建築/建設業界の労災事例
本サイトで紹介している労災事例は、実際にあった労災事故を掲載しておりますが、当協会によせられた労災事例ではありません。予めご了承ください。
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一人親方あんしん労災 – 吊り橋の設置中にロープが外れ墜落
一人親方あんしん労災 – 墜落、転落の労災事例
吊り橋の設置中にロープが外れ墜落
発生状況
本件労働災害は、公園内の谷に遊歩道として吊り橋を設置する工事中に発生したものである。谷は幅が14m、深さは5mほどで、支持塔や塔の脚部、メインロープを固定するアンカーの設置はすでに取り付けられている状態だった。
その後の作業は、メインロープ・床板受ワイヤロープ振れ止め用のストームケーブルを張る→床板受ワイヤロープに床板を載せて固定→床板とメインロープをつりチェーンでつなぐ→手すりとしての被覆ワイヤロープを張るという手順で行われる計画であった。
災害発生時、メインロープの取り付けが終了した被災者は床板受ワイヤーロープに床板を敷く作業に移った。床板を30枚ほど敷いたとき、ワイヤーロープを塔脚に固定するのに使用していたターンバックルのフックが開き、ワイヤーロープが外れてしまい被災者は谷底に墜落した。
今回のようなつり橋は橋の重さと通行する人の重量を2本のメインロープで負担する構造であるが、災害発生時はこれらの負荷をメインロープに伝えるつりチェーンが設置されていなかった。これにより床板と作業者の重量を2本のワイヤロープが支えているという状態だった。
原因・対策
本件労災の原因は、ロープを塔脚に結びつける役割のターンバックルに強度を超える負荷がかかっていたことや、作業床の設置や安全帯の装着など墜落に備えた対策を取っていなかったことが挙げられる。またつりチェーンを床板の敷設前に設置しなかったことも起因している。
このような災害の対策として、高所での作業には必ず作業床を設置することや、ターンバックルのフックが耐えうる強度を事前にメーカー等に確認することが重要である。さらにこの種の吊り橋では床板を設置する前につりチェーンを設置するよう計画することも重要である。
掲載日:2018年12月20日
一人親方あんしん労災 – 組み立て中の擁壁が倒壊
一人親方あんしん労災 – 崩壊、倒壊の労災事例
組み立て中の擁壁が倒壊
発生状況
本件労働災害は、暴風雨により河岸が崩壊した部分に土止め擁壁を築造する工事中に発生したものである。擁壁の長さは30m、高さは3mで上流から15m部分まで施工されており、擁壁は自立できない形状のものであった。
作業は、整地した箇所に1段目の型枠を組み立てコンクリートを打設→硬化したら2段目を組み立てる→地山と型枠との間にパイプサポートを取り付け、コンクリートを打設→硬化後、型枠を解体し擁壁の裏部分を埋め戻しという流れで行われる予定だった。
災害発生当日は型枠の解体および除去を行う計画であった。被災者は事業主とともに擁壁の裏側を解体し、表側は別の作業員が担当することになった。型枠の解体には鋼管の除去が必要であるが、鋼管を除去するにはそれを支える9本のパイプサポートを取り除かなければならなかった。
よって作業員らは仮支え用に別のパイプサポートを5本設置し、その後鋼管と9本のパイプサポートを取り除くことにした。しかし鋼管を除去している際に突然擁壁が地山側に倒れ、被災者は擁壁と地山の間に挟まれてしまった。事業主はこの時作業場から離れていて無事だった。
原因・対策
本件労災の原因は、仮支え用のパイプサポートが足りず擁壁を支えきれなかったことや、コンクリート擁壁の形状があまりに不安定なものであったことなどが挙げられる。
このような災害の対策として、仮支え用のパイプサポートは必要な本数を事前に確認し用意しておくことや、沈下を防止する措置等によりもたれ擁壁が倒壊しないよう万全を期す必要がある。
掲載日:2018年12月19日
一人親方あんしん労災 – 五硫化リンの残さい廃棄中に硫化水素中毒
五硫化リンの残さい廃棄中に硫化水素中毒
発生状況
本件労働災害は、無機リン化合物・リン酸塩類・有機リン化合物などの製造を行う工場が所有する、五硫化リン製造の際に発生する廃棄物(残さい)を埋めるための土地で起きたものである。工場には修理工事や清掃作業を担当する別の事務所も置かれており、被災者はそこに所属していた。
