、倒壊の労災事例

雨水管の設置工事中に掘削溝崩壊で木矢板と挟まる


発生状況

本件労働災害は雨水管を設置するため、長さ100m・幅95㎝・深さ2.2mに掘削された溝に入り、土砂崩れ防止のため支保工を設置する際に発生したものである。

工事は、ドラグ・ショベルで溝を掘る、支保工を立てる、雨水道管を埋めるという業務を並行して行うことになっており、被災者は支保工を設置する作業の中でも、矢板を掘削溝の側面に建て込むという役割を担当していた。建て込み開始からおよそ30分後、突然溝の左側が隆起したため一度支保工を取り外すことになった。そのあと溝に溜まった水を汲み取ると再び支保工の設置を行なったが、しばらくすると左の土壁が3㎥ほど崩れた。この時被災者は矢板を立てていたため、流れ込んだ土と矢板の間に挟まれてしまった。

その後の現場調査で、切梁の片側と腹起しとが固定できていない箇所があったことを確認した。また今回扱った地山には粘土が含まれており、溝の下部は隣を走る道路からの水で常に濡れている状態だったことがわかった。

原因・対策

本件労災は、土壁が隆起したにも関わらず建て込みを中止しなかったこと、切梁と腹起しをしっかりと設置できていなかったことなどが原因として挙げられる。また、現場の安全を管理し適切な指示を出す主任者がいなかったことも起因する。

このような災害の対策として、現場の地質を必ず確認し現場に合った作業方法をとる必要がある。また、作業をするときには必ず主任者を選任し、主任者の指示に従うことが重要である。


一人親方あんしん労災 – 後進する積載形トラッククレーンにひかれる

一人親方あんしん労災 – はさまれ、巻き込まれの労災事例

後進する積載形トラッククレーンにひかれる


発生状況

本件労働災害は、建設用部材を積んだ積載形トラッククレーンによって、後方を歩く作業員がひかれたものである。トラッククレーンの運転手は荷物を積んだ後、バックするため障害物の有無を車両の後方まで歩いて確認した。その後安全だと判断した運転手は、はじめはバックミラーで後ろを見ながら運転し、そのあと右の車窓から顔を出し後ろの状況を確認しながらバックした。しかし数秒後、6mほど移動したところで衝撃を感じたため車両を降りて確認したところ、被災者が車両の左側後輪にひかれていることを確認した。

その後の調査で、今回使用した積載形トラッククレーンは、バックミラーで後方を確認した場合12㎡ほどの死角があることがわかった。さらにこの車両にはバック時に作動するアラームが設置されていたが、災害時は故障により作動していなかったことがわかった。また、今回の作業は指揮者を決めずに行われ、作業計画も特に定めていなかった。

原因・対策

本件労災の原因は、アラームが故障した積載形トラッククレーンを使用していたことと、バックするときに誰も誘導者がいなかったことが挙げられる。また、作業指揮者を選任せず、作業計画を立てていなかったことにも起因する。

このような災害を防ぐため、使用する建設機械は作業を開始する前に必ず点検し、積載形トラッククレーンでバックするときは、誘導者を置くといった対策が必要である。さらに作業現場には指揮者を配置し、作業場の広さや部材の位置などを反映させた具体的な作業計画を立てることが重要である。


一人親方あんしん労災 – スレート屋根を踏み抜き墜落

一人親方あんしん労災 – 墜落の労災事例

スレート屋根を踏み抜き墜落


発生状況

本件労働災害は工場の屋根葺き替え工事中に、作業員が踏み抜いて約7m下の工場の床へ墜落したものである。

災害当日は元請現場管理者のほかに、葺き替え作業員が3名、防網を張るための鳶が2名、クレーンの操縦者が現場入りしていた。

まず鳶が防網を張る作業をして、そのあと吹き替え作業員が作業をする予定になっていたが、防網を張る作業に時間がかかっていたため、作業員3名はまず下準備を開始した。幅の狭い歩み板が8枚準備されていたので、2枚は物資仮置き用に、残り6枚を歩み板に使用するために施工箇所へ設置していった。

鳶の作業が途中まで終わり、防網が張られた箇所から葺き替え作業を開始した。しかし防網は元請現場管理者の指示の下で、葺き替え作業する箇所周辺の一部にしか張られていなかった。歩み板も6枚と現場の規模にしては不足していた。作業員たちはそのまま葺き替え作業をしていたが、葺き替え作業員2名がスレートが割れる音を聞いたため、もう1名の作業員を探しに行くとスレートを踏み抜いて工場の床に墜落していた。

葺き替え作業員たちは安全帯の装着はしていたものの、それを使用する設備が現場にはなかった。

原因・対策

本件労災は、スレートなど踏み抜きの可能性がある屋根の葺き替えにも関わらず、歩み板の枚数が不足した上、幅も狭いものだった。また安全帯の親綱などの設備の準備を怠ったことに起因している。

このような災害は、作業箇所全体に耐久性のある防網を設置することと、幅も数も充分な歩み板を準備することで対策がとれる。さらに、安全帯が的確に使用できるようにし、墜落防止措置を充分にとることである。


一人親方あんしん労災 – 高所作業車で作業中に梁とバケットに挟まれる

一人親方あんしん労災 – 激突の労災事例

高所作業車で作業中に梁とバケットに挟まれる


発生状況

本件労働災害は、梁のメンテナンス作業をするために、高所作業車のバケットに乗っていた作業員が、梁とバケットに挟まれた事案である。

災害現場は倉庫の新設工事中で、建方が作業を終えたあとに梁の防腐処理作業を行っていた。事故当時は4名が仕事に従事していたが、そのうち1名は現場代理人との打ち合わせののち、事務所に引き上げていた。
残った3名は作業方法などを一任され、新規入場者講習を受講したあとに作業を始めた。被災者以外の2名は建屋の2階部分にあがり、上から防腐処理剤を塗っていた。被災者のみ高所作業車のバケットにのり、梁の下部分を担当していた。

被災者はバケットに乗って、梁の下40cmほどのところを維持しながら高所作業車を後ろ向きに走行させていたが、車体が地面のくぼみにはいったため、高所作業車が傾いた分バケットの角度が急激に上がり梁と激突。被災者が挟まれた。

現場の3名のうち、被災者のみが高所作業車の操縦方法を知っていたが、講習等を受けたわけではなく、リース会社からレクチャーを受けただけだった。

原因・対策

本件労災は、被災者が単独でバケットに乗ったまま操縦走行をしていたので、地面の状態を確認できなかったことと、操縦・走行に関するスキルが不足していたこと。さらに現場において高所作業方法の策定がされていなかったことに起因する。

このような災害には、平坦でない場所で走行・操縦するときは、誘導者を専任し問題がないかどうか確認をしながら進めることと、合図を取り決めて意思疎通を容易にしておくことが重要である。さらに予め安全な作業手順などを策定し、それを遵守することも大切である。
また、バケットの高さが10m以上になる場合は「高所作業者運転技能講習修了者」、10m未満の場合には「特別教育修了者」に作業をさせることも肝要である。

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