建築/建設業界の労災事例
本サイトで紹介している労災事例は、実際にあった労災事故を掲載しておりますが、当協会によせられた労災事例ではありません。予めご了承ください。
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一人親方あんしん労災 -エンジン式エアーコンプレッサーによる排気ガスを吸い込む
一人親方あんしん労災 - 有害物質との接触の労災事例
エンジン式エアーコンプレッサーによる排気ガスを吸い込む
発生状況
本件労働災害は、エンジン式エアーコンプレッサーでの塗装作業中に、排気口からでるガスを吸い込んで作業者1名が倒れたものである。
事故発生当日、被災者である作業員1名は塗装ブースにて建具の塗装作業を担っていた。被災者はエアーコンプレッサーを塗装ブースの入り口付近(屋外)に設置し、自身はスプレーガンを用いて室内で塗装作業を開始した。作業を行う際、換気口は使用せずに出入り口のドアと小窓を全開にしているだけの状態だった。塗装を始めて数分経った後、被災者がエアーコンプレッサーから出る排気ガスを吸い込んでしまい、その場に倒れ込んでしまったものである。屋外に設置したエアーコンプレッサーは排気口が出入り口に向いており、排気ガスが全て室内に入るような状態であった。
原因・対策
本件労災は屋内の塗装作業にエンジン式のエアーコンプレッサーを使用したことや、被災者の一酸化炭素中毒に対する認識が浅かったため、換気口を使用せずに塗装を行なったことが原因で起きた災害である。
このような事故を防ぐために、屋内での塗装作業にはエンジン式のコンプレッサーを使用しないことや排ガスが屋内に入らないような設置をした上で換気を十分に行うことが重要である。また、作業員に対して有毒ガスに対する安全教育を徹底して行い、必要に応じて局所配置装置などを積極的に利用することも重要である。
掲載日:2019年2月23日
一人親方あんしん労災 – 床下の断熱材貼り付けで有機溶剤中毒に
一人親方あんしん労災 – 有機物等との接触の労災事例
床下の断熱材貼り付けで有機溶剤中毒に
発生状況
本件労働災害は、光栄住宅を建設する作業中に発生したものである。被災者は下請けのとび土工として現場に向かったが、当日は雨が降っており屋外での作業が困難な状況であった。そこで事業主は被災者とその同僚2人に床下の地中梁に断熱材を貼付する作業を行うよう指示した。
具体的な作業内容は、地下室のように梁で区分けされた床下部分に入り込み発泡ウレタン製の断熱材をゴム系の接着剤(ノルマルヘキサン60~70%含有)で地中梁に貼り付けるというものだった。
また作業する際は開口部(45㎝×120㎝)から床下に出入りすることにした。開口部は東と西に2つあり、他に通気孔(直径16㎝)が東に2つあるのみであったが作業員は防毒マスクの着用をしていなかった。
同僚の1人が床上で断熱材の切断を行い、被災者ともう1人の同僚が床下で貼り付け作業を担当することになった。2人は接着剤が15ℓ入った缶を床下に搬入し、地中の壁に塗り始めた。しかし作業開始から30分後、被災者は突然意識を失い現場に倒れ込んでしまった。
原因・対策
本件労災の原因は、有機溶剤を扱うにも関わらず呼吸用保護具の着用を怠っていたことやそもそも被災者に有機溶剤を取り扱っているという認識がなかったことが挙げられる。また床下部分という通気の難しい現場で換気設備を用意していなかったことも起因している。
このような災害の対策として、有機溶剤を取り扱う際は作業員の教育を徹底することや、防毒マスクを着用させることが重要である。また作業現場が狭い上に換気が困難な場合は、全体換気を行えるような装置を取り付けるか送気マスクを着用して作業する必要がある。
掲載日:2019年2月20日
一人親方あんしん労災 – 浴室の塗装作業で有機溶剤中毒に
一人親方あんしん労災 – 有機物等との接触の労災事例
浴室の塗装作業で有機溶剤中毒に
発生状況
本件労働災害は、住宅の浴室において天井の塗装工事を行なっている最中に発生したものである。被災者は塗装工として10年塗装作業に携わっており、5年前には有機溶剤作業主任者技能講習を修了していた。
災害発生当日、被災者は同僚とともに現場へ向かい塗料の調合を屋外で行なった。この時調合されたのは1.5ℓの塗料で、具体的にはトルエン(30~40%)キシレン(5~10%)を含んだ塗料1ℓを、トルエン(60~70%)メタノール(20~30%)酢酸メチル(10~20%)を含んだシンナー0.5ℓで稀釈した。
