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建築/建設業界の労災事例

本サイトで紹介している労災事例は、実際にあった労災事故を掲載しておりますが、当協会によせられた労災事例ではありません。予めご了承ください。

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一人親方あんしん労災 – 船倉内で酸素不足により倒れる

一人親方あんしん労災 – 有害物等との接触の労災事例

船倉内で酸素不足により倒れる


発生状況

本件労働災害は、港湾土木作業用のクレーン船の船倉内で発生したものである。クレーン船のウインチを移設する際に船首付近から泡が出ているのを作業員が発見し、海中で確認したところ船倉の部分である船底に穴が空いていることがわかった。

船の製造された年は不明で、他社から転売されたものであった。船には全部で10個の船倉があり、それぞれ1つずつマンホールが設置されていた。災害が発生した船倉は左舷船首寄りの位置にあり、この船倉は長期間密閉されており通常開けることはなかった。

災害発生当日、被災者は穴の修理を船倉の中から行うことを部長に告げ、許可をもらったので同僚と共に船倉内に入ることにした。その準備作業として発電器をクレーン船に運搬→穴のある船倉の蓋を外す→水中ポンプを船倉に運び海水を汲むという作業を行った。

作業開始からおよそ1時間後、被災者は同僚に甲板の上から光を照らしてもらいながらマンホールの蓋を開け船底へ降りたが、その後すぐに倒れ込んでしまった。事故後の調査で現場の酸素濃度を測定したところ、甲板上が18.9%、深さ1mで3.9%、深さ2mではわずか1.3%であったことが判明した。

原因・対策

本件労災の原因は、船倉の酸素濃度が低かったことが挙げられる。また作業前に酸素濃度の測定を行わなかったことも起因している。

このような災害の対策として、長期間密閉された鋼製の船倉の内部が酸素欠乏危険場所であることを把握し、作業前に必ず酸素濃度の確認を実施することが重要である。


一人親方あんしん労災 – 体育館天井部の塗装作業中、高所作業車の搬器と天井に挟まれる

一人親方あんしん労災 - はさまれ、巻き込まれの労災事例

体育館天井部の塗装作業中、高所作業車の搬器と天井に挟まれる


発生状況

本件労働災害は、体育館の体育施設新設工事において高所作業車の搬器上で作業していた作業員1名が、搬器の手すりと天井に挟まれたものである。

事故発生当日、鉄骨・鉄筋コンクリート製体育館の天井部の塗装を行うため、被災者と作業員の2名が高所作業車の搬器の上で作業をしていた。被災者はスプレー缶を持って塗装作業を担当し、もう1人の作業員は搬器内の操作レバーで旋回や伸縮などの操作を行なっていた。まず2人は高所作業車を所定の位置に移動させ、そのあと搬器に乗って天井の塗装部分に移動した。そして操作レバーで搬器を天井に近づけていったところ、少し近づけすぎたため、ブームを下げるためにレバーを伏側に入れた。しかしブームが作動しなかったので、そのまま被災者は身を乗り出して吹き付け作業を開始した。続いてもう一人の作業員もスプレー缶を取ろうとしてかがんだところレバーに不意に接触してしまい、ブームが上昇し始めた。そして被災者は搬器の手すりと天井に挟まれ、被災した。

原因・対策

本件労災は、搬器内の操作レバーが故障していたことと作業員が不用意にレバーに接触したことが原因で起きた災害である。このような事故を防ぐために、高所作業車の作業開始前点検、定期自主点検を徹底することが重要である。また、操縦者に対して十分な安全教育を行い、不意にレバーに接触することを避けるためにカバーなどを設置することで事故を防ぐことができる。


一人親方あんしん労災 – 炉内作業中に酸欠で倒れる

一人親方あんしん労災 – 有害物等との接触の労災事例

炉内作業中に酸欠で倒れる


発生状況

本件労働災害は、鉛塔の炉修工事を行う際に発生したものである。現場の事業場には9基の精留塔があり、今回はそのうち1つを工事することになっていた。作業内容は、溶融状態の蒸留亜鉛を精留塔に受け入れるための炉(サプライポット)についた亜鉛のカスを除去し、煉瓦を解体するというものであった。

災害発生当日、作業員の1人が先にサプライポットに入りハンドピックで煉瓦を解体する作業を行っていた。数十分後、別の作業員がサプライポットに入り解体作業を見ていたが、しばらくしてその場に倒れ込んでしまった。先に炉内に入っていた作業員がそれに気がつき、すぐに外にいた同僚に助けを求めた。

