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建築/建設業界の労災事例

本サイトで紹介している労災事例は、実際にあった労災事故を掲載しておりますが、当協会によせられた労災事例ではありません。予めご了承ください。

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一人親方あんしん労災 – 斫り機の排気ガスにより作業者2名が一酸化炭素中毒に

一人親方あんしん労災 - 有害物質との接触の労災事例

斫り機の排気ガスにより作業者2名が一酸化炭素中毒に


発生状況

本件労働災害は工場の床の改修工事において、作業者2名がガソリンエンジン斫り(はつり)機の排気ガスによる一酸化炭素中毒を起こしたものである。

事故発生当日、工事現場は工場の屋内であり、改修工事はまず、古くなった床を削り取ってから各種の処理を行い、最終的に床に樹脂を塗るというものであった。被災者2名はガソリンエンジン斫り機を使用して床を削り取る作業を担っていた。

まず、被災者の1名は午前中に作業を行っていたが、作業開始後すぐに体調が悪くなったため、屋外に出て休憩をとった。続いて、交代して作業を始めた2人目の被災者もすぐに気分が悪くなったので屋外に休憩をしようとしたところ、出入り口付近で意識を失い倒れた。

なお、作業中は換気を行うために2つのドアを全開にしており、ポータブルファンを利用することで送気量毎分70㎥の送気も行っていた。

原因・対策

本件労災は、換気がしづらい屋内でガソリンエンジン斫り機をしようしたことと、斫り機周辺の換気が不十分であったために有害物質の濃度が局所的に高くなってしまったことが原因で起きた災害である。

このような事故を防ぐために屋内作業では極力、電動式の機械を用いて作業を行うことや、ガソリンエンジン式を使用せざるを得ない場合は、適切な換気を行いつつ必要に応じて一酸化炭素濃度の測定を行うことが重要である。また、作業者に呼吸用の安全装備をさせることでこのような事故を回避することができる。


一人親方あんしん労災 – コンクリート擁壁が崩壊し、下敷きに

一人親方あんしん労災 - 崩壊、倒壊の労災事例

コンクリート擁壁が崩壊し下敷きに


発生状況

本件労働災害は、水路用ボックスカルバートの設置工事中にコンクリート擁壁が崩れ、作業者1名が下敷きになったものである。

事故発生当日、被災者はバックホウ(ドラグショベル)によって掘削された溝に入って、ボックスカルバートの裾つけ基礎コンクリートを打ち込むための型枠組み立て作業を行なっていた。溝はほとんどが土止め工事がされていたが、当日に掘削された部分に関してはまだ土止めされておらず、崩れやすい状況の中で作業を進めていた。午前の作業が無事に終わり、午後の工事を始めるために被災者が溝に入り作業を再開しようとしたところ、土止めされていなかった箇所からコンクリート擁壁が崩れ始め、15m以上もの擁壁が崩壊した。そして被災者がそれらの下敷きになったものである。

原因・対策

本件労災は、当日に掘削された箇所に土止めが設けられていない中で作業をしていたことなど、安全対策を考慮した手順で工事が行われていなかったことでコンクリート擁壁が崩壊してしまった。また、土止め支保工作業主任者が選任されていなかったことも要因の一つである。

このような事故を防ぐために、正しい作業手順を作成し、掘削が完了した箇所にはすぐに土止め工事をすることが大切である。さらに、それらを行う際には作業主任者の指示のもとで作業をし、作業主任者は工事開始前の打ち合わせを十分に行うことが重要である。


一人親方あんしん労災 – マンホール内にガス流入で酸素欠乏症に

一人親方あんしん労災 – 有害物等との接触の労災事例

マンホール内にガス流入で酸素欠乏症に


発生状況

本件労働災害は、ガスの配管工事中に発生したものである。被災者の所属する事業場は主にガスの配管工事を請け負っていて、当日は地下に埋没している径700mmのガス配管に新設した箇所2400mを連通させる工事を担当していた。

この工事は容積およそ9㎡のマンホールの中で、ガス配管の連結箇所にあるガス遮断板(ガスが通じる部分と未通部分とを区分させる)を取り除き、ガス管を連通させるというものであった。

具体的にはマンホールの酸素濃度を測定し換気→バルブのグリスアップ→フランジボルトを取り外し、ガス遮断板を撤去→フランジボルトを締め配管を再び連結→バルブを開けガスを通すという手順で行われることになった。

