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建築/建設業界の労災事例

本サイトで紹介している労災事例は、実際にあった労災事故を掲載しておりますが、当協会によせられた労災事例ではありません。予めご了承ください。

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一人親方あんしん労災 – 路面切削機の切削ドラムに巻き込まれる

一人親方あんしん労災 – はさまれ、巻き込まれの労災事例

路面切削機の切削ドラムに巻き込まれる


発生状況

本件労働災害は、テニスコートのラバー改修工事おいて、使用した路面切削機のカッターに作業員が巻き込まれたものである。

事故発生日に使用された路面切削機は、運転席のほかにリモートコントロールによって操作することができる。本工事では作業者は切削状況を確認しながら、路面切削機と一緒に歩く形で作業を行っていた。約5メートル進んだあたりで、切削したラバーがドラムに絡みついたため、作業者は一度機械を停止し、安全カバーを外して素手でラバーを除去した。そして工事を再開したが、安全カバーは外された状態のままだった。その後、約35センチのラバー片がドラムから飛び出してきたため、作業者は足で押さえつけてラバーを除去しようとした。その瞬間、ラバーが作業者の足に引っかかり、ドラムがラバーを巻き込み始めたため、作業者もドラムに巻き込まれ、被災した。

原因・対策

本件労災は、安全カバーを一度外して、そのまま外した状態で作業を続けたこと、ドラムから飛び出してきたラバー片を不用意に足で踏みつけたことが原因で起きた災害である。

このような事故の対処法としては、ドラムに巻き込まれたものを除去する際には必ず機械を停止させ、手工具などを使用すること。また安全カバーを取り外して修理を行い、作業を再開する際には必ず安全カバーをつけ直し、安全対策を万全にすることが大切である。以上のことなどをまとめた、作業標準を作成し、安全教育を行う必要がある。


一人親方あんしん労災 – アース・オーガーの解体作業中、スクリューの下敷きに

一人親方あんしん労災 – 激突されの労災事例

アース・オーガーの解体作業中、スクリューの下敷きに


発生状況

本件労働災害は、アース・オーガーの解体作業中に作業者1人がスクリューの下敷きとなったものである。

解体したアース・オーガーは総重量が80トン以上あり、リーダーの高さは24mのものだった。解体作業は、責任者を含め5人で行なっており、被災者は笛を拭くことで運転手に合図を出す役割を担っていた。

運転手は下部スクリューを巻き上げてから、地面に横たわらせるために上部の旋回体を30度回転させた。その後、つり上げているワイヤを伸ばしていくことで、地面に横たわらせる作業を行なっていた。作業中はリーダーが邪魔をして、運転手から被災者を目視できない状況だった。しかし、合図である笛の音が聞こえたため、自由降下でスクリューを降下させていった。スクリューの上部が地面に着く直前、被災者の叫び声が聞こえたため、運転手は作業を止めて運転席から身を乗り出して確認すると、被災者がスクリューの下敷きになっていることを目撃した。

原因・対策

本件労災は、被災者が危険箇所に立ち入り、さらに運転手の死角で作業していたことに起因する。また運転手が、速度のコントロールが難しい自由降下で重量物を降下させたことや、作業責任者の指示が不十分だったことも原因で起きた災害である。

このような事故の対処法として、危険箇所への立ち入り禁止を徹底し、作業状況に応じた適切な合図が行えるように措置をすることや、狭い場所での降下作業は動力によって行うことである。また、作業責任者は事前に作業手順や作業員の配置を吟味することが大切である。


一人親方あんしん労災 – ドラグ・ショベルのブーム誤作動でバケットと衝突する

一人親方あんしん労災 – 激突されの労災事例

ドラグ・ショベルのブーム誤作動でバケットと衝突する


発生状況

本件労働災害はコンクリート製の消波ブロックをドラグ・ショベルで設置する際に発生したものである。

作業手順は、消波ブロックを業者から15㎞離れた作業場所までトラックで運搬する→ドラグ・ショベルのバケットリンクにワイヤーを巻きつける→シャックルで固定し消波ブロックをつり上げトラックから降ろす→荷降ろし終了後、ブロックの定位置まで同様の方法でもう一度つり上げる、というものである。

災害は最後の手順を行なう際に発生した。被災者は玉掛け作業のためバケットの真下で作業を開始していたが、その最中にドラグ・ショベルの運転者は座席の後ろにタバコが落ちていることに気づいた。そこで席を立とうとしたところ、運転者の右膝がブームを動かすレバーに接触した。これによりドラグ・ショベルのブームが下がってしまったため、結果として被災者は降下するバケットと激しく衝突した上、ブロックとバケットに体を挟まれてしまった。また運転者がタバコに気づき席を立った時、作業装置にロックはかけていなかった。

