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建築/建設業界の労災事例

本サイトで紹介している労災事例は、実際にあった労災事故を掲載しておりますが、当協会によせられた労災事例ではありません。予めご了承ください。

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一人親方あんしん労災 – 送電線の点検作業中に感電

一人親方あんしん労災 – 感電の労災事例

送電線の点検作業中に感電


発生状況

本件労働災害は、送電線の点検工事中に発生したものである。作業内容は、地上部分にひびや傷みがないかどうか点検→安全帯を電柱に掛け上部に登る→電柱の中央部分でアース線からアースの抵抗値を点検→支持電線や碍子の目視確認→柱から降りるという流れで行われた。

現場には作業員が4人おり、作業は2人1組になって行われた。被災者は電柱を登って点検する担当になり、地上部での点検を済ませると安全帯を電柱に掛け電柱の上部に登った。アースをとってさらに上へと登るところで、被災者は支線に錆びつきが見られることを確認したためこの様子を記録しようと撮影を試みた。

この時近くに送電線の縁まわしが輪になって垂れていた。被災者はコンクリート柱で移動しようと安全帯の補助綱を外した上で本綱もはずしてはかけてを繰り返していた。ところがしばらくして、本綱が外れた状態でバランスを崩した被災者は縁まわしに触れてしまい、感電した。

縁まわしと被災者は水平距離で115cmしか離れておらず、また災害発生当時地上で現場を監視を担当していた作業員は、書面の記入にあたっており被災者の作業する様子を確認していなかった。

原因・対策

本件労災の原因は、停電作業にしなかったことや安全帯の使用方法が適切でなかったことなどが挙げられる。また被災者が接近限界距離を守っていなかったことや地上にいた作業員による監視が甘かったことも起因している。

このような災害の対策として、感電の恐れがある現場ではできるだけ停電作業にすることや、安全帯は補助綱を外さないようにすることが重要である。さらに活線に近づいて作業しなければならない場合には高所作業車を用いることや、監視者は自らの役割を果たせるよう他の業務と重ならないよう事前に調整することも重要である。


一人親方あんしん労災 – 積載形トラッククレーンの車両が倒れる

一人親方あんしん労災 – 転倒の労災事例

積載形トラッククレーンの車両が倒れる


発生状況

本件労働災害は、排水路工事に使用した土止め用鋼材を移動式クレーンで運ぶ作業中に発生した。運搬には吊り上げ荷重2.93tの積載形トラッククレーンを使用することになったが、普段クレーンを運転する作業員が当日不在だったため被災者が代わりに運転することになった。

作業は被災者を含めて2人で行われることになり、もう一人の作業員は玉掛けを担当した。作業手順は、鋼材3、4枚をワイヤーロープでくくる→合図を送る→被災者がクレーン車の荷台まで鋼材を移動させる→荷台に乗りワイヤーロープを外す→荷台から降りるというものだった。

これを2回行った後被災者は資材おき場までトラッククレーンを運転し、もう一人の作業員は車両の後ろを徒歩でついて行き資材置き場で荷下ろしをした。この時も先ほど同様被災者がクレーンを操作しもう一人が玉掛けを担当した。

ところが作業開始からしばらくして玉掛けを担当する作業員が小休止するといったため、被災者は1人で作業を続行することにした。鋼材7枚(約2.4t)を一度に玉掛けした被災者は荷下ろし作業を開始しようとしたが、吊り荷の重さに耐えきれなくなったトラッククレーンが右に傾いてしまい、その結果被災者の体は車体と隣に置いていた鋼材の間に挟まれた。

原因・対策

本件労災の原因は、アウトリガーの張り出しが不十分であったことや定格荷重を超える7枚の鋼材を一度に吊り上げたことが挙げられる。また被災者が日頃から積載形トラッククレーンを運転しておらず、知識が不十分であったことも起因している。

このような災害の対策として、トラッククレーンを用いて作業する場合には必ず定格荷重を超えないよう注意することや、アウトリガーを最大に張り出すことが重要である。さらに建設機械は専門知識を所有し適切な安全教育を受けた者だけが操作するよう徹底することも重要である。


一人親方あんしん労災 – 電動機の絶縁不良で感電

一人親方あんしん労災 – 感電の労災事例

電動機の絶縁不良で感電


発生状況

本件労働災害は、業務用の冷蔵庫をビルの1階に取り付けるためコンクリート床に配線用の穴を開ける作業中に発生したものである。床のコア抜き作業には4人の作業員が従事し、そのうち2人はコアボーリングマシンの操作を担当し、被災者を含む残りの2人が地下1階の天井裏で床の切断部分を受け取る作業を担当することになった。

