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建築/建設業界の労災事例

本サイトで紹介している労災事例は、実際にあった労災事故を掲載しておりますが、当協会によせられた労災事例ではありません。予めご了承ください。

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一人親方あんしん労災 – クレーンが転倒し、ブームが梁の上にいた2名を梁ごと墜落

一人親方あんしん労災 – 転倒の労災事例

クレーンが転倒し、ブームが梁の上にいた2名を梁ごと墜落させる


発生状況

本件労働災害は、移動式のクレーンが転倒し、ブームが建物に衝突。梁の上にいた作業員を墜落させたものである。

災害現場は、共同事業体で5階建て鉄骨造の建設工事中であった。オペレーターつき重機リース業者のA、鳶作業はB、鉄骨建方はCの共同事業であった。発生当日は朝礼後にA社の移動式クレーンオペレーター、Bの作業者全員、Cの責任者が打ち合わせを行い作業に就いた。

クレーンのオペレーターは、打ち合わせ通りにクレーンを移動させアウトリガーをMAXまで張り出し、アウトリガーの下に敷板を敷いた。さらに、鉄骨組立作業側のアウトリガーでもっとも荷重がかかる箇所には枕木も設置した。クレーンの周囲は立入禁止措置が取られた。

準備が整ったところでクレーンのオペレーターは、梁上に待機していたBの作業員の場所までH鋼を、作業員の合図に従って吊り上げ作業を開始した。作業中にクレーンの過負荷警報装置が鳴り始めたため、オペレーターは装置によって作業が中断しないように、安全側へブームを起こす作業を行った。その際に吊り荷が鉄骨中上部にひっかかり、作業員はそれを外そうとして「オヤスラー」の合図を出したが、オペレーターはさらにブームを起こしたため、移動式クレーンのアウトリガーが浮いてしまいクレーンごと横転してしまった。そのため、クレーンのアームが作業員のいた梁をめがけて倒れ、梁の上にいた作業員2名の安全帯親綱を破断した。作業員2名は安全帯が外れた状態で、激突された梁と一緒に墜落した。

原因・対策

本件労災は、オペレーターを作業員の合図連携が充分にはかられていなかったことと、クレーンの停止位置が作業現場から遠く、吊り荷の重量が定格総重量制限と同等になってしまったことが挙げられる。さらに朝礼ではCの責任者が、後日定格重量の大きいクレーンが来る旨を通知したが、その通知が不充分であったことも起因する。

このような災害の対策として、移動式クレーンの運転士免許を保有している者に、法令にも基づき危険有害業務従事者教育を受けさせること、また危険予知活動を実施し、隠れた危険に対応できるよう訓練を施すことが挙げられる。さらに元方事業者は特定作業において、下請け業者を指名する際、作業に関わる責任者や使用する重機について明確に通達することも挙げられる。


一人親方あんしん労災 – ガス管埋設作業中に土砂崩壊

一人親方あんしん労災 – 崩壊、倒壊の労災事例

ガス管埋設作業中に土砂崩壊


発生状況

本件労働災害は、深さ3mほどの溝を掘削したのち、溝内にガス管を敷設し埋め戻す工事の際に発生した事案である。

災害が発生した当日は朝から角度90度で掘削工事が行われており、全長の3割程度の掘削が済んだところで土留支保工を施し、午後から改めて続きを掘削する作業を行っていた。10mほど掘り終えたところで作業者3名が溝内に下り、改めて土留支保工の設置工事を行っていた。その際に、掘削したノリ面が崩壊し、溝内に入っていた3名のうち2名が生き埋めとなった事案である。

現場の地質は、地面下1mは粘土層、そこから下は砕石チップ層であった。これは、以前の水道管埋設工事の際に埋め戻されたものだった。

土留支保工には軽量鋼板を矢板に、腹起しには角材、切梁にはパイプサポートを用いていた。仮止め時には矢板を70〜80cm間隔に打ち込んだのち切梁を固定して、仮止めが4m進んだごとに本組作業を行っていった。

当日作業場には作業主任者1名あり、支保工、掘削作業責任者を兼任していたが、災害発生時はほかの現場に赴いており不在であった。

原因・対策

本件労災は、地質調査不充分かつ深い場所は砕石チップ層であったことのほか、土留作業が不充分な状態の場所に作業員が長時間いなければならなかったことと、作業責任者が兼任かつ1名で不在なため、安全管理も不充分であったことに起因する。

このような災害の対策として、地質調査を行うことと、掘削深度2mを超える場合は掘削作業主任者を専任し、作業工程の策定と作業の陣頭指揮を執り行うこと。また地山に崩壊の危険性がある場合は鋼矢板壁を充分に打ち込み、溝内に作業員を入れる前に切梁を設置するようにすることである。さらに支保工作業主任者を選任し、作業工程の策定と陣頭指揮を執ることも重要である。


