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建築/建設業界の労災事例

本サイトで紹介している労災事例は、実際にあった労災事故を掲載しておりますが、当協会によせられた労災事例ではありません。予めご了承ください。

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一人親方あんしん労災 – 修繕中の屋根材を踏み抜き墜落

一人親方あんしん労災 – 墜落、転落の労災事例

修繕中の屋根材を踏み抜き墜落


発生状況

本件労働災害は、破損した工場の屋根修繕工事を行っている際に、スレート波板に乗った作業員が屋根を踏み抜き、墜落したものである。

本件工事は、台風直後で屋根修繕を専門とする業者が不足しており、本業とは違う建設基礎工事を扱う業者が行っていた。修繕開始までは、破損箇所にビニールシートを覆って、スレート屋根に突き出た金具で止めている状態であった。

補修作業は即日終了する予定で、その朝ミーティングで作業工程が決定された。そのミーティングでは安全帯とヘルメットを着用すること、スレート屋根を踏み抜かないように母屋に足を置いたまま作業するよう注意もあった。

実作業のため屋根に上がった作業員は、安全帯を掛ける場所も踏み板もなかったため、スレート屋根の母屋部分に足をかけて移動していた。応急処置のビニールシートを外し、角材の固定作業にうつった際、バランスを崩しスレート屋根に足を乗せてしまい、工場内の床に墜落した。

原因・対策

本件労災は、高所作業にもかかわらず安全帯が使用できなかったこと、落下防止の防網、踏み板などの設置がされてなかったことに起因する。

このような災害は、高所作業場所に指揮者配置して安全に配慮することと、防網、安全帯が使用できるよう落下防止の措置を施すこと。さらに踏み抜きの可能性がある箇所に踏み板などを設置する事が挙げられる。


一人親方あんしん労災 – 外部足場で資材取り込み作業中に墜落した労災事故

一人親方あんしん労災 – 墜落、転落の労災事例

外部足場で資材取り込み作業中に墜落した労災事故


発生状況

本件労働災害は3階建て鉄骨の社屋建設工事にて、3階部分の作業用に使用する足場床を、外部足場から持ち送りを出し、そこに取り付けた滑車に縄をかけ人力により地上から引き上げる途中、外部足場4階部分の作業床上で受け取り作業中の被災者が墜落した事故。

事故発生前に別の作業を行った際、外部足場の建地に持ち送りを出し、そこへ滑車をかけて引き上げ作業を行っていた。被災者が4階部分に立ち、地上から引き上げられる物資を受け取り、3階部分へ搬入を行っていて、作業の邪魔になる3階部分の外部足場内部の筋交いは撤去されていた。

次に、同じ手法で、3階部分の作業足場床の引き上げを始めたが、作業を始める直前に取り込みに邪魔になる外部足場に設置されていた、4階部分の転落防止用の欄干も外された。足場床の引き上げ作業を繰り返し行っている最中、事業主が地上で足場板を縄に結ぼうとしていたときに、被災者が上から足場板を持ちながら、外部足場外側の地面に墜落してきた。

原因・対策

労働災害発生原因は、4階で作業をしていた作業員がバランスを崩したことにより転落したが、その際に転落防止措置用の欄干が外されており、必要な防止処置が全て解除されていたこと。

労働災害防止対策は、作業上の都合で足場から転落防止用欄干を取り外したとき、作業に支障がでない防網を用いたり、作業する人に安全帯を着用させるなど、従事者の危険防止措置を講じること。雇入れ時の安全・衛生教育を充分行うこと。安全な作業手順を作成の上、周知徹底することです。


一人親方あんしん労災 – クレーンのつり荷が足場に落下するとともに2人が足場より墜落して死亡したもの

一人親方あんしん労災 – 墜落、転落の労災事例

クレーンのつり荷が足場に落下するとともに2人が足場より墜落して死亡したもの


発生状況

災害の発生した工事現場は、事業場事務所に用いるための鉄骨造り2階建ての建築物で高さ12.7mを新築する工事中に、災害発生当日は前月に引き続き、鉄骨組立作業を実施した。作業は甲、乙、A社所属の丙の3人で、午前8時半頃から工事を始め、午前中に大柱の建方、梁の取付けなどを行い、午後2時ごろには現場に搬入されていた鉄骨材料の取り付けが全て終了した。

作業の指揮者である甲は、あらかじめ本締めのためのボルトを梁に上げておこうと考え、鉄骨材料をつり上げるために現場に来ていた20トン移動式クレーン、B社所有で運転手丁に作業させ、ボルトの入った段ボール箱を梁上につり上げることにした。 まずはじめに段ボールを吊り上げるために、甲が玉掛けを行って屋上梁上に足場板5枚、2階はり上に足場板6枚をつり上げ、次に甲と丙は地上で段ボールを鋼製足場板で、床付き布わくの上に総重量540kgで18袋を、3段に積み重ねた。箱の上には雨よけのためのシートをかぶせ、番線で箱に固定したが、箱自体を布わくに固定させるなどの処置をとらなかった。また、ワイヤロープは長さ4m、直径12.5mmのものを使用して、このワイヤロープを2本布わくのつかみ金具に結びつけ、各ロープの真ん中をクレーンのフックに引っかけつり上げた。

