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建築/建設業界の労災事例

本サイトで紹介している労災事例は、実際にあった労災事故を掲載しておりますが、当協会によせられた労災事例ではありません。予めご了承ください。

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一人親方あんしん労災 – トラッククレーンのアウトリガーと建設物の間に挟まれる

一人親方あんしん労災 – はさまれ、巻き込まれの労災事例

トラッククレーンのアウトリガーと建設物の間に挟まれる


発生状況

本件労働災害は、建設機械の通行用に仮設の橋を設置する際に発生したものである。現場は農地整理が行われる予定で、そこに向かうまでの間に川をまたいで橋が架けられていたが強度が弱くなっていたため新たな橋を建設することになっていた。

この橋は台座に鋼板を敷いて組み立てるものだった。作業は、まず鋼板をトラックで既存の橋の手前まで運び出し、その後積載形トラッククレーンで鋼板を吊り仮設の橋台座に敷くという手順で行われた。橋の幅が短かったためクレーンのアウトリガーを少ししか出さずに作業していた。

被災者はブームを20度ほどまで傾け、はじめは1枚ずつであったにもかかわらず途中から鋼板を2枚同時に吊り上げるようになっていた。2枚吊った状態でブームを旋回させようとしたところ、車体がゆっくりと傾きはじめた。被災者は逃げることができずクレーンのアウトリガーと橋の欄干部分にはさまれてしまった。

原因・対策

本件労災の原因は、トラッククレーンのアウトリガーを十分に張り出すことなく重い資材を吊り上げてしまったことと、被災者が一度に2枚の鋼板を吊り上げようとしたことが挙げられる。

このような災害の対策として、アウトリガーの張り出し幅に合った荷重のものしか吊り上げないことやアウトリガーを十分に張り出せる場所を選ぶこと、さらにトラッククレーンなどの建設機械を使用するときには万一車両が転倒した場合でも作業員がすぐに逃げられるような位置で作業することなどが挙げられる。


一人親方あんしん労災 – 高所作業車に乗った作業員が送電線に触れ感電

一人親方あんしん労災 – 感電の労災事例

高所作業車に乗った作業員が送電線に触れ感電


発生状況

本件労働災害は、一軒家の新築工事で左官作業を行っている際に発生したものである。現場には建物と12mほど離れた間隔で、それぞれ高さ11.5m・14m・16.7mの位置に75000ボルトの送電線があった。

被災者らは高さ14mのエレベーター室の屋上で防水下地のモルタルを塗装する作業を行うため、高所作業車でモルタルを地上から足場の最上部に運ぶことになった。作業方法は被災者を含む作業員2人が高所作業車に乗り、ブームを動かして建物側に回り足場の頂上まで持っていくというものだった。この時現場には監視員を配置していなかった。

モルタルを塗る作業が終了したところで、被災者は高所作業車をエレベーター室からひさしにあたる部分まで動かすため、自分の背後にあたる送電線のある方へ作業床を旋回させ始めた。しかし150°ほど回ったときに高さ14m部分にある送電線に触れてしまい、被災者は感電した。

原因・対策

本件労災の原因は、危険な区域が作業員から見えていなかったことから適切な安全確認ができなかったことと、高所作業車の移動範囲内に送電線があったにもかかわらず作業床を移動させたことが挙げられる。

このような災害の対策として、作業範囲に危険な場所を含む場合は現場を監視し状況に応じて指示を出すための作業員を置くことが重要である。また高所作業車を使用して作業するときには、工事を開始する前に現場の地形や状況を確認しそれに応じた適切な作業計画を立てる必要があり、またそれに基づいた作業を徹底することが重要である。


一人親方あんしん労災 – 積載形トラッククレーンが横転して手すりと車体に挟まれる

一人親方あんしん労災 – はさまれ、巻き込まれの労災事例

積載形トラッククレーンが横転して手すりと車体に挟まれる


発生状況

本件労働災害は、ビルの建設作業中に積載形トラッククレーンで資材を搬入する際に車体が転倒したものである。被災者は近くの資材置き場から型枠に用いる資材を吊り上げ荷重2.9tのトラッククレーンで現場に運び、その後打設が完了している地下一階の床へ搬入する作業を行なっていた。

資材を約3t積んで現場に到着した被災者は、トラッククレーンを土止めの隣に敷設された鉄板の上に駐車した。そのとき地下の床側のアウトリガーを最大の張り出し幅で設置していた。その後約1tの資材を玉掛けし、旋回してつり荷を巻き下げた。

