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建築/建設業界の労災事例

本サイトで紹介している労災事例は、実際にあった労災事故を掲載しておりますが、当協会によせられた労災事例ではありません。予めご了承ください。

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一人親方あんしん労災 – 作業者1名が気泡分離器内で酸欠

一人親方あんしん労災 - 有害物質との接触の労災事例

作業者1名が気泡分離器内で酸欠


発生状況

本件労働災害は、食品工場の直径7.7メートルのタンクの中に、直径1.2メートルの気泡分離器を設置する際に作業者1名が酸欠になったものである。

事故発生当日、酸素欠乏危険作業主任者と被災者の2名で、気泡分離器をアルゴン溶接する作業を担っていた。作業主任者はタンク内の換気を行うためにブロアを設置し、酸素濃度を測定したところ、基準値を満たしていることを確認した。そしてタンクと気泡分離器を溶接するため、配管部分にアルゴンガスを満たしグラスウールで栓をした。溶接作業が進み、被災者が気泡分離器内に降り、栓を外そうとしたところ酸欠を起こし、そのまま倒れた。なお、この直前に酸素濃度の測定は行なっておらず、呼吸用保護服も使用していなかった。

原因・対策

本件労災は、アルゴン溶接終了後に気泡分離器内部の換気が不十分な状態(タンク全体の換気は行なっていた)で、酸素濃度を計測することなく作業者を入らせたことや、タンク内で作業を行う者に対しての酸素欠乏症に関する特別教育を行なっていなかったことが原因で起きた災害である。

このような事故を防ぐために、不活性ガスを用いた作業を行う際は、十分な換気を施したうえでその中の酸素濃度を確認し、安全を確認することが重要である。また、このような状況で作業を行う者に対して十分な酸素欠乏に関しての特別教育を行うことである。


一人親方あんしん労災 – アルゴンガスを用いた溶接作業で酸欠に

一人親方あんしん労災 – 有害物等との接触の労災事例

アルゴンガスを用いた溶接作業で酸欠に


発生状況

本件労働災害は、食品工場の下請け事業所の作業員としてタンクの改造工事を行なっている際に発生したものである。具体的な作業内容は直径8.1mの発酵タンクに気泡分離器(ステンレス製)を設置するというものであった。

現場には酸素欠乏危険作業主任者がおり、作業前にタンク内の酸素濃度を測定し21%であったことを確認していた。その後被災者と2人で気泡分離器にある配管をアルゴン溶接する作業に取り掛かった。

溶接準備のため1つの配管内にはアルゴンガスを満たし、他の2つの配管にはグラスウールを入れた。この時タンク内はブロアで換気した状態で、作業員2人は呼吸用保護具を着用せず気泡分離器内の酸素濃度も測定していなかった。

その後しばらくしてアルゴンガスを配管内に通し、溶接作業を開始した。配管内に800ℓ、溶接作業で500ℓのアルゴンガスを使用し溶接作業を完了させたのち、昼休憩を挟んでグラスウールの撤去をするため被災者が1人で気泡分離器に入った。

時間が経過しても被災者が戻ってこないので気泡分離器を確認すると、被災者は酸素欠乏症になっていた。グラスウール撤去の際も酸素濃度の測定はしておらず、呼吸用保護具も未着用であった。

原因・対策

本件労災の原因は、タンク内のみ換気を行い気泡分離器内は換気していなかったことや、作業場所の酸素濃度測定が十分されていなかったことが挙げられる。また酸素欠乏症になる危険がある現場で呼吸用保護具を着用していなかったことも起因している。

このような災害の対策として、現場の安全を確保するため酸素濃度の測定を徹底することや換気を怠らないことが重要である。また酸素欠乏の危険がある現場では呼吸用保護具の着用も必須である。


一人親方あんしん労災 – 暖機運転中にトラックが逸走

一人親方あんしん労災 – はさまれ、巻き込まれの労災事例

暖機運転中にトラックが逸走


発生状況

本件労働災害は、造園工事を中心に行う事務所で働く運転手に発生した事故である。被災者は災害発生時トラックの暖機運転を行おうとしていた。

災害発生当日、運転手は造園工事に必要な資材を最大積載量2tの小型トラックで運搬する作業を担当していた。トラックを運転し資材置き場についた後車両を道路の端に停め、エンジンを停止した。