作業は被災者を含め4人で担当していた。作業開始からしばらくしてバルブのボルトを25本外した段階で、遮断板の下側が押し広げられガスが漏れ始めた。これに気づいた作業員らは脱出を試みたが、そのうち1人が酸素欠乏症となりマンホール内で倒れこんでしまった。

原因・対策

今回作業場所が酸素欠乏状態となった要因としては、空気以外のガスによる空気の置換が挙げられる。これはバルブが開かれた状態であったのにもかかわらず遮断板を取り外そうとしたためマンホール内に天然ガスが噴出したことで発生した。

このような災害の対策として、バルブがきちんと閉まっているかを確認する作業を手順に組み込み忘れないようにすることや、酸素の濃度を保って安全に作業できるか事前に調査することが重要である。


一人親方あんしん労災 – ボルトにつまずき、スレート屋根から落下

一人親方あんしん労災 - 墜落、転落の労災事例

ボルトにつまずき、スレート屋根から落下


発生状況

本件労働災害は、屋根の補修工事中に作業者1名がボルトにつまずいてスレートを踏み抜き、墜落したものである。

事故発生当日、作業者4名で雨や風によって劣化した製紙工場の屋根を修復する工事を担っていた。まず、歩み板を屋根の上に運び安全な足場を確保しようとしたところ、スレートの一部のボルトが突出していたため、歩み板を設置することができない状態であった。作業責任者の判断により歩み板は使用せずに工事を進めることとなった。工事は順調に進み、休憩の時間になったので屋根に登っていた被災者を含む3名は下に降りるため、スレート屋根を移動した。すると、1番後ろを歩いていた被災者が突出したボルトにつまずき、そのままスレート屋根を踏み抜いて、8m下の地面まで落下した。現場は安全帯を使用する設備が整っていなかったため、作業者4名の安全対策としては保護帽のみであった。

原因・対策

本件労災は歩み板を使用できない上に、他の安全措置を行うことなく作業を進めたことや、作業計画が不十分だったためスレート上を余分に移動せざるを得ない状況だったことが原因で起きた災害である。

このような事故を防ぐために、事前に屋根の状態を把握し、突出したボルトがあることを確認した上で適切な安全措置や作業計画を立てることが大切である。また、作業者の安全教育を再度徹底して行うことや、各作業における細かなマニュアルを作成するなどの工夫も重要である。


一人親方あんしん労災 – 接着剤の含有成分ノルマルヘキサンに引火

一人親方あんしん労災 – 火災の労災事例

接着剤の含有成分ノルマルヘキサンに引火


発生状況

本件労働災害は、レストランで利用する食品材料を保管するための冷凍倉庫を新築する現場で発生したものである。倉庫は鉄骨造りで平屋建て、床面4.0×8.5m・天井の高さ2.5mで窓がなく開口部は入り口と換気口のみで通気の悪い状態だった。

災害発生当日は9名の作業者で倉庫の天井や壁に断熱材を二重に貼る作業を行った。具体的には倉庫内で断熱材(90×180㎝)に接着剤を塗布→10分放置しノルマルヘキサン(ゴム系接着剤に20%ほど含まれている物質)を蒸発させる→天井、壁に貼り付けるという手順で行うことにした。

このとき通常は断熱材の裏に「田」字を書くように塗布するものを裏面全体に塗っていた。作業開始から5時間後、天井と壁の貼り付け作業が完了したところで休憩を取り、サノゴ床面への貼り付け作業を同じ手順で開始した。

作業開始から2時間後、倉庫の入り口付近に置いていた投光器の辺りから突然発火し、直後に炎が現場一面を覆い作業員の複数名が火傷の被害にあった。その後の調査で現場には接着剤が18ℓ入った缶2つを蓋を開けたまま置いていたことや、投光器に防爆構造はなくコードが損傷していたことが判明した。

原因・対策

本件労災の原因は、通気の悪い作業現場かつノルマルヘキサンの引火点がマイナス22℃と極めて低いにも関わらず換気していなかったことや、投光器に防爆構造がないものでありコードの損傷もあったことなどが挙げられる。

このような災害の対策として、有機溶剤を使用する際は必ず換気することや電気器具は防爆構造のあるものを利用することが重要である。

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