一人親方あんしん労災 – 駐車場建屋解体中にブロック塀が倒壊

一人親方あんしん労災 – 崩壊、倒壊の労災事例

駐車場建屋解体中にブロック塀が倒壊


発生状況

本件労働災害は、駐車場の敷地を拡張するために、既存のブロック築造駐車場建屋を解体する作業を行っていた際に起きたものである。

解体する建屋は、幅4m、奥行き3m、高さ3mのブロックで造られたもので、災害発生当日は2名で作業にあたっていた。作業開始時点では2名一緒に作業をしていた。スレート屋根を外し終えたとき、1名が諸用で作業場から離れた。

別の1名はそのまま現場に残り、建屋の外に出てハンマーを使用して、側壁を壊していた。ある程度作業が進み、破壊された部分から、ブロックの内側にあった鉄筋が確認できたので、その鉄筋を切断していたところ、突然側壁が倒壊して作業員が下敷きとなった事案である。

原因・対策

本件労災は、破壊作業をしている際に単独になり監視がなかったことと、作業工程や安全対策が策定されていなかったこと。さらに解体作業について安全教育がされてなかったことに起因する。

このような倒壊事故の対策としては、倒壊の恐れがないように作業工程を策定しそれに基づいて作業をさせることと、危険箇所には立ち入らせずに重機や車両を用いて解体作業を行うことが挙げられる。さらに、作業者には解体作業についての安全教育を充分に教育し危険の認知をさせることと、監視するものや指導者を現場に配置させることも重要である。


一人親方あんしん労災 – 舗装道路下のガス及び水道管の延長埋設工事で土砂崩壊

一人親方あんしん労災 – 崩壊、倒壊の労災事例

舗装道路下のガス及び水道管の延長埋設工事で土砂崩壊


発生状況

本件労働災害は、敷設済み道路を掘削し0.6km分の水道管とガス管を同時に敷設する工事を行っていた現場で、作業員が生き埋めになった事案である。

0.6kmの工事範囲はいくつかの区画に分けられて作業が行われた。作業はドラグ・ショベルで直角に掘削したのち、手作業で既設の管周りを掘り、その既設管の先に新設の管を接続する方法が取られていた。

災害発生当日も同じ方法が取られていて、作業員1名が掘削の済んだ溝に下り、手作業で土砂除去を行っていた。その作業中に溝の側壁が崩壊し、当該作業員が生き埋めとなった。

この工事現場は何度か工事が行われており埋め戻された箇所で、湧水などは確認されていなかったが、アスファルト直下の0.5mほどはアスファルトを安定させるための砕石が敷かれている状態であった。

原因・対策

本件労災は、掘削工事以前から現場が埋戻しされた土地であることを分かっていたにも関わらず、土留支保工などの措置がとられていなかったことにくわえ、砕石が含まれて崩れやすいのにも関わらず掘削勾配が直角であり、適していなかったことが原因である。

このような事故の対処としては、工事以前に地質調査や湧水の調査などを行い、その結果に応じて適切な安全対策と施工計画を講じること、また作業開始前にも調査を行うことが挙げられる。とくに土砂崩壊の可能性がある場合には、土留支保工の設置や掘削勾配の再検討をする必要がある。


一人親方あんしん労災 – ドラグ・ショベルをトラックの荷台に積込中に転落して下敷きに

一人親方あんしん労災 – 墜落、転落の労災事例

ドラグ・ショベルをトラックの荷台に積込中に転落して下敷きに


発生状況

本件労働災害は、作業で使用済みとなったドラグ・ショベルを移送するために、トラックへ積み込む作業中に、ドラグ・ショベルがトラックから転落し、ドラグ・ショベルの操作をしていた者が、下敷きになった事案である。

災害当時、現場作業は3名で行われていた。被災者がドラグ・ショベルを、もう1名はトラックの運転操作を、別の1名は別の重機を操作していた。

前日から雨が続きぬかるんでいたため、トラックの運転者は荷台のみを現場にいれてアウトリガーを出し、荷台の位置を下げていた。運転台部分は道路に出たままだったので、運転者はトラックを停めたあと、道路で交通整理をする必要があった。別の重機を操縦していた者は、この場所から離れていた。

被災者は1人でドラグ・ショベルの作業を行っていた。まず、前進する形でトラックの荷台の半分弱まで登り、180度旋回ののち、地面にバケットを接触させながら後進した。ただ進行方向に10度以上のずれがあり、後進しながらトラックから落下、運転台から放り出された被災者が下敷きとなった。

このドラグ・ショベルはトラックの荷台の幅より0.3m広かった。

原因・対策

本件労働災害は、ドラグ・ショベルの積み上げ作業を単独かつ視界不充分で行ったこと、トラックの幅よりドラグ・ショベルの幅のほうが広かったことが主因である。さらに、トラックの荷台と地面に隙間があるにもかかわらず、その差を埋める作業をせず、荷台に対し斜めにあがっていったことも挙げられる。

このような労働災害についての対策は、道板などでトラックの荷台と地面の差を埋めることに加え、作業計画を策定し、指揮者を定め単独作業としないこと。さらに、ドラグ・ショベルの幅よりも広い荷台のトラックを用意することである。

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