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建築/建設業界の労災事例

本サイトで紹介している労災事例は、実際にあった労災事故を掲載しておりますが、当協会によせられた労災事例ではありません。予めご了承ください。

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一人親方あんしん労災 – ダイバー2名が遭難

一人親方あんしん労災 – 有害物等との接触の労災事例

ダイバー2名が遭難


発生状況

本件労働災害は、ライトブイの設置に伴う潜水業務中に発生したものである。災害発生当日は午前9時ごろに2名のダイバーが水深45m地点まで潜水艦で潜った。海底には10分間滞在し、その後15分かけて浮上していく予定であった。

ところが浮上予定時刻になっても2名が水上に現れないため、待機していた別のダイバーが9時40分に事情調査のため潜水した。しかし2名を見つけることはできず10分後に浮上した。

潜水指揮者は緊急事態とみなし潜水艦を警戒船に近づけ、報告および潜水による捜索を行なったが30分経過しても発見することはできなかった。その数時間後、2名は現場からかなり離れた沖で見つかった。

潜水作業は通常2名のダイバーがバディを組んで行うため2名双方が同時に命の危険にさらされる事態は少ない。今回の場合も1名の所持する水中カメラには作業の途中経過が写されていたため、もう1名に窒素酔いなどの異常が発生し、それにパニックを起こしもう1人も遭難してしまったのではないかと考えられる。

原因・対策

本件労災の原因は、空気潜水の場合水深30mほどから窒素酔いが発生しやすくなるにも関わらず、特別な防止策を取らなかったことが挙げられる。またカメラを所持していなかったダイバーは潜水が久々であり窒素酔いを起こしやすい状態であったことも起因している。

このような災害の対策として、高圧タンクでダイバーに作業場所より高い圧を加えることによって体制をテストする方法や、深い潜水の前に何度か訓練として潜って体を慣らしておくといった窒素酔いを防ぐ方法をしっかりと取っておくことが挙げられる。


一人親方あんしん労災 – シックナーを清掃中、硫化水素を吸い込み倒れる

一人親方あんしん労災 - 有害物質との接触の労災事例

シックナーを清掃中、硫化水素を吸い込み倒れる


発生状況

本件労働災害は、酸化チタンの製造工場においてシックナーの清掃中、硫化水素を吸い込んで倒れたものである。

自己発生当日、当工場の二次下請けの作業者5名でシックナーに溜まっていた残渣を除去する作業を担っていた。シックナー内の中心付近には0.7メートル、その周辺には約0.4メートルの残渣があり、それらの影響で腐敗防止のために使われている塩化ビニル樹脂が削り取られてしまっている状態であった。まず、シックナーの蓋を外し、上澄み液を回収してから装置内の酸素濃度を測定したところ、作業に問題ない数値であった。そのため、被災者ははしごを使って内部に入り、残渣を穴から落とすためにスコップで突いたところ、そこから硫化水素が発生し、それを吸い込んでその場に倒れてしまった。

なお、被災者はガーゼマスクを着用し、胴長靴等の作業着を着ていた。

原因・対策

本件労災は、硫化水素が発生する可能性がある現場においてその測定をしておらず、さらに装置内の換気を実施していなかったことが原因で起きた災害である。また、シックナーを熟知している発注者が下請けの作業者に特別指導を実施せずに、資格を取得している者を作業主任者に選任しなかったことも原因である。

このような事故を防ぐために、硫化水素濃度の測定は継続的に行い、特に作業前は残渣を十分にかきまぜた上で換気をし、有機物を追い出すことが重要である。また、資格を取得済みの作業主任者を選任し、作業者に適切な指導を実施すること、元請けは危険発生箇所について詳細に記述した作業手順書を作成することも大切である。


一人親方あんしん労災 – クレーン車から木材12本が落下し、作業者に激突

一人親方あんしん労災 - 飛来、落下の労災事例

クレーン車から木材12本が落下し、作業者に激突


発生状況

本件労働災害は、木造3階建ての新築工事を行なっている際に、クレーン車で吊り上げた木材が落下し作業者1名に激突したものである。

事故発生当日、被災者を含む作業者2名で、移動式のクレーン車を用いて木材12本を3階に吊り上げる作業を担っていた。1人はクレーン車の運転を行い、被災者は荷物の玉掛けを行った。そしてクレーン車で吊り上げを開始したが、3階の木材を置く予定だった場所が埋まっていたため、一度地上に置き直すこととなった。運転手はクレーン車を旋回し指定位置に移動しようとしたところ、吊っていた木材が落下して、地上にいた被災者に直撃した。

