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建築/建設業界の労災事例

本サイトで紹介している労災事例は、実際にあった労災事故を掲載しておりますが、当協会によせられた労災事例ではありません。予めご了承ください。

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一人親方あんしん労災 – バックホウの運転中、アームが橋桁に激突

一人親方あんしん労災 – 激突の労災事例

バックホウの運転中、アームが橋桁に激突


発生状況

本件労働災害は、バックホウ(ドラグ・ショベル)を運転していた際、バックホウが橋桁に激突したものである。

災害発生当日、被災者は高速道路舗装工事の作業が終わったので、バックホウを運転し約700メートル離れた次の作業場まで移動をしていた。現場から約370メートル進んだ地点に高さ5.7mのコンクリート製高架橋があり、被災者はその橋をくぐろうと試みた。しかし、バックホウのアームが十分に下がってなかったため橋桁に激突し、その衝撃で被災者は運転席のハンドルに強打されたものである。

アームの折れ具合から、事故発生時のバックホウの走行速度は時速34キロだったことが推測され、現場には時速30キロの速度標識が設置されていた。

原因・対策

本件労災は、バックホウのアームを下げず、速度標識に記された数値よりも速い状態で走行したことが原因で起きた災害である。高架橋の高さは5.7メートルであったにも関わらず、バックホウの高さは5.8メートルで、ほぼ最高にアームを上げた状態で走行していた。

このような事故を防ぐためには、バックホウを走行する際にアームを安全な高さまで下ろし、速度規制を徹底して守ること。また、高架橋のような障害物がある場所には、接触防止のために一時停止や徐行運転などの注意を促す表示を設置し、車両を走行する作業者への安全教育を随時実施することが大切である。


一人親方あんしん労災 – 汚水管敷設工事で掘削溝が崩壊し生き埋め

一人親方あんしん労災 – 崩壊、倒壊の労災事例

汚水管敷設工事で掘削溝が崩壊し生き埋め


発生状況

本件労働災害は、マンホールを含めた汚水管を設置するために掘削した溝が崩壊し、生き埋めになったものである。

災害発生の前日までに汚水管、マンホールの設置は完了していたので、当日は掘削された深さ2.1mの溝を4人で埋め戻し、他の3人が土留め支保工を取り外すことになっていた。被災者は支保工の解体を担当していた。

作業手順は区画ごとに支保工を外し、埋戻し土砂をいれタンパで均すということを繰り返すものだった。2区画まで作業が済み、3区画目もすべての支保工が外されたので、埋め戻しに必要な土砂がダンプカーで運ばれてくるのを待っていた。しかしダンプがなかなか来なかったので、被災者は先に埋め戻しがされていない次の区画の支保工を取り外す作業を行ってしまった。作業開始から30分後、終わりから3つ目の支保工を外したときに周囲の土砂が崩れ、被災者は生き埋めとなった。被災者は雇われてから5日目の新人で、業務に慣れておらず、安全衛生に関する知識も乏しかった。

原因・対策

本件労災は、被災者が本来の手順通りに作業せずに、土留め支保工を取り外してしまったことに起因している。また、雇用してすぐの新人に安全対策に関する指導をしっかりと行わなかったことも原因として挙げられる。

このような災害の対策として、土止めの支保工の切りばりや腹おこしの解体を行うとき、また作業する溝の深さが2m以上であるときには、それぞれ主任者を決めて臨機応変に指示を出す必要がある。また事前の調査で少しでも土砂の崩壊が考えられるとわかった場合は、必ず土留め支保工の取り付けを徹底し、それらを含めた適切な作業計画書を作成し実行することが重要である。


一人親方あんしん労災 – ボーズと鋼矢板の間に挟まれる

一人親方あんしん労災 – はさまれ、巻き込まれの労災事例

ボーズと鋼矢板の間に挟まれる


発生状況

本件労働災害は、クローラクレーンにボーズを取り付け多滑車引き抜き工法で鋼矢板を引き抜き作業中に、接地していたボーズが鋼矢板側に滑り、手元作業員が鋼矢板とボーズの間に挟まれた事案である。

