1. ホーム
  2. 労災事例

建築/建設業界の労災事例

本サイトで紹介している労災事例は、実際にあった労災事故を掲載しておりますが、当協会によせられた労災事例ではありません。予めご了承ください。

カテゴリー


一人親方あんしん労災 – 発電用大型ボイラーの補修作業中に、石炭灰が落下し作業員を直撃

一人親方あんしん労災 – 飛来、落下の労災事例

発電用大型ボイラーの補修作業中に、石炭灰が落下し作業員を直撃


発生状況

本件労働災害は、発電に使用する大型水管ボイラーの補修工事中に起きたものである。

当該ボイラーの火炉水壁管から蒸気漏洩が発生し、復旧工事を行うこととなった。その際に蒸気漏れ箇所の確認と、運転停止、強制冷却、足場組み、管の交換を3日に渡り行う予定だった。

蒸気漏れがバーナー下方で起きていたことが判明したので、大型ボイラーの強制冷却後、修繕箇所にあたるバーナーの下側に足場が組まれた。足場組みの前には、石炭灰の付着状況をバーナー付近ののぞき穴から確認したが、目視されなかったので作業は続行されていた。

しかし、ヘルメットを着用した2名が、ボイラー内部に入りバーナーの下方に組まれた足場で水壁管溶断抜管作業をしていたところ、バーナー付近でより目視されなかった部分に付着した、石炭灰が剥離・落下し2名を直撃した。

原因・対策

本件労働災害は、強制冷却によって石炭灰の剥離・落下がしやすい状態になったことと、石炭灰の付着状況の確認が不充分であったこと。さらに防網などの落下物への対策が不充分であったことが挙げられる。

このような労働災害については、石炭灰の付着状況を発注者、元請け、下請けなど、工事に関わる業者全体で、充分に確認をすることと、ヘルメットだけでなく防網などの落下に備えた防止措置を講じること。さらに石炭灰が剥離・落下しやすくなる強制冷却などの必要がないように、防止措置期間も含めて工期・工程を充分に検討することである。


一人親方あんしん労災 – ドラグ・ショベルのバケットに、掘削作業員が土壁との間に挟まれる

一人親方あんしん労災 – はさまれ、巻き込まれの労災事例

ドラグ・ショベルのバケットに、掘削作業員が土壁との間に挟まれる


発生状況

本件労働災害は、道路改修工事現場で、ドラグ・ショベルを使用し掘削中に発生した事故である。

工事の概要は、既設道路を1m拡幅し両端にU字溝を設置する工事で、災害発生当日は元請けの現場代理人と監督、下請けの2名、合計4名が関わっていた。手順としては、既設アスファルト舗装をドラグ・ショベルで掘削→既埋設の塩ビ管を目視したら手掘りに切り替える→掘削後砕石投入をしローラーで均す、というものだった。

当日は作業打ち合わせ後、元請け人員は業務で現場を留守にしていた。下請けの2名が作業に従事していた。片方がドラグ・ショベルを操縦して、既埋設の塩ビ管を確認したため、もう1名が溝に下り手掘りを開始した。その間、ドラグ・ショベル操縦者は一旦事務所へ離席したが、戻ったあと手掘り作業終了を見計らって再び、ドラグ・ショベルを可動させた。掘削面を均すためにドラグ・ショベルのバケットを振って戻したところ、手掘り作業をしていた作業員がバケットの向こう側で倒れこんでいたという事案である。

原因・対策

本件労働災害は、手掘り作業員の至近距離にドラグ・ショベルを止めたことで、結果的にドラグ・ショベルの作業半径内に人が立ち入ったことと、操縦者が手掘り作業終了の確認を怠ったこと、また人員と重機の混合作業にもかかわらず、監督要員や誘導員を配置してなかったことに起因する。

このような労働災害に対しては、作業現場の危険察知を日々徹底し安全教育を行うことと、人的作業を行う場所にドラグ・ショベルを放置しないこと、またはドラグ・ショベルの作業半径内に人を立ち入らせないこと。さらに現場を監督するものまたは誘導員を配置することである。


一人親方あんしん労災 – コンクリート打設中に、ポンプ車のブームが高圧電線に触れ感電

一人親方あんしん労災 – 感電の労災事例

コンクリート打設中に、ポンプ車のブームが高圧電線に触れ感電


発生状況

本労働災害は電気設備工事において、基礎部分にコンクリート打設を行う際に、ポンプ車のブームが高圧電線にあたり、操縦者が感電したものである。

本工事は工場内の電気設備を増設するもので、災害発生当日は型枠施工後のコンクリート打設作業中であった。コンクリートを流し込むためポンプ車を使用していたが、打設現場とポンプ車の間には鉄柱があり、上には高圧電線が張られていたため、ポンプ車自体を打設現場に寄せられず、全長11mほどのブームを伸ばしきって作業を行った。

打設準備と撤収の際は、ブームの移動を監視する作業員を地上に3人配置し、ブームが接触事故を起こさないように監視をしていた。順調にコンクリートの打設作業を完了し、ブームの撤収作業も監視の下で行われていたが、ポンプ車の操縦者が3段構造のブームの先端部分を折りたたもうとしたところ、急に上に上がってしまったため慌てて止めた。その際の反動でブーム最先端のホースがしなり高圧電線に触れてしまった。

