建築/建設業界の労災事例
本サイトで紹介している労災事例は、実際にあった労災事故を掲載しておりますが、当協会によせられた労災事例ではありません。予めご了承ください。
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一人親方あんしん労災 – 加圧した現場で作業後気閘室で減圧症に
一人親方あんしん労災 – 有害物等との接触の労災事例
加圧した現場で作業後気閘室で減圧症に
発生状況
本件労働災害は、下水道の終末処理のためニューマチックケーソン内で作業をした後、気閘室で減圧中に被災したものである。掘削深さは21.5mで、作業室内は1.75~1.8kg /㎠で加圧されていた。
作業開始前に気閘室で函内と同じ圧力を受けた作業員は、9時30分より掘削作業を始め2時間30分が経過した段階で一度作業を停止した。その後作業前と同様気閘室で減圧を開始した。
減圧は函内と同圧の1.75kg /㎠から0.6kg /㎠まで2分間かけて行われ、0.6kg /㎠で5分間保持した。その後1分間で0.6kg/㎠から0.3kg/㎠まで減圧し0.3kg/㎠を20分間維持した後、2分で大気圧まで減圧した。
この時被災者は左肩に鈍い痛みを感じたため、他の作業員に対し「減圧症にかかったので対処してくる」と告げもう一度自分の体を加圧した。その後0.9kg/㎠で10分、0.6kg/㎠で20分、0.3kg/㎠で30分の順に減圧したところ痛みが消えたのでそのまま休憩に入った。
再び加圧し午後の作業を行い、終了後減圧しようとしたところ被災者の左肩がさらに強く痛み出した。再び加圧したものの症状が治まらないため病院に搬送され診察を受けたところ、減圧症と診断された。
原因・対策
本件労働災害の原因は、被災者が減圧症を認識した際にもう一度加圧したことで症状が悪化したことや、一度減圧症の症状が出たにもかかわらず午後も作業を続行したことなどが挙げられる。
このような災害の対策として、減圧症の自覚症状があった場合はすぐに作業を中断し、救急再圧員の指示にしたがって救護することが重要である。
掲載日:2019年5月28日
一人親方あんしん労災 – はつり作業で一酸化炭素中毒に
一人親方あんしん労災 – 有害物等との接触の労災事例
はつり作業で一酸化炭素中毒に
発生状況
本件労働災害は、工場に敷かれたコンクリート床を一度剥がし、樹脂モルタルを塗布するという工事を行う際に発生したものである。床のはつり作業は6人で行うこととなり、2人ははつり機2台を運転し、別の2人ははつり機1台につき1機接続している集塵機の運転を担当、残りの2人はそれぞれ電動式サンダーの操作につくこととなった。
作業は午前10時ごろ開始された。このとき現場では200Vの可搬式換気用ファンを2基、100Vの可搬式換気用ファンを4基用意していたが、排気用として100Vのものを1基のみ稼働しており換気が不十分であった。
作業開始からしばらくして、はつり作業を行なっていた被災者が「気分が悪い」と訴えた。その後別の作業員も膝が震えだし、吐き気をもよおすなど体調が悪化した。そこで作業員らは一度現場から離れ屋外に避難しようとしたが、被災者が現場の床に倒れていることに気づき外にいた作業者に搬出を頼んだ。
搬出された被災者はすぐに病院に搬送され、一酸化炭素中毒と診断された。その後の調査で、災害発生現場の気積の合計は650㎥で、当時稼働していたファンの排気量は43㎥/時間であったことが明らかになった。
原因・対策
本件労災の原因は、内燃機関を持つ機械を使用するにも関わらず用意していたファンを全て起動させる前に作業を開始したことが挙げられる。
このような災害の対策として、事前に作業に用いる機械や手順を確認することや、作業を開始する前に現場の安全に配慮した強制換気を徹底することが重要である。
掲載日:2019年5月9日
一人親方あんしん労災 – ドライエリアの塗装作業中、有機溶剤中毒に
一人親方あんしん労災 - 有害物との接触の労災事例
ドライエリアの塗装作業中、有機溶剤中毒に
発生状況
本件労働災害はドライエリアの防水加工中に、作業主任者を含む作業者3名が有機溶剤中毒になったものである。
事故発生当日、アルバイト2名と作業主任者はドライエリア(地下室を持つ建築物の外壁を囲むように掘り下げられた空間)の防水加工作業を担っていた。手順は、まず壁面に下塗り塗料を塗り、その後に防止剤と仕上げ剤を塗布して乾燥させるというものであった。