原因・対策

本件労災は、消波ブロックの吊り上げ作業を掘削が主な用途であるドラグ・ショベルで実行したことや、被災者が作業をバケットのすぐ下で行なったことに起因している。またドラグ・ショベルの運転者が作業に不要なタバコを拾うため座席の後部に立ち入ったこと、さらにこのとき誤作動を防止する作業装置のロックをかけなかったことも原因としてあげられる。

このような災害の対策として、重機での作業はその用途に合わせて使い分けること、作業者は機械の作業装置になるべく近づかないようにすることが挙げられる。さらに機械の運転者は、席を立つ前にあらかじめバケットを地面まで降下させたり、作業装置にロックをかけたりすることも重要である。


一人親方あんしん労災 – 災害防止内容を無視し、掘削溝が崩れ生き埋めに

一人親方あんしん労災 – 崩壊、倒壊の労災事例

災害防止内容を無視し、掘削溝が崩れ生き埋めに


発生状況

本件労働災害は、排水管の埋設工事中に掘削溝で作業を行なっていた作業員が、周りの地山の崩壊で生き埋めになったものである。

現場は人工島であり、さらに3日前に雨が降ったので地盤が比較的緩い状態だった。排水管の埋設工事は元請会社とその下請け会社、さらに孫請け会社の合計3社で行なっていた。

災害は工事開始から4日目に発生した。作業主任者は元請会社の者が任されており、孫請け会社の作業員3人が、作業を行なっていた。一人がバックホウ(ドラグ・ショベル)を操縦し、掘削作業を行なっていたが、両脇に木と芝生が植えられていたため、勾配を十分に確保できなかった。なお、発注者からの施工計画書には、労災防止に関する内容が正確に記述されていたにも関わらず、作業主任者は作業員に、木や芝生は傷つけないように程度の説明しかしていなかった。そのため土止め支保工などは行われていなかった。

掘削作業と同時に、作業員2人でヒューム管の裾付け作業を行なっていた。作業が進み、7本目のヒューム管を取り付けるためのバックホウで掘削を始めた際に、11立方メートルもの地山が倒壊した。作業員の1人は逃げ切れたものの、もう一人が取り残され、生き埋めになった。事故発生時、作業主任者は現場を離れていた。

原因・対策

本件労災は、地盤が十分に強固でなかったため、地山が崩壊することは予測できたにも関わらず、施工計画書に記載された土止め支保工の設置や、上下作業の禁止などの記載を作業主任者が把握していなかった。そのため、作業員への指示が不十分となり、垂直勾配で掘削してしまったことが原因で起きた災害である。

このような事故の対処法としては、施工計画書の計画を確実に守り、元請会社から下請会社への技術上の指導をしっかりと行うことが大切である。また、作業主任者は現場を常に監督し、作業員の安全を守ることが重要である。


一人親方あんしん労災 – ビル建設中に型枠が倒れ墜落する

一人親方あんしん労災 – 崩壊、倒壊の労災事例

ビル建設中に型枠が倒れ墜落する


発生状況

本件労働災害は、鉄骨および鉄筋を用いるコンクリート製のビル建設中に発生。被災者らはガス圧接継手の抜取検査を行おうとしていたが、検査のため2名が梁用型枠支保工に乗り、数分後型枠が倒れ墜落したものである。

梁型枠側板の内側には、高さ70㎝、厚さ10㎜の合板に50㎝ほどの間隔で幅3㎝、厚さ3㎝の縦桟木を入れていたが、側板の中間部、上部には梁鉄筋を取り付けていたにも関わらず、型枠の間隔を一定に保つセパレーターや横座屈を防ぐ横繋ぎ材を設置していなかった。さらに災害発生時、型枠には作業構台の代わりとしてスラブに配置する鉄筋が置かれていた。型枠支保工に使われた配管サポートは構造、強度ともに構造規格に反していなかった。

被災者のいた現場では、毎日下請けに対し翌日の業務の確認を含めた安全工程に関する打ち合わせを必ず行い、月に1度は安全衛生について協議する場を設けていた。にもかかわらず、鉄筋配置の注意点について特別な指摘はなく、下請けの独断で作業が進められていた。

原因・対策

本労災事案の原因は、ビーム式型枠支保工が鉄筋の荷重に耐えられると判断してしまったことがあげられる。また、型枠の内側に添木を配置したために型枠が内側に押されてしまい、結果として爪の部分が離脱した可能性がある。つまり梁枠の側板の中間部と上部に補強のための対策がなされていなかったこと、鉄筋とビームとが垂直でなかったために負荷が不均等であったことなども起因している。

対策として梁用型枠は作業構台としての使用を避けることが重要であり、元請けは梁枠の積載荷重など下請けに対し詳細に説明する必要がある。

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