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建築/建設業界の労災事例

本サイトで紹介している労災事例は、実際にあった労災事故を掲載しておりますが、当協会によせられた労災事例ではありません。予めご了承ください。

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一人親方あんしん労災 – 有機溶剤中毒で作業員1名が倒れる

一人親方あんしん労災 - 有害物等との接触の労災事例

有機溶剤中毒で作業員1名が倒れる


発生状況

本件労働災害は中庭壁面の塗装作業の際に、作業員1名が有機溶剤中毒になったものである。

事故発生時の作業現場は四方が壁で囲まれた縦4メートル、横2メートルの中庭であった。前日に足場の設置は終わっていたため、当日は作業員3名で塗装機械の運搬、塗料および溶剤の調合から作業を始めた。使用された塗料にはトルエン(有機化合物)が40%~50%、溶剤には60%以上含まれていた。

調合作業が終わると被災者は中庭の内部で外壁の塗装作業を開始した。作業開始から約30分後、被災者は倒れ、屋上で作業を行なっていた作業員に発見されて病院に搬送されたものである。被災者が消費した塗料および溶剤の使用量は3.5~4.0kgと推定され、十分な換気が行えない状況にも関わらず活性炭入りガーゼマスクのみを装備した状態で作業を行っていた。

原因・対策

本件労災は、大量の有機物を使用する作業にも関わらず強制換気を行っていなかったこと、不適切な呼吸用保護具を使用していたことで起きた事故である。また、現場の責任者を選任しておらず、有機物に関する知識が十分でなかったことも原因の一つである。

このような事故を防ぐために、換気が不十分な現場においては強制換気を行うなどをして有機物の滞留を防ぐこと、作業の性質に適切な呼吸用保護具を使用することが重要である。さらに、全作業者を対象とした安全衛生教育を徹底して行うことも大切である。


一人親方あんしん労災 – つり足の撤去作業中に作業員1名が落下

一人親方あんしん労災 - 墜落、転落の労災事例

つり足の撤去作業中に作業員1名が落下


発生状況

本件労働災害は、跨線橋の解体工事に使用したつり足場の撤去作業中、作業者1名が墜落したものである。

事故発生当日、作業責任者を含む作業員4名でコンパネの取り外しとつり足場の単管撤去という高所作業を担っていた。順調に作業は進み責任者は先に宿舎に帰っていたが、残りの3名は手順を把握していたため引き続き作業を続行した。被災者は単管クランプを取り外すために、H型鋼の上に乗って作業をしており、他2名はチェーンクランプの取り外しを行なっていた。作業開始から約2時間経過したときに、被災者は単管の重みでバランスを崩してしまい、そのまま5.1メートル落下して線路に激突した。作業中は防護帽を着用していたものの、親綱が整備されていなかったため安全帯は使用していなかった。

原因・対策

本件労災は高所作業であるにも関わらず墜落を防止する措置が行われていなかったことや、親綱の設備が整っていなかったこと、主任者が不在の状態で作業を続けたことが原因で起きた災害である。

このような事故を防ぐために、つり足場の解体作業などの高所作業を行う際には、墜落を防止する措置(安全帯など)を確実に使用すること、その設備をしっかりと設けることが重要である。また、作業は必ず作業責任者が指揮を取れる状況下で行い、現場を離れるときは代理の責任者を選任することである。


一人親方あんしん労災 – 吊り上げ中の木材が激突

一人親方あんしん労災 – 激突されの労災事例

吊り上げ中の木材が激突


発生状況

本件労働災害は、家屋の資材にする目的で伐採した木材を山から運び出す作業中に発生したものである。現場は谷側の山道で40°ほどの傾斜があり、作業は被災者を含めて5人で行われていた。

作業は、ワイヤーロープを松の木にくくりつけ、チルホールで引く→伐採→枝払いを行う→木材の寸法を測り、玉切りする部分に印を入れる→ワイヤーロープを木材に掛け、山道に停めた車両積載形トラッククレーンに玉掛けする→木材が谷に落ちないようワイヤーロープを緊張させ玉切りを行う→クレーンで巻き上げ玉切り材を道に引き上げる→山道でもう一度玉掛けし荷台に積み込むという手順で行われた。

作業開始からしばらくして、玉切り材を引き上げている最中に木材が大きく横に揺れ動き、被災者に激突してしまった。災害発生当時、ワイヤロープは材の末口側に寄った位置に掛けられ、末口側が上、元口側が下にされた状態で引き上げられていた。