これにより、ホース、ブーム、車体などをつたい地面へ電流が流れたが、車体内で操縦レバーを握っていた操縦者が感電したものである。

原因・対策

本件労働災害は接触防止策が監視のみで、高圧電線が通電状態であったことと、接触防止用の物理的防御措置が取られていなかったこと。さらにブームではなくホースでも作業できたものの、ブームを使用してしまったことが挙げられる。

このような労働災害を防止するには作業方法をよく検討し、ホースの準備・使用、高圧電線の一時停止、電線に接触にないように物理的防御処置をすることが挙げられる。


一人親方あんしん労災 – 排水パイプ設置のための溝掘削工事における崩壊事故

一人親方あんしん労災 – 崩壊、倒壊の労災事例

排水パイプ設置のための溝掘削工事における崩壊事故


発生状況

本件労働災害は、ある施設の建設現場において、地下水流入防止のための排水パイプを地中に設置するために、溝を掘削している最中におきた事故である。

作業手順は、ドラグ・ショベルで2mほど掘削しパイプを底に設置して、パイプ内に土が入るのを防ぐために板で固定。その後ドラグ・ショベルで埋め戻すという作業を繰り返して、排水パイプをつないでいった。

災害発生当時はドラグ・ショベルで溝を掘ったあと、2名の作業員が溝に下りてパイプを置き、板で固定する作業を行っていた。固定作業終了後に1名溝から上がり、埋戻し作業にかかるためドラグ・ショベルに乗車した際に、溝の側面が底から1.8mの部分で崩れ、中に残っていた1名が生き埋めになった事案である。

原因・対策

本件労働災害は、事前の地質調査などを怠っていたことと、土留支保工などの予防措置を怠ったこと。さらに砂質土で埋め立ててそれほど経っていないことと、湧き水があることを認識していたにも関わらず、掘削勾配の安全管理が疎かだったことに起因する。

このような労働災害の対策としては、地山の掘削作業前に地質調査や湧き水の事前調査を行うことや、その状態に応じた掘削勾配で作業を行うこと。作業当日も調査を行い、土砂が崩壊する可能性があれば支保工を用いて作業を行うこと。さらに掘削が2mを超える場合は掘削作業主任者を選任し、作業計画の策定と陣頭指揮を執ることなどが挙げられる。


一人親方あんしん労災 – 杭打機のリーダーとコンクリ製の杭に挟まれた労災事故

一人親方あんしん労災 – はさまれ、巻き込まれの労災事例

杭打機のリーダーとコンクリ製の杭に挟まれた労災事故


発生状況

本件労働災害は、土地造成工事中のコンクリ製杭打ち作業中の作業員が、リーダーと杭の間に挟まれたものである。

当該工事は土地造成工事を行った上にホールを建設する土地で、24本の杭打ち工事を行う予定であった。杭打ちに使用するものは、ラフテレーンクレーンに15mのリーダーとアースオーガ、5トンの油圧ハンマーがセットされた重機が用意されていた。だが、前日まで続いた雨の影響で地盤が緩んでいたため、アースオーガを使用せず油圧ハンマーで打撃作業のみをすることとなった。

打撃作業は通常、「杭を打つ現場で重機のアウトリガーを出し安定させる」→「フロントアタッチメントで杭を引き上げ油圧ハンマー下のキャップに固定する」→「杭を吊り上げた状態で重機を杭打ち現場方向に旋回させる」→「地上作業者が杭芯マークと杭の先端を合わせる」→「油圧ハンマーで打撃する」という工程を取る。本労災は杭芯マークと先端を合わせる作業中に発生した。

災害当日は施工管理者含め4名が従事していて、杭芯マークと先端を合わせる作業を行っていたのは2名いた。一度は杭芯合わせを行ったが、油圧ハンマーで荷重した際に杭がずれたため、一旦杭を引き上げた。だが、地面に付けられた杭芯マークは消えてしまったため、今度は管理者が施行済みの杭を基にした目測で指示を出すこととなった。

管理者は施行済みで並んでいた敷地の端へ移動したため、杭芯合わせのため被災者は管理者の指示が見えるように、リーダーと杭の間から覗き込む形になった。もう1名の作業者は被災者の向かい側から杭を押していた。杭芯合わせが済み、地面に杭が接地し油圧ハンマーで荷重したところ、リーダーが突如滑ったため被災者がリーダーと杭に挟まれた。

原因・対策

本件労働災害は、地盤が軟弱になっていたことで、リーダーを下ろした地面が崩壊し滑ってしまったことと、地盤のゆるさを補う措置を怠っていたこと、管理者の指示が横からだったため、作業者がリーダーと杭の間に入って作業したことに起因する。

本件労災のような事故の対策として、杭打ち作業とそれにかかわる重機の構造や安全に関する教育を徹底することと、地盤が悪いときに整地や一部改良の措置を施すこと。また杭心合わせの際に滑らないよう鋼材を敷くなどの措置が挙げられる。

カテゴリー