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建築/建設業界の労災事例

本サイトで紹介している労災事例は、実際にあった労災事故を掲載しておりますが、当協会によせられた労災事例ではありません。予めご了承ください。

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一人親方あんしん労災 – 前進するトラックの荷台から作業員が落下

一人親方あんしん労災 – 墜落、転落の労災事例

前進するトラックの荷台から作業員が落下


発生状況

本件労働災害は、土地区画整理を行うため芝生の生えた土地を道路にするという工事中に発生したものである。事故発生時は被災者を含めた3人でコンクリート側溝に幅50㎝・長さ70㎝・厚さ7㎝のふたをする作業を行なっていた。側溝のふたはトラックの荷台の上に積み上げられていた。

被災者は荷台に乗り他の作業員2人にふたを手渡す役割をしており、他の2人がふた掛けを担当していた。作業が進むにつれてふた掛けを行う場所とトラックとの距離が開いてきたため、ふた掛けをしていた作業員の1人が運転席に座り車両を前進させた。その結果荷台に乗っていた被災者は落下し、さらに左側の後輪にひかれてしまった。

通常コンクリート側溝のふた掛けは道路の路面工事が終了してから実施するものであるが、今回の現場では路面の作業が終了する前に路床を入れ替えながら同時並行でふた掛けを行なっていたことが明らかになった。

原因・対策

本件労災は作業員同士の意思伝達が足りなかったために、トラックにまだ被災者が乗っている状態であったにも関わらず他の作業員が車両を前進させたことが原因として挙げられる。さらに路面の完成前であるのに並行してふた掛け作業を行なったことも起因している。

このような災害の対策として、トラックの移動をする場合は荷台にいる作業員に一度降りるよう声をかけてから動かすことが挙げられる。またコンクリート側溝のふた掛けは路面の工事が完了するまで開始しないことも重要である。


一人親方あんしん労災 – 水道管敷設工事で掘削溝が崩れて生き埋め

一人親方あんしん労災 – 崩壊、倒壊の労災事例

水道管敷設工事で掘削溝が崩れて生き埋め


発生状況

本件労働災害は、水道管の設置工事中に掘削溝が崩壊し生き埋めになったものである。事故発生当時はドラグ・ショベルを用いて地面を掘削し、掘削土を運搬する作業を行なっていた。被災者はドラグ・ショベルで既設の水道管を破損しないよう監視する担当になっていた。

作業員らはドラグ・ショベルで1.5mほど掘ったところで湧き水を発見したため、マンホールの基礎コンクリートが見える2.5mまで掘削したあとに排水することにした。排水作業では、ドラグ・ショベルの運転手が排水用のポンプを吊り溝に降ろし、被災者は掘削溝に入りポンプを設置することにした。

ポンプの設置後しばらくすると湧き水がうまく除去されなくなったので、被災者は再び溝に入り、湧き水がポンプに流れ込むようさらに掘削しようとしたがその際に被災者のいた溝の側面が大きく崩れてしまい、被災者は土砂の生き埋めになってしまった。

その後の調査で、今回の工事を担当した作業員のうち地山の掘削や土止め支保工の作業主任者技能講習を修了した者はいなかったことが明らかになった。さらに災害が発生した場所は3ヶ月ほど前に別の工事で掘削、埋め戻しをされていたことが判明した。

原因・対策

本件労災の原因は、掘削面の崩壊が考えられる場所であるにも関わらず土止め支保工を設置せずに溝に立ち入り作業したことと、地山の掘削を担当する主任者がいなかったことが挙げられる。

このような災害の対策として、地山が崩れる危険がある場所では必ず土止め支保工を設置することや、2m以上深掘削する場合は、掘削作業主任者の技能講習を修了した者から作業主任者を決定することが挙げられる。


一人親方あんしん労災 – 安全ネット未設置で転ばしと足場板の間から落下

一人親方あんしん労災 – 墜落、転落の労災事例

安全ネット未設置で転ばしと足場板の間から落下


発生状況

本件労働災害は、高架道路の鋼桁を塗り替える工事を行うため、作業に必要な足場を設置する際に発生したものである。足場の設置は、高架下の桁に吊り金具と吊りチェーンを高所作業車で取り付ける→腹起こし用のパイプ・転ばしパイプ・安全ネットを設置する→足場材を敷く→防災シートを敷くという流れで行われる予定だった。

本来の設置作業手順では転ばしパイプの設置したあとすぐに安全ネットを取り付ける予定であったが、被災者らは安全ネットを張らずに幅約25㎝、長さ約4mの足場材を設置することにした。これにより足場板に膝をついてよろけた被災者は、転ばしと足場板の間の隙間から約8m下の地上に墜落してしまった。

