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建築/建設業界の労災事例

本サイトで紹介している労災事例は、実際にあった労災事故を掲載しておりますが、当協会によせられた労災事例ではありません。予めご了承ください。

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一人親方あんしん労災 – 地山が崩壊し生き埋め

一人親方あんしん労災 – 崩壊、倒壊の労災事例

地山が崩壊し生き埋め


発生状況

本件労働災害は、河川の護岸と土止め擁壁を築造する工事中に発生したものである。現場は幅24m・高さ13mの地山で、ここに高さ6m・長さ22m・幅30㎝のコンクリート製擁壁を築造するとともに、70°の勾配を50°に整形するという計画が立てられていた。

擁壁の築造方法は3段階に分けて行われ、災害発生の前に地山の下をドラグ・ショベルで掘る→1段目の基礎部分(幅3m・高さ0.5m)を打設する→2段目となる本体(高さ2.5m)を打設する→手掘りで地山の高さを1.9m・角度を30°程度に整える→擁壁部分を埋めもどす→3段目の築造箇所に型枠支保工を取り付けるという作業が終了していた。

災害発生当日は3段目の型枠支保工を取り外す作業が予定されており、被災者を含む3人の作業員が業務に当たった。作業開始から20分後、突然地山が大きく崩壊し被災者は土砂に埋もれてしまった。

その後の調査で、現場の地質は上部が礫の多く硬い層で、中部は礫が少なく粘土の多い層、下部は礫と砂の多い層となっていたが、中部層の下部が湿っていたことで地山が崩れやすい状態であったことが判明した。また災害発生時雨は降っていなかったがぐずついた天気が続いており、現場のその月における雨量の累積は50㎜近くあったことが明らかになった。

原因・対策

本件労災の原因は、災害が起きる1ヶ月前ごろから雨天が多く雨水で地山の地盤が弱くなっていたことや、現場の地質調査が専門的でなく目視のみであったことなどが挙げられる。

このような災害の対策として、作業を行う直前でなくても悪天候の続いた場合には、安全に配慮し土止め支保工を設置するなどの措置をとることや、地質調査をより綿密に行うことが重要である。


一人親方あんしん労災 – 潜水作業中送気に異常が発生

一人親方あんしん労災 – 有害物等との接触の労災事例

潜水作業中送気に異常が発生


発生状況

本件労働災害は、港の防波堤を延長する工事中に発生したものである。作業手順は、延長防波堤の建設場所に捨石を投入する→潜水し基礎ならしを行う→基礎本ならしを行う基礎工事を実施→ケーソン3函を設置する→長さ50m・幅20mの防波堤を築造するという流れで行う予定だった。

被災者は海底で空気が送られてこないことに気がつき、船上の作業員に対し「空気が届いていないので予備空気槽から送ってほしい」と通話装置で頼み、作業員はすぐに予備空気槽から送気した。しかし通常予備空気槽から送気した場合潜水服の中にある空気の体積が増えるため潜水夫がすぐに海面に浮上するが、この時は浮上してこなかった。

不審に思った網夫は他の潜水夫に連絡し状況を確認するよう求め、潜水夫が救助に向かうと被災者は水深6mほどのところで逆さになって浮遊していた。

その後の調査で突然空気が送られなくなった原因はコンプレッサーと空気槽を繋ぐ銅パイプの破損であることが明らかになった。また被災者の着用していたヘルメットはキリップという排気用の弁がついており、予備空気槽から空気が送られた際何らかの原因でキリップが押され続けた状態になり排気され続けてしまっていたことも明らかになった。

原因・対策

本件労災の原因は、銅パイプの破損により空気が突然送られなくなったことと、キリップが押し続けられた状態となり排気し続けていたことが挙げられる。

このような災害の対策として、潜水作業に用いる器具は必ずこまめに点検し異常がないか確認することや、潜水を伴う作業を行う者は異常を確認した場合迅速に安全を確保できるよう特別教育を受けることが重要である。


一人親方あんしん労災 – ドラグ・ショベルのバケットが作業員に接触

一人親方あんしん労災 – 激突されの労災事例

ドラグ・ショベルのバケットが作業員に接触


発生状況

本件労働災害は、水道管敷設工事中に発生したものである。当日ははじめに溝を掘削したあと土止めの横矢板を取り付ける作業が行われ、被災者を含む3人が掘削溝に入り横矢板の設置を担当し、別の作業員1人は地上で横矢板を切り溝の下にいる作業員に渡す作業を行なっていた。

