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建築/建設業界の労災事例

本サイトで紹介している労災事例は、実際にあった労災事故を掲載しておりますが、当協会によせられた労災事例ではありません。予めご了承ください。

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一人親方あんしん労災 – 塩ビ管敷設工事のための溝掘削工事現場で土砂崩壊災害

一人親方あんしん労災 – 崩壊、倒壊の労災事例

塩ビ管敷設工事のための溝掘削工事現場で土砂崩壊災害


発生状況

本件労働災害の起きた現場は、塩ビ管切替敷設工事のためドラグ・ショベルによって法面勾配1:0.4〜1:0.2の溝を掘削し、既設のPC管を除去したのち山砂を投入。底上げしたところに塩ビ管を敷設し埋め戻す工事だった。PC管除去後と塩ビ管敷設後の山砂投入後は、溝の底を人力による敷均しと転圧が行われていた。

現場の総延長は1km弱でいくつかの区画に切られていた。災害当時は3区画目の作業中で、PC管除去と山砂投入が済み、作業員が溝の中で管に接着剤を塗る作業を行っていた。そのとき溝の外で別の作業をしていた作業員が、法面付近の地面にクラックが入ったことに気がつき、溝の中にいた作業員に慌てて知らせたが、直後に法面が1m弱、全長8mほど崩壊し、逃げ遅れた作業員1名が土砂に生き埋めとなった災害である。

崩壊事故発生箇所の地質は砂利の混じった粘性土で、湧き水などは確認されなかった。

原因・対策

本件労災は、工事現場周辺の地質調査が充分に行われていなかったことで、作業者や事業者の認識も欠如していたことが挙げられる。そのため掘削方法や作業順序が適正でなかった。また土留支保工などの防止対策も取られていなかった。

このような事故の場合は、周辺地域の地質調査などを充分に行い、作業方法や手順を策定すること。また法面勾配なども綿密に計算に、安全な掘削作業にすること。事故防止対策に土留支保工などを施すことである。


一人親方あんしん労災 – ビル増設工事でガス供給配管切替工事中にガス爆発

一人親方あんしん労災 – 爆発の労災事例

ビル増設工事でガス供給配管切替工事中にガス爆発


発生状況

本件労働災害は、街なかのビル増設工事の際にガス供給配管の切替工事を行うため、ガス管を切断しようとして爆発し作業者が被災したもの。

被災者AとBが所属する会社は孫請けで、災害が発生した日、本来は水道設備工事を請け負っていたがガス管工事の業者の都合がつかず、元請けではなく一次下請けの別会社とガス会社と協議の結果、被災者所属の会社で請け負うことになった。

現場の片付けが済んだ後、被災者Bが施工前に必要な弁を閉めて回った。事前に管理事務所の立ち会いのもと、閉める必要のある弁の確認を行ったが、設計図での確認はされていなかった。

工事現場にあたる地下階のガス主弁を止めに行った被災者Bが閉めた弁は、地下階ガス主弁ではなく、冷温水発生器の主弁でありガスのものではなかった。そのため、工事箇所のガスは正常に稼働したままだった。

建物にガスを引き込む大本の主弁を閉めなかったのは、ビル所有者が当日ボイラーを使用するため、工事箇所以外の弁を閉じないよう依頼したためだった。

Bはそのあと別の階にある厨房で、残留ガスのガス抜きを行うために着火した。その厨房はもとからガスの元栓が閉められていたが、Bはそれに気がついておらず、すぐに火が消えた。そのため地下階のガス主弁のガスが届かない状態だったので、ここでも間違えた弁を閉めたことに気が付かなかった。

そうして、地下階の作業箇所でガス管の切断作業が始まった。Aがガス管の切断を電動パイプカッターで開始し、40%程度切ったところで、ガス臭がしたようだったので一旦カッターを止めた。カッターを管から外し確認したところ、ガスの噴出音と臭気はしなかったので、再度カッターを動かそうとしたところガスの噴出音が聞こえたので、慌ててカッターを動かすことを止めようとした。しかし間に合わすスイッチが入り、ガス爆発を引き起こした。

着火の原因は、カッターのスイッチをオンにしたときの火花と見られる。 事故後、すぐさま管理事務所員がガスの建物引き込み弁を閉じた。

原因・対策

本件労働災害は、業務内容を理解してない業者に行わせたことで、閉めるべき弁の誤認が起きたことと、厨房で残留ガスを抜く作業を行った際も元栓の開閉確認をしなかったこと。さらに施工業者がガス工事業者ではなかったことである。

ガスは危険物であるので、ガスを取り扱う工事の場合は事前に充分な作業計画、作業方法の検討、作業日程の調整などを正確ににおこなう必要がある。また作業者も、ガスの危険性を充分認識し、適宜確認作業を行い、安全かつ適切な作業を行う必要がある。


一人親方あんしん労災 – 土留擁壁工事の型枠解体中に擁壁本体が倒壊

一人親方あんしん労災 – 崩壊・倒壊の労災事例

土留擁壁工事の型枠解体中に擁壁本体が倒壊


発生状況

本件労働災害は、土留擁壁の築造工事中に、自立できない擁壁本体が倒壊し、型枠の解体作業者が山と擁壁の間に挟まれたもの。

この築造工事は河川の増水により崩れた箇所にコンクリート製の擁壁を構築する復旧工事で、被災者の所属する事業者は工事を発注者より直接請け負っていた。

擁壁の形状は自立できなものであり、上下2分割で作業を進めていた。まず川床掘りなどの整地を施した後、1段目の型枠の組み立てコンクリートを打設した。コンクリートが固まった後2段目の型枠の組み立てを行い、コンクリート打設・硬化、そのあと型枠除去を行い埋め戻すという計画になっていた。災害当日はその2段目の型枠除去を行っていた。

