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建築/建設業界の労災事例

本サイトで紹介している労災事例は、実際にあった労災事故を掲載しておりますが、当協会によせられた労災事例ではありません。予めご了承ください。

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一人親方あんしん労災 – 高所作業車の降下中に作業者2名が地面に投げ出される

一人親方あんしん労災 - 墜落、転落の労災事例

高所作業車の降下中に作業者2名が地面に投げ出される


発生状況

本件労働災害は、高架道路の床版工事で使用した荷物を地上に下ろす際に、高所作業車のリフトアームが折れて作業者2名が地面に投げ出されたものである。

事故発生当日、被災者2名を含む作業者4名は高さ8.5メートルにあるつり足場の荷物を地上へ下ろすために、高所作業車のプラットフォームで積荷作業を行なっていた。まずは型枠材をプラットフォームに積んでいき、床から80センチほどまで積んだところで過積載の警報ブザーが鳴った。しかし、作業者4名はまだ積めるだろうと勝手に判断し、最終的に手すりの高さまで荷物を積んでから、地上の作業責任者がリフトアームを降下させていった。すると、約4メートル降下した時点でリフトアームが折れ曲り、プラットフォームが大きく傾いて被災者2名は外へ投げ出され、そのまま地面に激突した。

原因・対策

本件労災は、高所作業車を積載荷積の約2.7倍にも及ぶ過積載で使用したことや、作業責任者を含めた作業員全員の安全意識が極めて低かったことが原因で起きた災害である。

このような事故を防ぐために、高所作業車は必ず規定の重量の範囲内で積載を行い、過積載の状態で使用しないことが重要である。また、作業員に対して安全教育を徹底して行い、適切な作業計画を立てることも大切である。今回は、事前に積荷の重量を確実に把握しておく必要があった。


一人親方あんしん労災 – はつり作業で一酸化炭素中毒に

一人親方あんしん労災 – 有害物等との接触の労災事例

はつり作業で一酸化炭素中毒に


発生状況

本件労働災害は、工場に敷かれたコンクリート床を一度剥がし、樹脂モルタルを塗布するという工事を行う際に発生したものである。床のはつり作業は6人で行うこととなり、2人ははつり機2台を運転し、別の2人ははつり機1台につき1機接続している集塵機の運転を担当、残りの2人はそれぞれ電動式サンダーの操作につくこととなった。

作業は午前10時ごろ開始された。このとき現場では200Vの可搬式換気用ファンを2基、100Vの可搬式換気用ファンを4基用意していたが、排気用として100Vのものを1基のみ稼働しており換気が不十分であった。

作業開始からしばらくして、はつり作業を行なっていた被災者が「気分が悪い」と訴えた。その後別の作業員も膝が震えだし、吐き気をもよおすなど体調が悪化した。そこで作業員らは一度現場から離れ屋外に避難しようとしたが、被災者が現場の床に倒れていることに気づき外にいた作業者に搬出を頼んだ。

搬出された被災者はすぐに病院に搬送され、一酸化炭素中毒と診断された。その後の調査で、災害発生現場の気積の合計は650㎥で、当時稼働していたファンの排気量は43㎥/時間であったことが明らかになった。

原因・対策

本件労災の原因は、内燃機関を持つ機械を使用するにも関わらず用意していたファンを全て起動させる前に作業を開始したことが挙げられる。

このような災害の対策として、事前に作業に用いる機械や手順を確認することや、作業を開始する前に現場の安全に配慮した強制換気を徹底することが重要である。


一人親方あんしん労災 – ドライエリアの塗装作業中、有機溶剤中毒に

一人親方あんしん労災 - 有害物との接触の労災事例

ドライエリアの塗装作業中、有機溶剤中毒に


発生状況

本件労働災害はドライエリアの防水加工中に、作業主任者を含む作業者3名が有機溶剤中毒になったものである。

事故発生当日、アルバイト2名と作業主任者はドライエリア(地下室を持つ建築物の外壁を囲むように掘り下げられた空間)の防水加工作業を担っていた。手順は、まず壁面に下塗り塗料を塗り、その後に防止剤と仕上げ剤を塗布して乾燥させるというものであった。