始めに屋上の梁の上に敷いた足場板の上に、布わくにのせたボルト入りの段ボール箱をつり下ろした。次に2階はり上の足場板の上にのせるため、前と同様、甲と丙が布わく上に段ボールを18個3段に積み重ね、シートをかぶせた後、甲が玉掛けをして、ロープをフックにかけ、少しつり上げたところで甲は2階梁の上に登っていった。2階の足場板上では、乙がクレーン運転士丁に対し、つり下ろしの合図をしていた。ところが布わくが足場板の真上に来た時、屋上梁に、吊り上げたものが接触して傾き、荷の段ボール箱が、屋上梁からくずれ落ち、約3m下の2階梁上の足場板4枚を破損し、このため足場上に少し前に登っていた、作業員甲が約6.7m下のコンクリート床に墜落して死亡した事故が起きたもの。

今回の災害には、1つ目は、当該建物の鉄骨構造は、その高さが5m以上であるにもかかわらず、鉄骨の組立等作業主任者を選任せず、作業計画を定めていなかった。2つ目は、合板足場板は結果として、作業構台として使用され、作業構台ならば組立図を作成し、最大積載荷重を定め、周囲に手すりなどを付ける必要があった。3番目は、甲、乙とも安全帯を着用していたが、取り付ける親綱などがなかったため結果として使用されなかった。A社では仮締め作業終了時に、本締め作業のためのつり足場および防網を設置する計画であり、災害発生時はまだ仮締めの段階であり設置されていなかったものであった。4つ目は、玉掛けは甲が行い、乙がつり下ろしの合図をしているが、甲は玉掛技能講習を修了しているものの乙は無資格者であった。

原因・対策

事故が起きた原因は、つり荷が荷くずれしやすい状態であったが、十分な措置をせず荷物をつり上げたこと。つり下ろしの合図をしていた乙は玉掛けの無資格者であり、合図等のやり方が未熟な点があったと思われ、クレーン運転手丁からははりなどがじゃまとなって、合図者の合図が見えにくかったこと。作業構台の強度が弱く問題があったと思われること。作業構台を設置したものの、手すりもなく、また、安全帯を取り付けるための設備も準備していなかったこと。 鉄骨組立等作業主任者は配置せず、作業方法の指揮などを行う者が居なかったことであった。

再発防止対策は、クレーンによりつり下ろし作業をする場合には、下ろす場所がはりなどが交錯し、かつクレーン運転手より視野が妨げられるような場合には、つり下ろし場所に近く、なおかつ運転手がより良く見える場所に配置する事、更に十分な技能を持った玉掛技能有資格者が合図を実施すること。作業構台の強度を持ったものにすること。荷くずれする恐れのある荷物について、もっこや、つり箱などを使用すること。仮締めなどで防網の設置が困難な場合でも、親綱など安全帯の取付け設備を設置するなど墜落防止の措置を講じること。鉄骨組立等作業主任者を選任し、作業方法および作業者の配置を決定させ、作業の指揮などを事前に作成すること。


一人親方あんしん労災 – 新築工事で外壁取付工事中に足場から墜落した事故

一人親方あんしん労災 – 墜落、転落の労災事例

新築工事で外壁取付工事中に足場から墜落した事故


発生状況

本件災害は、新築の鉄骨造り平屋建ての店舗工事において外壁材の取付工事をしている際に発生した事故になります。

この工事は、甲社が元請けの乙社から請け負っていたものであり、災害発生前日から躯体の防火用外壁の取付工事をしていた。災害が起きた当日は、作業開始前のミーティングで、甲社の作業員A(被災者)とBが躯体東側の、面戸といわっる屋根と外壁の取合い部分をふさぐものを取付作業中に、躯体西側柱上部の水切りと言われる、屋根と外壁等の突き付け部分の防水板を、防火サイディングの取付作業をすることになり、作業が始まりました。

作業を始めて1時間ほど経過し、躯体東側の面戸取付作業を終了した作業員AとBは、予定通り躯体西側へ移動し、露出した柱の上部へ防火サイディングおよび水切りを取り付ける作業を開始した。2人は水切り用鉄板、防火サイディング用化粧板等の資材及びカッター等加工用機械を準備して、躯体の北側から5番目と6番目の柱の間に設置されていた枠組足場の2段目の鋼製布枠上に仮置きしてから、6番目の柱から作業を始めました。Bが水切りの取付作業中に、Aが水切り取付箇所の防火サイディング取付作業に各々分かれ作業を進め、柱の水切りは、地上4.5mの柱と桁との取合い部分に帯状に取り付けるもので、その上に防火サイディングを取り付ける手順となっていました。