作業にかかる前に打ち合わせが行われ、当該箇所に隣接する道路も封鎖されて作業が始まった。災害現場となった擁壁裏側には2名が作業に従事をして、型枠除去の前の作業として、鋼管に取り付けられたパイプサポートを外していった。その際に倒壊防止用に仮支えのパイプサポートが用いられた。擁壁上部を支えた9本のパイプサポートに関しては、内5本付近に仮支えパイプサポートを付けたあと鋼管を取り除いた。そののち1名が裏側から離脱した直後擁壁が山側に倒れて作業員1名が挟まれた。

山は砂レキが多い湿度の高い土で、地上から見てもパイプサポートがめり込んでいる状態だった。また作業員はだれもヘルメットなどを着用していなかった。

原因・対策

本件労災はパイプサポートを仮のものに差し替えた際、仮のパイプサポートの本数が少なく、擁壁が支えきれなくなったことに加え、砂レキの多い地盤にも関わらず、沈下防止措置と変位防止措置が不充分であったこと。さらに擁壁が転倒防止措置なしでは簡単に倒壊してしまう形状であったこと。埋戻しを行うタイミングが、2段目完了時では不適切で、1段目完了時に行うべきだったことが挙げられる。

このような災害の対処として、仮のパイプサポートも、本パイプサポートと同じように本数を確保し、沈下および変位防止措置を同じように施すこと、さらに安全な施工計画を練り、1段目工程終了時に埋め戻しを行うことが挙げられる。


一人親方あんしん労災 – 移動式クレーンで仮置き作業中の荷が倒れる

一人親方あんしん労災 – 転倒の労災事例

移動式クレーンで仮置き作業中の荷が倒れる


発生状況

本件労働災害は、トンネル建設現場において小型移動式クレーン(車両積載型・吊り上げ荷重2.9トン)でトンネル用支保工(1対で400kg)を掘削面に近い場所に仮置きする作業中に発生したもの。

作業者はトンネル用支保工をトンネル入口から搬入し、一時支保工両端を接地して壁面に立てかけようとしたが地盤の安定が悪く、壁面と反対の作業者側に倒れて来て、クレーンを積んだトラックと支保工に作業員が挟まれてしまった。

支保工両端が接地した時点で壁面に押し倒そうとしたところ、クレーンの外れ止め装置が壊れてアンロックされており、ワイヤーが持ち上がったところでフックから支保工が外れて作業者に向かって倒れてきてしまった模様。

トンネル支保工の搬入作業は通常2人で行う作業だったが、災害発生時は1人で行っていた。

原因・対策

本件労災は、2人で作業するものを1人で行っていたことと、クレーンの外れ止め装置の不具合、さらにはワイヤーロープが新品で太いものであったため、より玉掛け用の輪が広がり、外れやすくなっていたことに起因する。また被災者が支保工とトラックの間に立って作業をしていた点も大きな原因となった。

このような災害の対策として、トンネル用支保工を掘削面まで直接運び込み、一時留置の必要をなくすことに加え、移動式クレーンの作業手順を決定し、作業員に徹底周知すること。さらに重量のあるものを取り扱う場合、単独作業を禁止する、移動式クレーンの定期点検・作業前の点検を実施し、問題が発見されたときはすぐに修繕を行うことである。


一人親方あんしん労災 – 型枠支保工の解体作業中に背面の山肌が崩壊

一人親方あんしん労災 – 崩壊・倒壊の労災事例

型枠支保工の解体作業中に背面の山肌が崩壊


発生状況

本件労働災害は、水無川の護岸工事と山肌の崩落防止のために、護岸と土留擁壁造成工事中に起きたものである。

被災者2名が所属している会社は、そのうち型枠工事の全てを請け負っていた下請け業者だった。

土留擁壁造成は3段階に分けられ実施されることが決まっており、型枠設置とコンクリート打設を繰り返し行うことになっていた。1段目はドラグ・ショベルを用いて掘り下げたあとに基礎部分を打設、2段目はそこからさらに積み上げる形で打設し3mの高さに到達した。ここで、背面の山の頂上部分を1.8m手で掘り下げ、搬出された土砂で埋戻しがされた。

そのあと3段目の打設が完了し、その翌日に支保工の解体を、山側の南北双方から1名ずつ開始して中央に寄ってきたあたりで、山の上から小石が落ちて来はじめ、その後すぐに山が崩れ、コンクリート擁壁に押されるように、2人とも土砂に飲み込まれた。

現地の地質調査は元請け会社が踏査と目視で実施、山の点検も目視で行っていた。被災日直前に、崩落要因になるような強雨はなかったが、ひと月前の長雨では累積雨量は40mmと多かった。

原因・対策

本件労働災害が発生は、ひと月前に雨が続き浸透水によって山の地質が緩んでおり、とくにレキが少なく粘土質な中部下層が、崩れやすくなっていたこと。さらに、地質調査に専門性が欠けており、状況把握が不充分であったこと。崩落等の危険防止措置が施されていなかったことなどに起因する。

本件労災のような事案への対策として、工事前には綿密な地質調査を行い、崩壊する恐れがある場合には必要な対策を講じること。また、雨量が一定の数値を超えた場合は、山の地質や状況等の点検を行うことである。

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