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建築/建設業界の労災事例

本サイトで紹介している労災事例は、実際にあった労災事故を掲載しておりますが、当協会によせられた労災事例ではありません。予めご了承ください。

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一人親方あんしん労災 – 誘導者がドラグ・ショベルのブームに挟まれる

一人親方あんしん労災 – はさまれ、巻き込まれの労災事例

誘導者がドラグ・ショベルのブームに挟まれる


発生状況

本件労働災害は、覆道の建設作業中に発生したものである。前日までに覆道は完成しており、当日は山側の掘削面と覆道外壁面の間部分の土砂を埋め戻し、土止め支保工を解体する作業が行われていた。

埋め戻しにはドラグ・ショベルを、解体にはトラッククレーンを用いることになっていたが、近接作業を防ぐため中央で2つのエリアに分けて作業を行うことにした。被災者はドラグ・ショベルの誘導を担当していた。

被災者は覆道の上に移動し、手と笛で合図を送ることにした。作業開始から3時間後、バケットをあげるように合図した後「一旦停止」、「旋回」を指示し、埋め戻し場所に到着したため「停止」の合図を出した。

この時運転手から被災者の姿が見えなくなり、特に指示がないため運転手は埋め戻し用の土を落とすためバケットを動かし始めた。その後バケットを戻そうとすると、周囲で叫び声が聞こえたため運転席を降りたところ被災者が覆道壁とドラグ・ショベルのブームの間に挟まっていることを確認した。

原因・対策

本件労災の原因は、運転手が被災者の指示を待たず独断で作業を続行したことと、被災者がドラグ・ショベルの可動範囲内に入ってしまったことが挙げられる。またトラッククレーンが近くで作業していたため、被災者の笛の音が運転手にはほとんど聞こえていなかったことも起因している。

このような災害の対策として、合図が確認できないときには運転操作をすぐにやめることや、重機を誘導する際には可動範囲から外れた安全な場所で行うことなどが挙げられる。さらに合図の方法は作業場所の状況を踏まえた上で話し合うことが重要である。


一人親方あんしん労災 – 下水道トンネル建設中に掘削面が爆発

一人親方あんしん労災 – 爆発の労災事例

下水道トンネル建設中に掘削面が爆発


発生状況

本件労働災害は、下水道トンネルの建設中に掘削していた切羽付近で発生したものである。 作業は、シールド機の回転カッターで土地を掘削する→鋼製セグメントを組み立てる→セグメントの裏込め注入という流れで行われた。

切羽周辺の地質は軽石質の砂れき層で、ところどころシルト層の部分もあった。そしてこのシルト層の下は、ガスが溜まっている可能性のある砂れき層であった。現場のトンネルでは坑口、坑内中間点と切羽の3地点で1日に2度、可燃性ガス濃度の数値を測定していたが、事故発生前の計測時点では特に異常は見られなかった。

ところが測定の2時間後、掘削作業を進めている最中に切羽付近が爆発し、被災者は火傷を負った。発生当時の換気に関しては、立坑入口付近に送風機が設置されており、切羽の60m先までスパイラル管で押込送風されていた。

災害後の調査で、設置したリングのグラウトホール周辺とシールド機後部天端付近でメタンガス濃度が5%を超えていたことが判明した。また点火源は、操作ユニット開閉器かタバコの火である可能性が高いこともわかった。

原因・対策

本件労災の原因は、ガスの発生が考えられる地層が掘削部分よりも下であったことから確認が甘くなってしまったことと、換気が足りなかったことが挙げられる。さらに喫煙するなど現場の火気管理に対する意識が薄かったことも挙げられる。

このような災害の対策として、ガスの発生する地層が掘削部分より下方にあっても必ずメタンガスのチェックを行うことと、場合によっては自動警報装置を用いることが挙げられる。さらに火気管理に対する意識を作業員全員が強く持つことも重要である。


一人親方あんしん労災 – 足場を設置せずに高所で作業したことによる墜落

一人親方あんしん労災 – 墜落、転落の労災事例

足場を設置せずに高所で作業したことによる墜落


発生状況

本件労働災害は、使用しなくなった階段を取り壊す作業中に発生したものである。

4階建てのビルを塗装する工事で、外壁の塗装で必要な足場を組み立てるときに障害となる、外部階段を人力で解体することになった。この作業は被災者を含む作業員2人によって行われた。2人は4階の踊り場部分に移動し、ハンドブレーカーで端から少しずつコンクリートスラブを破砕していった。作業途中、踊り場と外部廊下をつなぐコンクリートスラブに60㎝ほどのヒビが入り、1人がそれに気づき被災者に声をかけたが、被災者はこれを無視したため2人は作業を続行した。

