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建築/建設業界の労災事例

本サイトで紹介している労災事例は、実際にあった労災事故を掲載しておりますが、当協会によせられた労災事例ではありません。予めご了承ください。

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一人親方あんしん労災 – 切断したブロック塀の下敷きに

一人親方あんしん労災 – 崩壊、倒壊の労災事例

切断したブロック塀の下敷きに


発生状況

本件労働災害は、個人住宅のブロック塀を解体する作業中に発生したものである。高さ4.0m・長さ8.5mの塀の傾いた部分を解体する工事で、作業は被災者を含め3人で行われることになっていた。

塀は下から2.5m部分は幅14㎝のブロック製で、上1.5mは鉄フェンス製であった。塀は高さ1.1mから傾いており、ブロック塀内には鉄筋(直径1.2cm)が80cm間隔で11本、横に1m間隔で2本入っていた。

当日の作業は、傾いた塀を引き起こす→ブロックに穴をあけワイヤーロープを通し丸太で固める→フェンスを取り外しブロック塀の上部をハンマーで破壊→ワイヤーロープを引くことでブロック塀を倒すという手順で行われる予定だった。

しかしワイヤーロープを引いてもブロックは倒れなかったため、ブロック塀の下部をハンマーや電気ドリル、たがねを使用し60cm間隔ではつり、鉄筋はサンダーで切断した。

作業開始から1時間後、突然ブロック塀が倒れた。ブロック塀の内側にいた被災者はその場から逃げることができず倒壊するブロックの下敷きになった。災害発生時被災者は保護帽を着用していなかった。

原因・対策

本件労災の原因は、ブロック塀が下部の切断やはつりによって倒れやすい状態になっていたことや、被災者がブロックの倒れこむ側で作業していたことなどが挙げられる。

このような災害の対策として、塀の解体など倒壊の恐れがある場合は控えを用いるなどして安全に配慮することが重要である。また作業場所も十分に注意し、万が一の時のため保護帽の着用を徹底する必要がある。


一人親方あんしん労災 – トラッククレーンのブーム部が送電線に接近し、操縦者が感電

一人親方あんしん労災 - 感電の労災事例

トラッククレーンのブーム部が送電線に接近し、操縦者が感電


発生状況

本件労働災害は、積載型トラッククレーンのブーム部が送電線に接近し、放電して運転者が感電したものである。

事故発生当日、被災者を含む作業者2名は、鉄骨造倉庫増設のためのコンクリート基礎工事を担っていた。まず、鋼単管を用いて型わくを作る作業にとりかかったところ、必要な単管が不足していることに気がついた。なので、被災者と作業者1名は積載型トラッククレーンを移動させ、空き地に置いてある単管を運ぶことにした。1人がワイヤロープで玉掛けを行い、被災者がクレーンを操縦して単管を巻き上げて旋回を行おうとしたところ、ブームが架空送電線に接近し、車体に交流33,000Vが放電してその電流で感電した。送電線には感電防止のための措置が施されていなかった。

原因・対策

本件労災は、クレーンのブームが送電線に接近する可能性があったにも関わらず、それに伴った適切な措置が行われていなかったことや、事前に単管の積み込みに関する作業計画が立てられていなかったために起きた災害である。

このような事故を防ぐために、送電線とクレーンのブームまたはワイヤロープ間に適切な距離を保つこと(特別高圧電線の場合は2m以上)や、あらかじめ作業計画を入念に作成し、電力会社との打ち合わせも十分に行うことが重要である。また、感電の危険性を十分周知した作業主任者を選任し、当該工事の監視をさせることも必要である。


一人親方あんしん労災 – マンションの地下階段踊り場で急性有機溶剤中毒

一人親方あんしん労災 – 有害物等との接触の労災事例

マンションの地下階段踊り場で急性有機溶剤中毒


発生状況

本件労働災害は、マンションの改修工事を行っている際に発生したものである。災害発生時は地下階段の踊り場付近の壁に仕上げ材を吹き付ける作業中であった。

塗装は、下地を整える→下塗主材を吹きつける→仕上げ材を塗るという手順で行われ、南面から塗り始め西、北、東と続く予定だった。

マンションは地下2階から地上3階までの階段を有しており、階段の東側に抱き足場が設置され外側はシートで養生している状態だった。地下に続く階段は8段下ると左に折れさらに6段下りたところに踊り場があるものだった。