またこの作業と同時に、他の下請け業者によりドラグ・ショベルで溝内の不要な土砂を運搬する作業が並行して行われていた。被災者が横矢板の設置を行なっている最中、ドラグ・ショベルが被災者の作業場所に侵入しバケットを下ろした。

これにより被災者はバケットが体に接触し、バケットと溝の側面との間に挟まれた。災害発生当時、元請けの作業員による見回りはされていなかった。

原因・対策

本件労災の原因は、ドラグ・ショベルで溝内の土砂を搬出する際に溝内で作業する者がおりバケットと接触する恐れがあるにも関わらず、ドラグ・ショベル作業範囲内への立ち入りを禁止する措置をとっていなかったことが挙げられる。

さらに溝内で作業する者とドラグ・ショベルの運転手との間で作業計画が定められていなかったことや、元請けの作業員による見回りが甘かったことも起因している。

このような災害の対策として、作業員がドラグ・ショベルの可動範囲内に立ち入らないよう対策を講じることや、ドラグ・ショベルの運転手と他の作業員との間で作業計画を共有することが重要である。また元請けは作業現場の見回りを徹底する必要がある。


一人親方あんしん労災 – ドラム缶の中の廃棄物が発火

一人親方あんしん労災 – 火災の労災事例

ドラム缶の中の廃棄物が発火


発生状況

本件労働災害は、分電盤の取り付けとそれに付随して必要な配線工事などを行う際に発生した。主な作業内容は配管の設置とプールボックスの据付けで、当日はプールボックスを取り付ける作業を行うことになっていた。

配管ダクトは銅のアングルで骨組みがされ、その外側にたる木が組まれており外部を耐火スレート板で被覆したものであった。まず配管ダクトにはしごをかけ配管ダクトの中に出入りできる穴を作り、その後新しいアングルの溶接を開始した。

作業は被災者を含む2人で、配管ダクトの骨組みアングルを足場にして行われた。被災者がアングルを支える担当で、もう1人がアーク溶接のホルダーを持って溶接していた。ところが作業開始からしばらくして、被災者らの下にあったドラム缶が突然燃え上がった。

ホルダーを持っていた作業員はすぐにアングルから降りたため被災しなかったが、逃げ遅れた被災者は作業着に火が燃え移ってしまい火傷を負った。ドラム缶には蓋がなく、中には水、切削油、アルミニウム合金ダイカストの研磨粉、加硫ゴムの研磨粉といった廃棄物が入っていた。

原因・対策

今回の発火の原因として、アルミニウムの研磨粉と水が反応し水素が発生したことで溶接のスパッターが発火した可能性と、研磨粉がスパッターにより直接燃えた可能性の2つが挙げられる。

このような災害の対策として、作業場所にあるものは廃棄物であろうと詳細に調査し、現場の安全が確保されているか適切に判断する必要がある。また廃棄物を捨てる際にも物質の性質をよく理解し正しく処理することが重要である。


一人親方あんしん労災 – 移動式クレーンの吊り荷が作業員に激突

一人親方あんしん労災 – 激突されの労災事例

移動式クレーンの吊り荷が作業員に激突


発生状況

本件労働災害は、15階建てのビルを建築する工事中に発生したものである。業務は長さ約8メートル・重さ約3トンの鉄骨柱の建て方や組み立てを行うというもので、前日に基礎鉄骨部のコンクリート打設は終了しており鉄骨柱やH鋼などが現場に仮置きされている状態だった。

鉄骨柱の建て方を順に終わらせた後、鉄骨柱の上に仮置きされていた別の鉄骨柱を移動式クレーンを用いて移動させることになった。作業半径約15mで定格荷重2.5tの状態では過負荷防止装置が作動してしまうため、作業半径を約10mに狭め定格荷重を4.5tにした。

その結果斜め吊りの状態になり、さらに仮置きしていたH鋼が鉄骨柱に引っかかってしまった。さらにその引っかかった部分を軸として鉄骨柱が回転して、その結果鉄骨柱は付近の鉄骨柱のボルト締めの作業を行っていた被災者に激突した。

原因・対策

本件労災の原因は、移動式クレーンの作業半径内に作業者がいたことや、建て方の順番など安全委配慮した詳細な作業計画を立てていなかったことなどが挙げられる。さらに移動式クレーンを適切な使われ方ではない斜め吊りの状態にして作業していたことも起因している。

このような災害の対策として、鉄骨を組み立てる際は作業順序にも注意して作業員の安全を守ることのできる適切な作業計画を立てることや、移動式クレーンの性能に適していない方法で車両を使用せず、安全に配慮して作業することが挙げられる。

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