作業主任者はアルバイト2名に10分ごとに交代で現場に入り、作業時以外は地上で待機するという方法で作業を行うように指示した。最初の10分の作業が終わり、交代で入ったアルバイトが作業を開始した。しかし、その後作業時間が経過しても地上に上がってこなかったため不審に思ったもう1人のアルバイトがドライエリアに入ったところ、作業者が倒れているところを発見した。すぐに作業主任者とともに救出に向かったが、その2人も気分が悪くなり、うずくまってしまった。この状況を作業立会人が確認し、救急車を呼んだところ、有機溶剤中毒であったことが確認された。

原因・対策

本件労災は、換気が不十分な作業場において、有機ガス用防毒マスクなどの器具を装備することなく作業を行なったことや、現場に有機溶剤の有害性を十分に認知しているものがいない中で、有機溶剤作業主任者を選任することなく作業を行なったことが原因で起きた災害である。

このような事故を防ぐために、通風が不十分な作業場においては必要な換気機械を用いた上で、作業者に適当な保護具を使用させることが重要である。また、有機溶剤主任者の指示のもと作業を行い、作業者に対して有機溶剤の危険性を認知させることも大切である。


一人親方あんしん労災 – バックホウが横転し、斜面と機体に挟まれる

一人親方あんしん労災 - 転倒の労災事例

バックホウが横転し、斜面と機体に挟まれる


発生状況

本件労働災害は、斜面で作業を行なっていたバックホウ(ドラグ・ショベル)が斜面下の積荷を釣り上げて旋回しようとしたところ、機体が横転し作業者1名が地面と期待に挟まれたものである。

事故発生当日、作業者5名で県道わきの地山を掘削する作業を担っていた。しかし、斜面の途中に工事の妨げになる空気弁があったため、まずはこれらを移設することにした。被災者は資格を保有していないにも関わらずバックホウの運転手を担っており、勾配が15度から30度ほどの斜面を下るような方向に向いて作業を行なった。

まず、作業者1名がバックホウのバケットのリンク部分にワイヤロープをかけ、空気弁に玉掛けした。合図を受けた被災者はアームを操作して吊り上げ作業を行い、地上から50メートルほど吊り上げたところで機体を左に旋回しようとした。するとバックホウはバランスを崩して、斜面から落下し、被災者は斜面と機体に挟まれた。

原因・対策

本件労災は運転資格を保有していない作業者が、バックホウを正規の使用用途以外の方法で使用し、さらに勾配が15度から30度の斜面で旋回させたことが原因で起きた災害である。また、作業主任者を選任していなかったため、各事業者が独自の判断で作業を行なっていたことも要因の1つである。

このような事故を防ぐために、作業員の資格保有状況をしっかりと把握した上で適切な役割分担を行うことや、重機は正しい使用用途で使用することが重要である。今回の場合は、車両積載型トラッククレーンで積荷の吊り上げ作業を行うことが可能だった。また、作業責任者等をしっかりと選任した上で作業を行うことである。


一人親方あんしん労災 – アウトリガーが地面にめり込み高所作業車が転倒

一人親方あんしん労災 – 転倒の労災事例

アウトリガーが地面にめり込み高所作業車が転倒


発生状況

本件労働災害は、古くなり耐久性に不安が生じた橋を新しく架け直すという工事中に発生したものである。作業前日まで雨が降り続いていたが、当日は晴れたため工事が実施された。災害発生当時は絶縁用に電線に取り付けられた防護管を撤去する作業を行なっていた。

現場には電線1つにつき長さ2.4mの防護管が20本設置されており、電線は合わせて3本あった。このうち高所作業車から一番遠いものから順に作業を開始することになり、被災者は奥の電線に設置された防護管のうち4本を外した。

その後作業を続行しようとしたものの手元に寄せた防護管とその後ろに続く防護管が接続せず上手く引き寄せられなかったため、被災者は手前の防護管を逆に押してくっつけようとした。この時突然高所作業車が右側に倒れ、被災者は地面に打ち付けられた。

このとき高所作業車のアウトリガーは、垂直方向には十分に伸びていたものの左右では右側に数㎝張り出されたのみであった。またアウトリガーを未舗装の堤防の路肩に設置していたため事故発生時この部分は地面にめり込んでしまっていた。

原因・対策

本件労災の原因は、アウトリガーの張り出す部分が不十分であったことや、災害発生前日にはかなりの降水があり路肩部分が緩んでいたにも関わらずそこにアウトリガーを設置したことなどが挙げられる。

このような災害の対策として、工事開始前に作業場所の状況を確認し安全に配慮した計画を立てることや、アウトリガーを十分に張り出すことが重要である。

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