鋼矢板の引き抜きは3次下請けが行っており、現場責任者が重機を操縦するほか、ボーズの手元作業員が1名の合計2名で行われていた。杭抜き作業はボーズを支点にした多滑車引抜工法を採用していて、手元作業員は鋼矢板についている泥や土をスコップで落とす作業とくい抜き用のチャックの装着作業などに従事していた。作業手順は、地面に敷かれた鋼矢板の上にボーズを接地させチャックを鋼矢板に装着し、多滑車引抜工法で途中まで引き抜きたのちに、次の作業にうつるというものである。

災害発生当時、先に抜かれた鋼矢板の上にボーズを接地させ次の矢板の作業にうつる際に、ジブを旋回させた勢いでボーズが滑り鋼矢板と激突し、間にいた手元作業員が挟まれた。当日作業は作業手順書が策定されていたが、記載されていた誘導者はいなかった。

原因・対策

本件労災は、滑りやすい状態でボーズを使用したことに加え、ボーズを使用するときの立ち入り禁止区域の設定をしていなかったことと、策定されていた手順書通りに作業が行われなかったことに起因する。

このような災害の対策としては、ボーズを使用するときは安定した場所で使用することと、策定した点順を周知徹底すること。さらにボーズを使用する範囲で立ち入り禁止区域を取り決めておくことなどである。


一人親方あんしん労災 – 4階建倉庫の組み立て作業中、作業者がタラップから転落

一人親方あんしん労災 – 墜落、転落の労災事例

4階建倉庫の組み立て作業中、作業者がタラップから転落


発生状況

本件労働災害は、4階建鉄骨倉庫の組み立て作業中、鉄骨を設置するためのボルトを3階から2階に取りに行く際に、作業者1人がタラップから転落したものである。

災害発生当日、元請け会社の現場代理人は留守であり、孫請け会社の作業者5人とクレーン運転手の合計6人で、アングルを柱に取り付ける作業を行なっていた。作業開始前に作業者6人で作業に関するミーティングは行っていた。被災者は3階部分で作業を行なっていた際に、アングルを締めるためのボルトが足りなくなってしまったため、2階まで取りに行こうとした。移動に使用した金属製昇降用タラップは、水滴がついていたため滑りやすくなっていたが、被災者は気づかずに足をかけた。その際に、足を滑らせて7m下まで転落したものである。タラップはハシゴのような形状のもので、各階部分を結ぶために番線で梁に固定されていた。

原因・対策

本件労災は、作業を行う上で必要になるボルトがあらかじめ所定の場所に準備されていなかったことと、昇降用のタラップが水滴によって滑りやすい状況であったことが原因で起きた災害である。

このような事故の対策として、使用する材料は必ず作業開始前に必要な数を準備しておくこと、作業中に極力梁上を移動することがないように効率的な計画を立てること、安全な状態の昇降設備を利用することがとても大切である。


一人親方あんしん労災 – はぶ塗装中の安全対策不備による落下事故

一人親方あんしん労災 – 墜落、転落の労災事例

はぶ塗装中の安全対策不備による落下事故


発生状況

本件労働災害は、はぶを塗り替えるため布板と脚立を用いて庇に登り、滑って落下したものである。

工事は被災者の所属する下請けと、作業の指示を行う元請けによって進められていた。災害発生2日前、元請け業者数人は現場の視察を行い、家屋の庇に登る際には安全確保のため足場が必要であると判断した。したがって下請けには単管足場の準備をしてから塗り替えを開始するよう報告していた。

しかし災害発生当日までの間、予定通りに工事が進んでおらず、このままのペースでは完工予定日を過ぎてしまう可能性があった。そこで元請けに所属する1人が、時間短縮のため被災者に対し布板と脚立で庇に登れるのではないかと提案した。それに納得した被災者は脚立に布板を架け、庇に渡ってはぶの塗り替えを行なったが、半分ほど塗り終えたところで滑ってしまい1.9m下の地面に落下した。その際、被災者はヘルメットの顎紐を締めず、また安全帯も着けていなかった。

原因・対策

本件労災の原因は、元請けに指示されたにも関わらず下請けの1人による独断で単管足場を用意しなかったこと、また被災者が危険性を顧みずに提案を受け入れ実行してしまったことが挙げられる。

このような災害の対策として、はぶの塗り替えをする場合など高い場所では必ず転落を防ぐ構造を持った安全性の高い足場を用意することと、下請けは基本的に元請けの指示に従い、無断で別の方法を取らないということが挙げられる。他にも、工事中はヘルメット、安全帯を適切な方法で身につけることが重要である。

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