その後軽石や木材などの資材を荷台に積み込み、暖機運転を行おうとした被災者は運転席のドアを開き、運転席とドアの間に立った状態でエンジンのスイッチを入れた。

この時トラックのシフトレバーの位置は前進3速になっており、トラックが駐車した箇所は圧雪状態で緩やかな勾配があったもののブレーキは作動させていなかった。そのため車両は前に進み電柱に激突し、被災者はトラックのドアと運転席の間に挟まれてしまった。

原因・対策

本件労働災害の原因は、トラックを駐車した際にブレーキを作動させておらず逸走の危険を回避する行動をとらなかったことや、暖機運転のためトラックのスイッチを入れる際に事前にシフトレバーの位置などを確認しなかったことなどが挙げられる。

またエンジンのスタータースイッチを入れるときに、運転席に座らず車両の近くに立っていたことも起因している。

このような災害の対策として、暖機運転の場合でもエンジンを入れる際には必ず運転席に着席することや、車両を駐車する際は道路の状態をよく確認し安全のため必ずブレーキを使用することが重要である。


一人親方あんしん労災 – ガスを吸い込み酸素欠乏症に

一人親方あんしん労災 - 有害物質との接触の労災事例

ガスを吸い込み酸素欠乏症に


発生状況

本件労働災害は道路の歩道部をバックホウ(ドラグ・ショベル)で掘削中にプロパンガスの引き込み管を破損し、作業者1名がガスを吸い込んだものである。

災害発生当日、被災者を含む作業者8名で歩道の植樹桝の設置工事を担っていた。作業者の1人がバックホウを運転し、歩道の掘削を始めたところ、地下に通っていたプロパンガスの引き込み管を破損してしまった。これに気づいた別の作業者は周囲の作業者に火器等の使用をしないことなどの注意を促した。被災者は引き込み管の応急処置を行うため、掘削穴に入って作業を始めたところ、開始して10秒ほどで穴から出てきてそのまま倒れ込んだ。

本工事を行う際、ガス管の埋設箇所の図面は事務所には置かれておらず、付近の道路にはガス管の表示があったが、現場作業員は気づいていなかった。

原因・対策

本件労災は、掘削工事を行うにあたって十分な埋設物の調査が事前に行われていなかったことやガス管自体に破損防止の処置が行われていなかったこと、さらに作業者の酸素欠乏症に対する認識が甘かったことが原因で起きた災害である。

このような事故を防ぐためには、事前に掘削箇所を調査し、今回のように危険な埋設物がある場合は破損防止の処置を行うもしくは移設するなどの適切な作業計画を立てることが重要である。また、作業者に対して酸素欠乏症に関する内容を含んだ安全衛生教育を徹底して行うことも大切である。


一人親方あんしん労災 – クレーンのアウトリガーを不安定な箇所に張り出し転倒

一人親方あんしん労災 – 転倒の労災事例

クレーンのアウトリガーを不安定な箇所に張り出し転倒


発生状況

本件労働災害は、住宅の敷地内にある立木を伐採する作業中に発生したものである。立木は住宅のすぐそばで切断した木が住宅側に倒れるおそれがあったため、当日に急遽移動式クレーンで立木を引きながらチエーンソーで切断し搬出用トラックで撤去することとなった。

移動式クレーンを使用することになったものの現場の道路幅が狭くアウトリガーを設置できないため、道路脇にある畑にアウトリガーを張り出すことにした。また道路と畑には80㎝ほどの段差があり、被災者は鉄板を敷きその上に木材を5枚ほど重ねて高さを揃えた。

クレーンのアウトリガーを張り出した被災者は立木に玉掛けワイヤーをかけ、立木を約950kgの力で引っ張った。別の作業員がチェーンソーで立木を切断したところクレーンに衝撃が加わり、アウトリガーの下に積み重ねていた木材が崩れてしまいクレーンは転倒した。

原因・対策

本件労働災害の原因は、クレーンの使用を急遽決定し運転手による事前の訓練や作業計画が足りていなかったことや、段差のある作業現場において鉄板や木材を積み重ねた不安定な箇所にアウトリガーを張り出したことなどが挙げられる。またクレーンに強い衝撃を与えるような使用方法をとったことも起因している。

このような災害の対策として、クレーンなど作業機械の使用は事前に決定し作業計画を怠らないことや、高低差のある場所でクレーンのアウトリガーを張り出す場合は必ず安定した崩壊の恐れがない構造物等を使用することが重要である。

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