同僚は数人の作業員を連れて急いで駆けつけ、倒れている作業員の救出を開始した。しかしその最中に炉内にいたもう1人も倒れてしまったため、他の作業員は同僚の救出を中断させ炉内に空気を送り2人を救出した。

災害発生後CO濃度を測定したところ特に検出されなかったことから、作業員は酸素の欠乏で倒れてしまったと考えられ、この原因としては燃焼又は炉壁等の酸化(さび)により酸素が消費された可能性が挙げられる。

原因・対策

本件労災の原因は、南側スキミングドアが閉じていたことで南側のCO配管等がつながった奥の部分には空気が滞り換気できていなかったことが挙げられる。

このような災害の対策として、作業実施前に炉内の酸素・CO濃度を測定し作業中は必ず換気を行うことや、工事の開始前に適切な作業方法を検討すること、今回の場合では安全を確保するための換気が十分に行えるのか事前に確認することが重要である。


一人親方あんしん労災 – 石油精製工場の定期修理中に火災

一人親方あんしん労災 – 火災の労災事例

石油精製工場の定期修理中に火災


発生状況

本件労働災害は、石油を精製する装置の定期修理を行う工事中に発生した。この工事は精製の工程の部門ごとに運転を停止し、油やガスなどを除去した上で火気による修理を行うというものだった。

災害発生当日は、各工程のうち常圧蒸留部門の軽油を脱硫する部門の修理工事を行うことになっていた。ここでは窒素ガスを導入し8、26、46kg/cm2Gの圧力で点検を行い、次に接触改質部門から副生成分の水素を主に含んだ可燃性のガスを導入し79kg/cm2Gの圧力で最終テストを行う予定だった。

窒素ガスの導入には1、2インチのバルブを使用し、可燃性のガスには8インチのバルブを用いることになっており7、28kg/cm2Gで点検する際は2インチのバルブを、46kg/cm2Gの点検では2インチの窒素ガスが不足したため1インチで行なった。

このテスト後窒素ガスの圧力を40kg/cm2Gまで下げ、次いで8インチのバルブを使用し可燃性ガスを加えて導入し79kg/cm2Gの圧力で気密テストを行った。このとき並行して常圧蒸留部門でも修理を行なっており、ヘッダーボックスのカバーを元の位置に設置する際にナットを電動インパクトレンチで締め付けた、火炎が吹き出し火災が発生した。

原因・対策

本件労災の原因は、1インチのバルブが解放されたまま可燃性ガスを導入したことや、同熱交換器の補修工事に使用した電動インパクトレンチがきっかけで可燃性ガスに火がついたことが挙げられる。また可燃性ガスを用いたテスト中に火気を使用するなど工事の作業計画が甘かったことも起因している。

このような災害の対策として、ガスの逆流を防ぐ逆止弁を取り入れるなど安全対策を徹底することや、可燃性ガスを用いる場合には火気の使用を禁止することが重要である。


一人親方あんしん労災 – スレートを踏み抜き、墜落

一人親方あんしん労災 - 墜落、転落の労災事例

スレートを踏み抜き、墜落


発生状況

本件労働災害は、工場のスレート屋根に窓を設置する工事中に作業者1名が墜落したものである。

事故発生当日、事業所の孫請けである工務店の作業員2名で、窓を取り付ける部分のスレートを取り外す作業を担っていた。現場主任から説明を受けてすぐに2人は屋根に上がり、作業を開始した。順調にスレートの取り外しが終わったため、被災者は外したスレートを片付けるために屋根の端まで運ぶ作業に移った。すると4枚目のスレートを運んでいる途中で、足元のスレートを踏み抜き転落した。この屋根には歩み板は取り付けられておらず、墜落防止用のネットも設置されていなかった。また、被災者はスレートを固定しているアングルの上を歩いていたが、誤ってスレートを踏み抜いた。

原因・対策

本件労災は、スレート上での作業中に歩み板を使用しなかったことが原因で起きた災害である。

このような事故を防ぐためには、歩み板を正しい手順で設置し、スレート上を歩くことがないような工夫をすることが重要である。

近年、このようなスレート屋根の踏み抜き事故は多く発生している。スレートそのものの強度やその下の野地板の設置などの工夫は必要であるが、現在使用されているスレートはそれらが満足なものばかりでない。事業者は、作業者が安易にスレートを足がかりとして利用しないように、十分な説明と安全対策を施した上で作業を行うように留意する必要がある。

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