クレーン車の運転者は運転資格を有していたが、玉掛けを行なった被災者は無資格であったため、玉掛けの際に複数の木材を結束しておらず、バランスが取りづらい状況で吊り上げを行う形であった。

原因・対策

本件労災は、木材を結束せずに木材を吊ったことや玉掛けの知識が十分でないものが作業を行なったこと、そして吊り荷の下に作業者を立ち入らせたことが原因で起きた災害である。

このような事故を防ぐために、バラものを吊り上げる際には正しい手順で結束をしてから玉掛けをすることである。また、玉掛けは資格所有者が行った上で、無資格の作業者に吊り荷の下には立ち入ってはいけないなどの安全教育を行うことも重要である。


一人親方あんしん労災 – 未固定の足場に踏み入り墜落

一人親方あんしん労災 – 墜落、転落の労災事例

未固定の足場に踏み入り墜落


発生状況

本件労働災害は、コンサート等を行うためのホールを建築する工事中に発生したものである。被災者は屋根の梁部分に該当する鉄骨の工事や小ホールの躯体仕上げを担当していた。災害発生当時は小ホールの作業床を組み立てていた。

今回足場はホールの4、5階に枠組み足場を4段組み、隙間に単管を起き足場床を支えた。そして鋼製足場板を敷いてステージの形にするというものであった。災害発生当日は鋼製足場板を敷き詰め緊結させる予定だった。

被災者は現場にいた職長と作業の確認をした後安全帯を取り付けるためのロープをくぐり、鋼製足場板が敷き詰められた箇所へ足を踏み入れた。

しかし緊結が未完了な部分があり、被災者はその箇所を踏み込んでしまったため足場板がシーソーのように単管を支点に大きく動き、そのまま墜落してしまった。このとき被災者は安全帯の着用を怠っていた。

原因・対策

本件労災の原因は、鋼製足場をすぐに緊結していなかったことや固定されていないにも関わらず被災者が足を踏み入れたことが挙げられる。また墜落の可能性がある足場での作業で安全帯を着用していなかったことなどが挙げられる。

このような災害の対策として、足場は固定するまで踏み入らないよう明確な表示をすることや、敷き詰めた後すぐに固定することが重要である。また足元が不安定な足場などでは安全帯の着用を徹底し、足場を設置する際にはその計画を工事が始まる30日前までに労働基準監督署に届け出る必要がある。


一人親方あんしん労災 – 薬剤が混ざり二酸化塩素中毒に

一人親方あんしん労災 – 有害物等との接触の労災事例

有機溶剤の蒸気を吸い込み倒れる


発生状況

本件労働災害は、木造家屋の洗浄中に発生したものである。家屋内の木造部分にある汚れを落とした後、日焼けやカビを取り除き仕上げに薬剤を塗布するというものであった。

汚れ落としにはフッ化水素を含んだ酸性の水溶液を使用し、仕上げの薬剤には過酸化水素水溶液と亜塩素酸ナトリウム水溶液を混ぜたものを使用した。作業場所は6畳間で、南側に位置する扉を開けていたものの風は通っていなかった。

始めに柱や天井など木造部分に汚れ落としを塗布したのち、乾燥したら仕上げの薬剤を上塗りすることになっていた。この時薬剤を水で薄めて使用する予定だったが、濃い方がより高い効果を得られると考えた被災者は薬剤を原液のまま塗り始めた。この時被災者は保護マスクを着用していなかった。

作業開始からしばらくして、喉に違和感を覚えた被災者は作業を中断し、休憩を取ることにした。しかし数分経っても息苦しさが緩和されないため、病院で検査したところ二酸化塩素中毒であることが確認された。

原因・対策

本件労災の原因は、1つめの薬剤の乾きが完全でないうちに別の薬剤を塗ったことで亜塩素酸ナトリウムを発生させたことや、通気性の悪い場所で作業したことなどが挙げられる。また呼吸用保護マスクを未着用であったことや薬剤を原液のまま塗布したことも起因している。

このような災害の対策として、薬剤を扱う際には必ず使用量や使用方法を守る必要がある。また必ず十分な換気を行い呼吸用保護具も適切に使用することが重要である。

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