原因・対策

本件労災の原因は、木材の末口側が地上の障害物に当たったままの状態でワイヤロープを巻き上げ続けたことや、トラッククレーンを操作する場所からは吊り上げたときの様子を確認することができないにも関わらず、現場に監視する者がいなかったことが挙げられる。

このような災害の対策として、トラッククレーンで資材を吊り上げる場合は周囲の状況を把握し監視する担当の者をおく必要がある。またトラッククレーンを操作する際はその者の指示に従うことが重要である。


一人親方あんしん労災 – 真夏にコンクリートのならし作業で熱中症に

一人親方あんしん労災 – 高温・低温の物との接触の労災事例

真夏にコンクリートのならし作業で熱中症に


発生状況

本件労働災害は、アンカーに一定以上の負荷を与えた場合にどれほど歪むかを調査する試験施設を建設する工事中に発生した。この工事は9月上旬に行われ、現場の最高気温は40℃ほどになると見られていた。

災害発生当日は斜面に置かれた金網型枠にコンクリートを吹き付けた部分をならすという作業が行われることになっており、被災者を含めた2人の作業員でこのならし作業を担当することになっていた。

作業は午前10時頃から行われたが、作業開始から1時間後、突然被災者が作業現場に座り込み「具合が悪い」と言い始めた。そこでもう1人の作業員は持っていたタオルを水道で濡らし、被災者に頭部を冷やすよう伝えた。

しかし一向に体調が良くなる見込みがなく、作業員が現場の職長を呼んだとき被災者はすでに自力で歩ける状態ではなくなっていた。頭痛や吐き気を訴えていたため作業員と職長は2人で被災者を担ぎながら斜面を降り、被災者を日陰に寝かせた。

この時被災者は汗をかいておらず、水を与えても飲もうとしなかった。しばらくして横たわっていた被災者が顔色を悪化させながらうわごとを言い始めたため、作業員が救急車を呼んだ。その後医師の診断により被災者は重度の熱中症であったことが発覚した。

原因・対策

本件労災の原因は、真夏の気温が高い日に日陰のない斜面で長時間作業したことが挙げられる。また熱中症の初期症状に対して知識が不十分だったことも起因している。

このような災害の対策として、気温が高く体調を崩しやすいと判断される日には普段よりも休憩の回数を増やし、水分や塩分を常に摂取できるよう準備しておくことが重要である。また初期症状が現れた場合に備え重症化しないための適切な対策をあらかじめ知っておく必要がある。


一人親方あんしん労災 – ガス管の主弁を誤認しガス漏れ、爆発

一人親方あんしん労災 – 爆発の労災事例

ガス管の主弁を誤認しガス漏れ、爆発


発生状況

本件労働災害は、ガス管の切断を行う工事中に発生したものである。今回工事を担当した事業場は普段給排水設備工事を請け負っているが、ガス会社の都合がつかなかったため本工事を担当することになった。

災害発生当日はガス供給配管の切り替え工事を行うことになっており、具体的には地下駐車場の天井に設置された鉄製のガス管(直径90mm)を切断しバルブ止めにするという作業が予定されていた。ガスの主弁の位置については、事前に施設管理事務所の立ち会いのもとに確認が行われていたが、図面での確認は行なっていなかった。

作業は2人で行われ、1人が地下階にある主弁を閉めたはずだったが、実際にはそれが冷温水発生器用の主弁であったため、工事する際に扱うガス管にはガスが通り続けている状態だった。

さらにこの状態で上の階のコンロのガス抜きを行なったが、厨房のガスメーターのコックが閉じた状態であることに気づかないままであったためいつまでもガスが出るところで異常に気づくことができなかった。このとき実際にはガスメーターのコックからコンロまでのガスが抜かれただけであった。

ところがガス抜きが完了したと判断した2人は、パイプカッターでガス管の切断を開始した。半分ほど切断したところでガスの匂いがしたため一度カッターの電源を切ったが、気のせいだと思い再びスイッチを入れたところパイプカッターからはねた火花から漏れ出たガスが爆発した。

原因・対策

本件労災の原因は、普段からガス管工事に携わっていない事業場により工事が行われたことや、主弁の位置を図面で確認しなかったことなどが挙げられる。またガスメーターのコックが閉じておりそれに気づかなかったことも起因している。

このような災害の対策として、作業を行う事業場の安全性を配慮して慣れない作業はなるべく避けること、また工事前に主弁の位置等を図面で確認することが重要である。

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