作業主任者はアルバイト2名に10分ごとに交代で現場に入り、作業時以外は地上で待機するという方法で作業を行うように指示した。最初の10分の作業が終わり、交代で入ったアルバイトが作業を開始した。しかし、その後作業時間が経過しても地上に上がってこなかったため不審に思ったもう1人のアルバイトがドライエリアに入ったところ、作業者が倒れているところを発見した。すぐに作業主任者とともに救出に向かったが、その2人も気分が悪くなり、うずくまってしまった。この状況を作業立会人が確認し、救急車を呼んだところ、有機溶剤中毒であったことが確認された。
原因・対策
本件労災は、換気が不十分な作業場において、有機ガス用防毒マスクなどの器具を装備することなく作業を行なったことや、現場に有機溶剤の有害性を十分に認知しているものがいない中で、有機溶剤作業主任者を選任することなく作業を行なったことが原因で起きた災害である。
このような事故を防ぐために、通風が不十分な作業場においては必要な換気機械を用いた上で、作業者に適当な保護具を使用させることが重要である。また、有機溶剤主任者の指示のもと作業を行い、作業者に対して有機溶剤の危険性を認知させることも大切である。
掲載日:2019年5月8日
一人親方あんしん労災 – 重油タンク内に入り酸素欠乏
一人親方あんしん労災 – 有害物等との接触の労災事例
重油タンク内に入り酸素欠乏
発生状況
本件労働災害は、コンクリートの床下にある重油タンクの漏洩を点検するための準備中に発生したものである。具体的にはマンホールのコンクリートはつり、マンホールのパッキン取り替え、送油管を閉じるという作業を行なっていた。
このうち被災者は送油管を閉める作業担当で、タンクの外側からタンク内の送油管を抜き管の端を詰めるという作業手順を予定していた。
災害発生当日、作業員3名がマンホールの上部にあるコンクリートのはつり作業を終了したのち被災者はマンホールの蓋を開け作業を開始した。このとき被災者は予定していた手順を踏むのが面倒で、タンクの中から送油管の除水器を取りはずそうとタンクの中へ入った。
しかしその後すぐに被災者は意識を失い、気づいた3名の作業員がコンプレッサーにホースを取り付け被災者の口に直接空気を送り込んだところ意識が戻ったが、しばらくすると再び倒れ込んでしまった。そこで同僚の一人がロープを巻き救出に向かったが、その同僚もまたタンク内で意識を失ってしまった。
外にいた作業員たちが2名を引き上げ、病院に搬送したところ酸素欠乏症であったことが判明した。事故後の調査で現場の酸素濃度を測定したところ、16.9%であった。
原因・対策
本件労災の原因は、タンクの内壁が酸化していたことで酸素が不足した状態だったことや、被災者が予定されていた手順通りに作業していなかったことが挙げられる。またタンク内の酸素濃度を確認せず侵入したことも起因している。
このような災害の対策として、作業は安全を確保するため必ず手順通りに行うことや、密閉された空間で作業する場合には酸素濃度の測定を怠らないことが重要である。
掲載日:2019年4月17日
一人親方あんしん労災 – 荷台に大量のドライアイスを積み込み酸素欠乏に
一人親方あんしん労災 – 有害物等との接触の労災事例
荷台に大量のドライアイスを積み込み酸素欠乏に
発生状況
本件労働災害は、事業に必要なドライアイスを運搬している時に発生したものである。当日は修理作業中に緊急でドライアイスが必要になり、被災者は作業手順や安全の確認を行わずに急いで購入しに販売会社へ向かった。
ライトバンで販売会社に訪れた被災者は、ドライアイス200kgを購入し後部の荷台に積み込んだ。そして作業現場へと運搬を開始したが、その後しばらくして気分が悪くなり道の端に停車してしまった。
なかなか帰ってこない被災者を心配し同僚がドライアイスの販売会社に問い合わせたところ「もう店を出て現場に向かっているはずだ」と言われたため迎えに行くと、販売会社から3㎞ほど離れた舗道にライトバンが停車しているのを見つけた。
被災者は意識を失っており声をかけても応答がなく、救急搬送され病院で診察を受けた結果酸素欠乏であると判明した。被災者が運転していたライトバンは室内気積が約3.3㎥で、車窓は全て閉め切られていて密閉状態に近かった。
原因・対策
本件労災の原因は、大量のドライアイスをライトバンで運んだことや換気をしていなかったことなどが挙げられる。また緊急で必要になったため安全確認や適切な運搬方法に関しての対策を怠っていたことも起因している。
このような災害の対策として、ドライアイスを一度に大量に扱う際は換気をするなど対策を講じ、取り扱いに関して安全衛生作業標準を作成しそれ基づく安全衛生教育を実施する必要がある。また緊急の作業が必要になった場合に備え一定の規則を確立しておくことが重要である。
掲載日:2019年4月10日
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