被災者は踊り場で仕上げ材の吹き付けを行っていたが、しばらくすると気分が悪いと言い出しその数分後に倒れこんだ。その後被災者は急性有機溶剤中毒になっていたことが明らかになった。

また事故後の調査で当時現場の作業員は防毒マスクや送気マスクを着用しておらず、現場は地下階段の踊り場で風通しが悪いにも関わらず排気装置や全体換気装置などの設置をしていなかったことが判明した。

原因・対策

本件労働災害は、階段の踊り場という閉所であるにも関わらず有機溶剤を飛散の多い吹付けにより塗装したことや、防毒マスクの着用等吸い込みを防ぐ対策を怠っていたことが挙げられる。また局所排気装置等を設置せず、さらに全体換気装置も使用しなかったことも起因している。

このような災害の対策として、有機溶剤の扱いに関して作業主任者を命じ適切な使用方法を守るようにすることや、局所排気装置を設置するかそれが難しい場合は全体換気を行いマスクの着用を徹底することが重要である。


一人親方あんしん労災 – 船内のバラストタンクで酸素欠乏

一人親方あんしん労災 – 有害物等との接触の労災事例

船内のバラストタンクで酸素欠乏


発生状況

本件労働災害は、湾岸における浚渫工事を行なっている時に発生したものである。本工事は浚渫船で掘削を行い、掘削した土砂を2隻の土運船に積み処分場所まで運ぶというものだった。

1度目の土砂運搬が終わり作業現場に戻ったとき、船長が「船の左後ろが傾いているので点検して欲しい」と作業員2人に声をかけた。2人がバラストタンクを点検するためマンホールを開けると、タンクに水が入っていたことが明らかになった。

船長はタンクの中を換気するためエアホースを投入し、作業員2人が水中ポンプをバラストタンクの中へ入れた。しかしポンプの搬入がうまくいかず、作業員の1人が梁の上に移動ししばらく作業を続けていたが、突然梁から船底へ落下した。

この様子を見ていたもう1人の作業員が大声で助けを求めると、近くにいた別の作業員と副船長が駆けつけた。作業員は装備を一切せずタンク内に突入したが、すぐに倒れこんだ。副船長もロープを使用しバラストタンクに入ったが、その後気分が悪くなり引き上げられた。

タンクは長いあいだ密閉状態で、酸素が欠乏していた。他のバラストタンクの状態を測定すると、酸素濃度16.3%・二酸化炭素濃度6ppmであった。

原因・対策

本件労災の原因は、作業を始める前に現場の酸素濃度を確認しなかったことや換気が十分に完了する前に現場に足を踏み入れたことなどが挙げられる。

このような災害の対策として、作業を行う前に必ず酸素濃度を測定し安全を確認することや、換気が十分に完了するまで危険な現場に立ち入らないことが重要である。


一人親方あんしん労災 – 上水道管の設置工事において土砂が崩壊

一人親方あんしん労災 - 崩壊、倒壊の労災事例

上水道管の設置工事において土砂が崩壊


発生状況

本件労働災害は、民家に300メートルの上水道を設置する工事中、土砂が崩壊し作業者1名が巻き込まれたものである。

自己発生当日、法面水平面と(傾斜45°)の境界部で作業を行なっていた。工事はまず、バックホウ(ドラグ・ショベル)を用いて掘削を行った後に床をならし、水道管を設置していくという工程で行われた。被災者は床ならしまで終えたため地下2メートル地点で、水平面と法面のジョイントを固定するための杭を打ち込む作業を担っていた。まず水平面から地下に降り、法面下に差し掛かった際、頭上の土砂が崩壊し被災した。

なお、現場に作業責任者は選任されておらず、点検者がいなかったため地質の調査を行っていなかった。法面部の土壌は「残留土壌」、「節理のない凝灰岩の強風化したもの」、「節理のある凝灰岩の強風化したもの」で構成されていた。

原因・対策

本件労災は、法面部の土壌が安定していない状況を把握していないにも関わらず、杭を打つという振動が起こる作業を行ってしまったことや、適切な判断を下せる作業責任者、あるいは地質調査を行える点検者が選任されていなかったことが原因で起きた災害である。

このような事故を防ぐために、地山の掘削を行う際は必ず地質や地層の状況を調べた上で、適切な勾配設定や作業手順を考えることが重要である。また、土砂が崩壊する可能性がある現場では土止め支保工を設ける等の措置を行うなどの適切な判断ができる掘削作業責任者を選任した上で工事を行うことも大切である。

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