被災者は以前健康診断で高血圧と尿糖要注意を受けていたが、今回の工事では数日にわたり夜間の作業や高所の作業を担当させられていた。

原因・対策

本件労災の原因は、墜落を防ぐための安全ネットを張ってから足場板を置く予定であったにもかかわらず実際は墜落防止策を怠ったまま足場板の設置に移ったことが挙げられる。また被災者の体調を考慮せず、数日間危険な場所で作業させたことも起因している。

このような災害の対策として、作業前の安全協議会などの場で作業を安全に行うための手順を徹底するよう呼びかけることが挙げられる。また作業主任者は工事が安全に行われているか適宜確認しながら作業を進め、事業者は作業員の健康状態を把握して仕事の割り振りを行う必要がある。


一人親方あんしん労災 – 高所で作業中屋根の下地材を踏み抜き落下

一人親方あんしん労災 – 墜落、転落の労災事例

高所で作業中に屋根の下地材を踏み抜き落下


発生状況

本件労働災害は、工場建屋屋根の葺替え工事中に梁の上を歩いていた被災者が、金属チェーンに引っかかり下地材を踏み抜いたことで発生したものである。

作業はまず下地材として用いる硬質木片セメント板を鉄骨に敷設し、その後金具を溶接して設置、屋根材をボルト・ナットで固定するという手順で行われた。この工事の前日、元請け会社に所属する1人が他の作業員に対し、硬質木片セメント板を歩く場合は必ず梁の上を歩くように指示していた。

屋根に置いていた折板の運搬・仮締めを行なっていた被災者は、幅50㎝、長さ10m、重量40kgの折板を頭の上に乗せながら運んでいた。しばらくその状態で移動していたが、最後の1つを運んでいる最中、緊結に使う金属チェーンに足を引っかけてしまった。バランスを崩した被災者は、硬質木片セメント板を踏み抜いてしまい18m下の地面に落下した。

現場のセメント板の下には墜落を防ぐネットが張られていたが、被災者が落下した場所はたるんでいて60㎝ほどの隙間があったことがわかった。

原因・対策

本件労災の原因は、大きく重い資材を高所で人が運搬していたことと、通路に金属チェーンが置かれていたことが挙げられる。また作業に必要な足場を設けていなかったことや、ネットがきちんと設置されていなかったことも起因している。

このような災害の対策として、屋根上での作業は最低限になるよう計画することや専用の安全な通路を設けることなどが挙げられる。さらに墜落防止用のネットを正しく設置することも重要である。


一人親方あんしん労災 – 振動ローラーと積載形トラッククレーンの間に挟まれる

一人親方あんしん労災 – はさまれ、巻き込まれの労災事例

振動ローラーと積載形トラッククレーンの間に挟まれる


発生状況

本件労働災害は、ガス管を埋設した後の復旧作業中に起こったものである。

作業は、ダンプトラックが作業現場でアスファルト合材を散布する→作業員がスコップで全体に敷き詰める→レイキを用いてにならす→ハンドガイド式振動ローラーで転圧して固める→アスファルトの既設部分との境界や転圧の足りない箇所をガスバーナーで温め再びならす、という手順で行われた。

その後計画していた箇所の作業が早く終わったことから、作業員たちは計画外の部分も前倒して作業することにした。必要な用具等を運ぶため、作業員の1人は積載形トラッククレーンを転圧作業箇所に停めた。このとき、車両を誘導する者はいなかった。

振動ローラーを後進の状態で運転していた被災者は、背後にトラッククレーンが停車していることを知らずにそのまま進み続けたため、しばらくして車両の側面に接触し、車体と振動ローラーのハンドルとの間に挟まれてしまった。

原因・対策

本件労災の原因は、振動ローラーで後進する際に進行方向が安全か確認しなかったことと、振動ローラーのハンドルに挟まれた場合に、レバーがニュートラルになり動作が停止する装置を付けていなかったことが挙げられる。さらに振動ローラーの動作範囲内に立ち入りを禁止する表示がなされていなかったことや、トラッククレーンの誘導者がいなかったために車両を振動ローラーの作業場所に停めたことも起因している。

このような災害の対策として、後進するときは必ず後ろの状態を確認することと、障害物に挟まれる場合に備えて、後進を止めて停止する装置を振動ローラーに設置することが挙げられる。また振動ローラーを用いた作業場所には他の作業員の立ち入りを防ぐ措置をとることが重要である。

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