残さいには黒く塊になった無害なものと、黄色い粉末状で五硫化リンを含んでいるため廃棄に分解・中和が必要なものとがあり、清掃作業を請け負う事務所は、ドラム缶に入った残さいのうち工場側が無害だと判断したしたものを埋め立て場に運搬し、地穴に投棄する作業を請け負っていた。
事務所が残さいを処分している作業中、10本目のドラム缶をワイヤーで吊り上げた際にワイヤーが外れてしまい、ドラム缶が地上に落下した。被災者が再びワイヤーにかけようと近づいたが、数分後に硫化水素中毒で倒れてしまった。
原因・対策
本件労災の原因は、ドラム缶の中身が無害化されているかどうかを事務所の作業員が確認する方法がなかったことや、無害化する前と後でドラム缶の取り扱う場所等について工場から連絡をせずに、無害化した残さいの近くに有害な残さいを置いてしまったことが挙げられる。
このような災害の対策として、内容物により残さいを入れる容器を変えるなど全ての作業員に判別可能な状態にすることや、無害化する処理前と処理後で保管場所を明確に区別して管理することなどの措置を講ずることが重要である。
掲載日:2018年12月15日
一人親方あんしん労災 – 支保工が倒れトラッククレーンの荷台との間に挟まれる
一人親方あんしん労災 – 転倒の労災事例
支保工が倒れトラッククレーンの荷台との間に挟まれる
発生状況
本件労働災害は、積載形トラッククレーンでずい道支保工を切羽に近接した場所に仮置きする作業中に発生した。トラッククレーンは吊り上げ荷重400kgのもので、支保工は鋼アーチの2本1組で合計400kgのものを使用していた。
ずい道支保工の搬入は本来2人で行っている作業だが、災害発生時は1人の作業員が現場に遅刻しており、被災者は到着を待たずに1人でずい道支保工を荷降ろしする作業を行っていた。また災害発生時に使用していたトラッククレーンは、フックの外れ止め装置が壊れており装置を外した状態であった。
被災者はまずずい道坑口から支保工を搬入し、アーチの端を地面に着け壁面に立てかけるため押し倒そうとしたが、地盤が不安定であった上、玉掛け用のワイヤーロープが持ち上がったことでフックから外れたため被災者の方へ倒れてきた。これにより被災者はトラッククレーンの荷台と支保工との間に挟まれてしまった。
原因・対策
本件労災の原因は、支保工を立てて仮置きしようとしたことや、トラッククレーンのフック外れ止め装置が壊れており付いていなかったことなどが挙げられる。また通常は2人で行うべき作業を1人で行なったことも起因している。
このような災害の対策として、仮置きの際支保工は横に寝かせて置くことや、トラッククレーンの点検を実施し異常が見られた場合にはすぐに補修することが重要である。さらに支保工などの重量物を運搬する際に、積み下ろしなど1人では行わないように徹底することも重要である。
掲載日:2018年12月14日
一人親方あんしん労災 – スレートを踏み抜いて墜落
一人親方あんしん労災 – 墜落、転落の労災事例
スレートを踏み抜いて墜落
発生状況
本件労働災害は、工場の屋根に使われているスレートを交換する工事中に発生したものである。この工場は屋根は全てスレートでふかれており、鉄骨造の下屋部分は踏み抜いてしまう恐れがあったが、木造の箇所は野地板が打ってあったため踏み抜く恐れがなかった。
本工事は、被災者を含めた作業員2人で行われることになっていた。2人は木造部分のスレート交換を行うためにまず鉄骨造下屋の屋根にはしごをかけて登り、そこから木造部分の屋根に移動することにした。当日は木造部分のみの交換を行う予定であったため、敷板は用意していなかった。
作業開始からしばらくして、一部のスレート交換を終わらせた被災者が古い方のスレートを地上に落としている最中に鉄骨造下屋のスレートを踏み抜いてしまい、高さ4mのところから墜落した。
原因・対策
本件労災の原因は、踏み抜いてしまう可能性があるスレート屋根の上に登り作業を行ったことと、その際に歩み板の設置など安全に考慮した対策を一切取っていなかったことが挙げられる。また作業開始前に適切な作業計画を立てていなかったことも起因している。
このような災害の対策として、やむを得ず踏み抜きのおそれのあるスレート屋根の上で作業を行わなければならない場合には、歩み板を設けるなどといった事前に危険を防止するための措置を講じることが重要である。また現場の状況をよく理解しあらかじめ作業計画を十分に検討することも重要である。
掲載日:2018年12月13日
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