作業開始からしばらくして、1階の床部分に張られた鉄筋を切断するためコアボーリングマシンの代わりに手持ちディスクグラインダを使用することになった。被災者は空調用ダクトに乗り切断作業を開始したが、途中でのどと背中の左側に電流が流れ感電してしまった。

ダクトは高さ40㎝・幅90㎝ほどで、1階の床下までは高さ1.1mほどであった。このダクトは導電性が高い金属はくと金網で覆われており、被災者が使用したディスクグラインダは電動機が焼けてしまっており絶縁不良の状態であった。

原因・対策

本件労災の原因は、研磨用のディスクグラインダで鉄筋を切ろうとする際に電動機に大きな負荷がかかり、結果として熱を帯び絶縁不良になってしまったことや、手持ちディスクグラインダの電源道路に感電を防ぐための漏電遮断機を取り付けていなかったことが挙げられる。また金属製の外枠を接地していなかったことも起因している。

このような災害の対策として、導電性の高い場所で作業する場合には必ず感電防止漏電遮断機を接続することや、電動機に過剰な負荷がかからないよう電動使用器具は使用目的に合うものを使うことが重要である。


一人親方あんしん労災 – 掘削穴の壁面が崩壊

一人親方あんしん労災 – 崩壊、倒壊の労災事例

掘削穴の壁面が崩壊


発生状況

本件労働災害は、河川の幅を広げ護岸ブロックを配置する工事中に発生した。災害発生当時は護岸ブロックを取り付けた後、ブロックの支えとなる隔壁を設置する作業を行なっていた。現場には隔壁を設置するため深さ5m、直径4mほどの掘削穴を用意しており、これは以前一度掘られた箇所を埋め戻して数日後に再び掘られてできたものであった。

災害発生当日は、隔壁の型枠を解体しているところで雨が降り始めそのまま降り続いている状態だった。しばらくして隔壁の写真を撮影するため穴に溜まった湧き水をポンプで外に出そうとしたがなかなかうまくいかず、被災者を含めた作業員3人が穴の中に立ち入りポンプを起こそうとした。

すると突然被災者の背にあたる壁面が大きく崩れ、被災者は前のめりに倒れポンプに強く胸を打ち付けてしまった。この掘削穴は河川沿いで湧き水がたまりやすく、法面の勾配はほぼ垂直であった。

原因・対策

本件労災の原因は、掘削穴を掘ることになった箇所の土質が雨水や湧き水の影響で不安定な状態であったことや、法面の勾配をほぼ垂直にして掘り、さらに土どめ支保工も設置していなかったことなどが挙げられる。

このような災害の対策として、地面を掘削する場合には現地の地質や湧き水の有無などを作業開始前に調査することが重要である。またその調査に基づいて掘削の勾配を緩やかなものにするか、あるいは土どめ支保工を設置するといった作業員の安全に配慮した適切な作業計画を定めて実行することも重要である。


一人親方あんしん労災 – 2階からコンクリート基礎に墜落

一人親方あんしん労災 – 墜落、転落の労災事例

2階からコンクリート基礎に墜落


発生状況

本件労働災害は木造一般家屋新築工事において、2階部分の建方作業終了後、棟上げのため小屋束の取付作業にかかっていたところ、作業員が2階床の端からコンクリート基礎に落下したものである。

災害発生当日は、前日までに1階建方が終わったので2階建方作業に取り掛かっていた。現場にいた従業員は、被災者の棟梁と事業者の社長を含めて7名だった。被災者は、建物全体の建方作業を任ぜられていたため、2階において棟上げ作業の監督指揮を執りながら、2階じゅうを移動しながら大工たちと作業を一緒に進めていた。

被災時は移動式クレーンを用いた作業は完了したあとで、2階屋根の作業に取り掛かっていた。地上では作業が終了したので、後片付けしている最中に、2階の床端から被災者が墜落してきた。

事故当時は、母屋の最も高い部分まで足場が組まれていたがその他の部分には足場が一切なく、2階床も一部設置がされておらず口が空いている状態であった。それにもかかわらず、墜落防止用のネットや安全帯などの防護策もされていなかった。

原因・対策

本件労災の原因はまず、建方作業にも関わらず足場の設置が不十分かつ墜落防止策も施されていなかったことが挙げられる。さらに階段などの安全な昇降設備の設置がされていなかったことも理由として挙げられる。現場の作業主任者は社長にも関わらず、その指揮が執られておらず、無資格の被災者が建方の主任者として任されていたことも、問題点である。

このような災害に対しては墜落防止措置をしっかり施し、安全に昇降できるような設備を設けること。とくに足場を先行することで、昇降や外部からの搬入などに配慮することが重要である。さらに主任者にあたるものがしっかりと陣頭指揮を執り、安全で最適な作業方法を徹底させることも大切である。

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