すると大きな負荷により鉄板がたわみ、アウトリガーが鉄板から滑って外れたため車体が大きく傾いた。被災者は焦ってジブを起こすつもりで操作したが実際には倒してしまったためさらに車体が傾き、転倒した。これにより被災者の体は墜落を防止する手すりとクレーンとの間に挟まれた。

原因・対策

本件労災の原因は、トラッククレーンの定格荷重を守らなかったことと、アウトリガーを鉄板の端に設置したことが挙げられる。また被災者がトラッククレーンを運転する場合に必要な資格を取得していなかったことも起因している。

このような災害の対策として、必ず車両の定格荷重を守って作業を行うことやアウトリガーを鉄板の端に設置しないことなどが挙げられる。さらに吊り上げ荷重が3t未満の積載形トラッククレーンを用いる作業は、専門の技能講習を受けた者のみが担当することも重要である。


一人親方あんしん労災 – 解体中のブロック塀が倒壊し下敷きに

一人親方あんしん労災 – 崩壊、倒壊の労災事例

解体中のブロック塀が倒壊し下敷きに


発生状況

本件労働災害は、コンクリート造の建設物を改修する工事中に発生したものである。被災者は隣地との境界に置かれた高さ1.6m・長さ3m・幅15㎝のコンクリートブロック塀をコンクリートブレーカーで撤去するよう元請け会社の者から指摘を受けた。あまり大掛かりな工事ではなかったため、被災者は1人でこの作業を担当することになった。

しかし元請けが作業を指示してからおよそ40分後、被災者はブロック塀に潰されて倒れていた。当時この様子を見ていた者はいなかったが現場の状態から、被災者がブロック塀の根元の部分を基礎部から切り離す際にブロック塀が崩壊したと考えられる。また丸鋼の補強を行ったり基礎から出る鉄筋とつなぎ合わせることでコンクリートの強度が高まるとされているが、今回取り壊す予定だった塀は丸鋼を用いただけであった。

原因・対策

本件労働災害は、工事における事前の安全管理が全くなされていなかったことと、控えなどといった作業中の安全対策のための機材を一切使用していなかったことが原因として挙げられる。さらにブレーカーではつりを行うと人力よりも振動が大きくなることも間接的に起因している。

このような災害の対策として、コンクリートの解体は途中で倒壊しても作業員に危害のないよう少しずつ行うことと、倒壊を防止するための方法を考え、必要な機材を前もって準備しておくことが挙げられる。またコンクリートを解体する場合はドラグ・ショベルで破壊するなど作業員が直接危険な場所に立ち入る必要のない作業手段を考えることも重要である。


一人親方あんしん労災 – ドラグ・ショベルの横転で運転手が投げ出され車体の下敷きに

一人親方あんしん労災 – 墜落、転落の労災事例

ドラグ・ショベルの横転で運転手が投げ出され車体の下敷きに


発生状況

本件労働災害は、急斜面でドラグ・ショベルを運転していた被災者が車体の横転により地面に墜落し、車体の下敷きになったものである。現場ではトンネルの建設を行っており、濁水処理プラントの沈砂水槽内にある土砂をドラグ・ショベルで取り除こうとしていた。

事故の前日に行った打ち合わせでは、翌日の作業内容として本坑の覆工、土捨場の片付けやトンネル・道路の清掃を予定していた。しかし当日、土砂場の片付けが前日に完了していたことを踏まえ代わりに沈砂水槽に溜まった土砂を排出し運搬する作業を追加することになった。

水槽は川岸の崖の上にあり、土砂をすくうドラグ・ショベルが現地に乗り入れるためには通路が必要であった。よって被災者はまずドラグ・ショベルで通路を作成することにした。作業開始後しばらくして車体を方向転換しようと斜面に出が、そこは傾斜が40°以上あり、車体の安全を保つことができる角度を超えていた。よって車体は斜面で大きく転倒し、被災者の体は運転席から投げ出され車体の下敷きとなってしまった。

原因・対策

本件労災の原因は、水槽内の土砂を水槽ポンプではなくドラグ・ショベルで排出しようとしたことと、ドラグ・ショベルでの作業を安全が確保できない斜面で行ったことが挙げられる。またドラグ・ショベルの動きを誘導する作業員がいなかったことも起因している。

このような災害の対策として、作業をするときには現地の状態を配慮した適切な方法をとること、ドラグ・ショベルは安全が確保された場所でしか使用しないことが挙げられる。またドラグ・ショベルを用いるときには誘導者や十分な安全措置を用意することも重要である。

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