6番目の柱の水切り取付け後で、7番目の柱の水切り取付作業に移ったBは、途中で水切り用鉄板が足りなくなったため、6番目の柱の北側のブラケット足場上で化粧板の加工を行っていたAに対し、5番目と6番目の柱の間の枠組足場上に仮置きしてある水切り用鉄板を持ってくるよう依頼した。Aが5番目と6番目の柱の間に設置されていたブラケット足場に向かって歩いて行ったところ、足場板が持送り枠にかけ渡されていなかったことから足場板が支柱から外れて墜落し、作業員が死亡したもの。

躯体周囲の足場は、元請けの乙社により災害発生日の概ね約2週間前に設置されてから、躯体東側および南側は3段、西側および北側は2段であり一部3段になっているが、幅は60cmあった。また、柱が外に露出している躯体西側は、枠組足場と躯体壁面との間隔が広いため、幅50cmのブラケット足場が地上2.83mの位置に設置されていました。

本ブラケット足場は組み立てられた当初に、鋼製の足場板が2枚敷きで、三点にかけ渡されていたが、柱周りの防火サイディング取付作業に支障があるので、一枚敷きとして三点支持の両端をゴムバンドで固定して使用していた。なお被災個所の歩み板は中央だけゴムバンドで固定されていた状態であった。

原因・対策

事故が起きた原因は、1つ目が、ブラケット足場にかけられていた足場板が、転位、脱落しないよう2つ以上のブラケットに固定されていなかったこと。2つ目は、ブラケット足場を利用して行う作業の開始前に、足場の固定状態を点検していなかったためでした。

今後の対策は、足場を利用して作業を行う際には、作業を開始する前に、床材の取付け・かけ渡しの状態等を良く点検するとともに、床材が転位も、脱落もする恐れがないことを確認する体制にしたことと、床材は、転位、脱落しないよう2つ以上の支持物に確実に固定することを再発防止策にした。


一人親方あんしん労災 – ドラグ・ショベルのバケットに乗っている際の転落災害

一人親方あんしん労災 – 墜落、転落の労災事例

ドラグ・ショベルのバケットに乗っている際の転落災害


発生状況

災害が発生した工事現場は、農業用地を造成する工事で山地斜面を開懇し、畑地を造成する工事で、工事はほぼ終了していたが、造成工事中に雨水等によって土砂が流出し、農業用地の周辺部に沿った農業用水路に土砂が堆積していた。水路内の土砂を除去するので、ドラグ・ショベル1台、トラクターのけん引方式によるダンプトラック1台を使用し作業者3名で土砂の除去作業を実施した。

農業用水路の深さは1.7mあったが、厚いところではおおむね2分の1ほど土砂で埋まっており、 土砂の除去作業は、農業用水路沿いの築堤上に設けられた道路上を、ドラグ・ショベルを移動させながらバケットですくい取り、ダンプトラックに積んで近隣の土砂捨場に運ぶ方法で実施した。

災害発生当日、ドラグ・ショベルの運転手は、農業用水路内の土砂をすくっては道路の路肩部分に下ろして、トラクターの運転手は、ダンプトラックをけん引して、50mほど離れた土砂捨て場に土砂を捨てに行く作業をしていた。被災者は、農業用水路の中でドラグ・ショベルのバケットが土砂をすくいやすいよう、農業用水の土砂を集め土砂捨て場が土砂でいっぱいになり、土砂を捨てる場所がなくなったので、被災者に相談したところ、被災者は確認のため農業用水路の側壁を登って道路上に上がろうとした。しかし、登りきれなかったため、ドラグ・ショベルのバケットに乗って道路上に上がることにした。ドラグ・ショベルの運転手は、被災者をドラグ・ショベルのバケットに乗せ、アームを上昇させながら旋回し、道路上にバケットを降ろそうとしたところ、被害者がよろめくようにして用水路に転落して死亡したもの。

原因・対策

死亡の原因は、農業用水路から道路上に昇降するためのはしご等の昇降設備が設けられていなかったことで、登れなくなってしまったこと。ドラグ・ショベルのバケットに作業者を乗せて運搬しようとしてしまったこと。ドラグ・ショベルの運転者が無資格で作業してしまったこと。被災者が保護ヘルメットで頭を防御していなかったことで災害を防げなかった。

事故防止対策は、農業用水路から道路上に昇降するための安全な昇降設備を事前に準備しておくこと。ドラグ・ショベルのバケットに作業者を乗せて運搬しないよう徹底する。ドラグ・ショベルの運転は、有資格者に行わせること。作業員には保護ヘルメット装着させ作業にあたること。車両系建設機械の運転者の資格の有無、特定自主検査の実施状況について、元請業者の段階で事前にチェックするなど統轄安全衛生管理体制を確立する体制を構築する。

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