その後被災者は、防毒マスクを着用することなく塗装作業を開始した。ところが1時間後、気分が悪くなり始めたにも関わらず作業を続行しその数十分後に意識を失った。現場は浴室の窓や出入口は開放されていたものの、設備による換気は行われていなかった。その後被災者は病院に搬送され有機溶剤中毒と診断された。
原因・対策
本件労災の原因は、作業場所の換気を怠っていたことや防毒マスクをつけずに作業したことが原因としてあげられる。また被災者は以前にも有機溶剤業務中に倒れることがあったにも関わらず危機感を持っていなかったことも起因している。
このような災害の対策として、屋内で換気が不十分な現場では必ず全体換気装置を設置することや送気マスクや防毒マスクの着用を徹底することが重要である。また作業中に気分が優れない場合は必ず手を止めて安静にすることが重要である。
掲載日:2019年2月19日
一人親方あんしん労災 – 船倉内で酸素不足により倒れる
一人親方あんしん労災 – 有害物等との接触の労災事例
船倉内で酸素不足により倒れる
発生状況
本件労働災害は、港湾土木作業用のクレーン船の船倉内で発生したものである。クレーン船のウインチを移設する際に船首付近から泡が出ているのを作業員が発見し、海中で確認したところ船倉の部分である船底に穴が空いていることがわかった。
船の製造された年は不明で、他社から転売されたものであった。船には全部で10個の船倉があり、それぞれ1つずつマンホールが設置されていた。災害が発生した船倉は左舷船首寄りの位置にあり、この船倉は長期間密閉されており通常開けることはなかった。
災害発生当日、被災者は穴の修理を船倉の中から行うことを部長に告げ、許可をもらったので同僚と共に船倉内に入ることにした。その準備作業として発電器をクレーン船に運搬→穴のある船倉の蓋を外す→水中ポンプを船倉に運び海水を汲むという作業を行った。
作業開始からおよそ1時間後、被災者は同僚に甲板の上から光を照らしてもらいながらマンホールの蓋を開け船底へ降りたが、その後すぐに倒れ込んでしまった。事故後の調査で現場の酸素濃度を測定したところ、甲板上が18.9%、深さ1mで3.9%、深さ2mではわずか1.3%であったことが判明した。
原因・対策
本件労災の原因は、船倉の酸素濃度が低かったことが挙げられる。また作業前に酸素濃度の測定を行わなかったことも起因している。
このような災害の対策として、長期間密閉された鋼製の船倉の内部が酸素欠乏危険場所であることを把握し、作業前に必ず酸素濃度の確認を実施することが重要である。
掲載日:2019年2月13日
一人親方あんしん労災 – 炉内作業中に酸欠で倒れる
一人親方あんしん労災 – 有害物等との接触の労災事例
炉内作業中に酸欠で倒れる
発生状況
本件労働災害は、鉛塔の炉修工事を行う際に発生したものである。現場の事業場には9基の精留塔があり、今回はそのうち1つを工事することになっていた。作業内容は、溶融状態の蒸留亜鉛を精留塔に受け入れるための炉(サプライポット)についた亜鉛のカスを除去し、煉瓦を解体するというものであった。
災害発生当日、作業員の1人が先にサプライポットに入りハンドピックで煉瓦を解体する作業を行っていた。数十分後、別の作業員がサプライポットに入り解体作業を見ていたが、しばらくしてその場に倒れ込んでしまった。先に炉内に入っていた作業員がそれに気がつき、すぐに外にいた同僚に助けを求めた。
同僚は数人の作業員を連れて急いで駆けつけ、倒れている作業員の救出を開始した。しかしその最中に炉内にいたもう1人も倒れてしまったため、他の作業員は同僚の救出を中断させ炉内に空気を送り2人を救出した。
災害発生後CO濃度を測定したところ特に検出されなかったことから、作業員は酸素の欠乏で倒れてしまったと考えられ、この原因としては燃焼又は炉壁等の酸化(さび)により酸素が消費された可能性が挙げられる。
原因・対策
本件労災の原因は、南側スキミングドアが閉じていたことで南側のCO配管等がつながった奥の部分には空気が滞り換気できていなかったことが挙げられる。
このような災害の対策として、作業実施前に炉内の酸素・CO濃度を測定し作業中は必ず換気を行うことや、工事の開始前に適切な作業方法を検討すること、今回の場合では安全を確保するための換気が十分に行えるのか事前に確認することが重要である。
掲載日:2019年2月5日
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