4階の踊り場を解体し終えた2人は、次に3階の踊り場で同様の作業を開始した。梁の上にあるコンクリートスラブを解体し終えた瞬間、踊り場と外部廊下をつなぐコンクリートスラブが崩れて踊り場が傾斜し、2人ともおよそ8m下の地面に落下し、被災者は落ちてきた踊り場の下敷きになった。

原因・対策

本件労災の原因は、崩壊する可能性のある作業にも関わらず、安全対策を何も行なっていなかったことと、現場にコンクリート製工作物の解体等作業主任者がいなかったことが挙げられる。さらに適切な作業計画を立てていなかったことも起因している。

このような災害の対策として、高所で作業するときには必ず足場など安定した作業床を用意するような安全対策を実施することと、解体する工作物の状態を事前に確認し、それに対応した作業計画を立てることが挙げられる。さらに作業現場には必ず適切な資格を得た作業責任者を配置することが重要である。


一人親方あんしん労災 – 絶縁用保護具を着用せず、き電線に触れ感電

一人親方あんしん労災 – 感電の労災事例

絶縁用保護具を着用せず、き電線に触れ感電


発生状況

本件労働災害は、高圧電線の張り替えを行う工事で、絶縁用防具を取り外す作業中に発生したものである。作業手順は、作業場所近くの鉄道のき電線に絶縁用防具を取り付ける→高圧電線を交換し、がいしを取り替える→鉄道のき電線に取り付けた絶縁用防具を外す、という流れで行われた。

災害発生当日、現場には電気用安全帽・電気用ゴム手袋・絶縁衣・電気用長靴が用意されており、作業を始める前に必ずこれらの絶縁用保護具を身につけるように責任者が確認を行なった。指導を受けた被災者は、これらを着用して絶縁用防具を取り付ける作業を行なった。

しかしその後の高圧電線の交換は停電作業であったことから、被災者は保護具のうち電気用ゴム手袋と絶縁衣を外して作業を開始した。その後絶縁用防具を取り外すときに、ゴム手袋は着用したものの絶縁衣を身につけなかった被災者は、き電線に取り付けた絶縁管を外し他の作業員に受け渡す作業中に、き電線の充電部に触れ感電してしまった。

災害発生当時、作業の責任者は別件で事務所へ引き上げており不在であった。

原因・対策

本件労災の原因は、被災者が絶縁衣を着用せずに作業を行なったこと、当日の天気は曇りで気温33℃・湿度約80%と高温多湿であったにも関わらず、着用の指導が弱かったことが挙げられる。さらに指示を出した責任者が作業当時不在であったことも起因している。

このような災害の対策として、まず絶縁用防具の装着・取り外しを行うときには必ず絶縁用保護具を身につけることが前提として挙げられる。また作業場所が高温多湿である場合保護具の着用が不確実になることを勘案し、責任者は着用の指示を徹底し、作業中も随時作業員の服装を確認する必要がある。


一人親方あんしん労災 – 土止め支保工の腹起こしが倒壊し激突される

一人親方あんしん労災 – 崩壊、倒壊の労災事例

土止め支保工の腹起こしが倒壊し激突される


発生状況

本件労働災害は下水管の敷設工事中に、掘削溝の地山と土止め支保工の腹起こしが崩壊して発生したものである。溝は幅1m、深さ2.3mほどで、3m掘削するたびに土止め支保工を組み立てていた。

組み立ての手順は、掘削した部分の四隅に親柱を立てる→親柱に腹起こしを設置する(作業員が北を向いて右下、左下、右上、左上の順)→パイプサポートを切りばりとして当てる→腹起こしで囲まれた部分に木矢板をぴったりとはめる、というものだった。

本事故は腹起こしを設置する際に発生した。左下の腹起こしを取り付けていると突然右下の山壁と腹起こしが崩れ、溝で作業していた被災者に腹起こしの部材が激突した。その後の調査で、現場の土砂は連日の雨で水分を多く含んでいたこと、数ヶ月前に現場付近でガス管工事があり、今回崩れた土砂は埋め戻されたものであったことが判明した。

原因・対策

本件労災の原因は、本来土止め支保工を組み立てる際には掘削回数を2回に分け、1回目の掘削が完了した時点で親柱を打ち込まなければならないが、一度に掘削しきってしまってから打ち込みを行ってしまったことが挙げられる。さらに現場の管理者は作業場所に埋め戻された部分があること、雨により地盤が緩んでいたことを知っていたにも関わらず、具体的な対策を考えていなかったことが挙げられる。

このような災害の対策として、土止め支保工を設置するときは必ず現場の土地の状態に合わせて行うこと、より安全に配慮した作業計画を立てることが挙げられる。

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