建築/建設業界の労災事例
本サイトで紹介している労災事例は、実際にあった労災事故を掲載しておりますが、当協会によせられた労災事例ではありません。予めご了承ください。
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一人親方あんしん労災 – ガス溶断作業中に火災
一人親方あんしん労災 – 火災の労災事例
ガス溶断作業中に火災
発生状況
本件労働災害は、鉄筋製で2回建ての倉庫を解体する作業中に発生したものである。災害発生時は倉庫の1階部分にある鉄骨とデッキプレートでできた保管棚をアセチレンガスで溶断する作業中であった。
作業開始前に現場責任者は、日雇い作業者に対し倉庫の1階はほぼ密閉状態であるため作業は水道ホースを這わせながら行うことや、防火用バケツ・消化器の設置、作業前の床に水撒き、溶断作業は煙を発するので適宜休息をとることなどを指示していた。
作業を担当した作業者3名はアセチレンガスを以前取り扱ったことがあると報告していたため、責任者から具体的な使用方法や作業場所の指示については行わなかった。
昼休憩の後も3名の日雇い作業者は作業を続行していたが、しばらくして右側の側面から出火が確認された。作業者の1人が消化のため水道にホースをつけ水を出そうとしたが、黒煙が発生したためそのまま退避した。
現場の壁面には断熱材としてウレタンフォームが吹き付けられていたが、説明はされていなかった。またガス溶断の資格に関して責任者は作業者全員が資格を所有していることを口頭で確認したが、実際には誰も資格証を保有していなかった。
原因・対策
本件労災の原因は、ウレタンフォームが燃えやすい材料であったにも関わらず吹き付けられていることを伝えていなかったことや、資格を持たないものが作業をガス溶断の作業を担当してしまったことなどが挙げられる。
このような災害の対策として、作業場所に関する説明は詳細部分まで怠らないことや、資格の有無は口頭ではなく資格証の提示を求めて確認することが重要である。
掲載日:2019年8月30日
一人親方あんしん労災 – 有機溶剤を含む接着剤付近でガスバーナーを使用し火災
一人親方あんしん労災 – 火災の労災事例
有機溶剤を含む接着剤付近でガスバーナーを使用し火災
発生状況
本件労働災害は、高校校舎の改築工事を行う際に発生したものである。事故前日には内装、外装ともに仕上げの段階となっており、当日は校舎4階のベランダの防水工事を実施する予定だった。
防水工事の手順は、コンクリートの床、断熱材として敷かれたポリエチレンシートに有機溶剤を含む接着剤を塗る→塗布した面を下にして断熱材をコンクリートの床に貼り付け→断熱材の上に接着剤を塗る→その上に防水シートを貼るというものであった。
しかし前日の雨の影響で現場は水浸しになっており、先に雨水を除去する作業が必要となった。職長はプロパンガスバーナーの火で床を炙ることで水分を飛ばす方法をとることにした。
職長はベランダの南側から雨水を除去し、乾燥した箇所から接着剤を塗るように被災者に指示した。しかし作業開始からしばらくしてガスバーナーの火がベランダをつたって接着剤に引火した。そのまま被災者の作業服に火が写り被災者は火傷を負った。
原因・対策
本件労災の原因は、有機溶剤を含む接着剤を塗布するすぐ近くで火気を使用していたことや、ベランダという風通しの悪い作業場所であったことにより有機溶剤が滞留しやすかったことなどが挙げられる。
このような災害の対策として、有機溶剤を使用する場合には火気の使用を控えることがまず第一に重要である。また作業場所や状況も考慮し火災が発生することのないよう有機溶剤に対する注意意識を強く持つことも重要である。
掲載日:2019年5月15日
一人親方あんしん労災 – 接着剤の含有成分ノルマルヘキサンに引火
一人親方あんしん労災 – 火災の労災事例
接着剤の含有成分ノルマルヘキサンに引火
発生状況
本件労働災害は、レストランで利用する食品材料を保管するための冷凍倉庫を新築する現場で発生したものである。倉庫は鉄骨造りで平屋建て、床面4.0×8.5m・天井の高さ2.5mで窓がなく開口部は入り口と換気口のみで通気の悪い状態だった。
災害発生当日は9名の作業者で倉庫の天井や壁に断熱材を二重に貼る作業を行った。具体的には倉庫内で断熱材(90×180㎝)に接着剤を塗布→10分放置しノルマルヘキサン(ゴム系接着剤に20%ほど含まれている物質)を蒸発させる→天井、壁に貼り付けるという手順で行うことにした。
このとき通常は断熱材の裏に「田」字を書くように塗布するものを裏面全体に塗っていた。作業開始から5時間後、天井と壁の貼り付け作業が完了したところで休憩を取り、サノゴ床面への貼り付け作業を同じ手順で開始した。
作業開始から2時間後、倉庫の入り口付近に置いていた投光器の辺りから突然発火し、直後に炎が現場一面を覆い作業員の複数名が火傷の被害にあった。その後の調査で現場には接着剤が18ℓ入った缶2つを蓋を開けたまま置いていたことや、投光器に防爆構造はなくコードが損傷していたことが判明した。
原因・対策
本件労災の原因は、通気の悪い作業現場かつノルマルヘキサンの引火点がマイナス22℃と極めて低いにも関わらず換気していなかったことや、投光器に防爆構造がないものでありコードの損傷もあったことなどが挙げられる。
このような災害の対策として、有機溶剤を使用する際は必ず換気することや電気器具は防爆構造のあるものを利用することが重要である。
掲載日:2019年3月9日
一人親方あんしん労災 – 石油精製工場の定期修理中に火災
一人親方あんしん労災 – 火災の労災事例
石油精製工場の定期修理中に火災
発生状況
本件労働災害は、石油を精製する装置の定期修理を行う工事中に発生した。この工事は精製の工程の部門ごとに運転を停止し、油やガスなどを除去した上で火気による修理を行うというものだった。
災害発生当日は、各工程のうち常圧蒸留部門の軽油を脱硫する部門の修理工事を行うことになっていた。ここでは窒素ガスを導入し8、26、46kg/cm2Gの圧力で点検を行い、次に接触改質部門から副生成分の水素を主に含んだ可燃性のガスを導入し79kg/cm2Gの圧力で最終テストを行う予定だった。
窒素ガスの導入には1、2インチのバルブを使用し、可燃性のガスには8インチのバルブを用いることになっており7、28kg/cm2Gで点検する際は2インチのバルブを、46kg/cm2Gの点検では2インチの窒素ガスが不足したため1インチで行なった。
このテスト後窒素ガスの圧力を40kg/cm2Gまで下げ、次いで8インチのバルブを使用し可燃性ガスを加えて導入し79kg/cm2Gの圧力で気密テストを行った。このとき並行して常圧蒸留部門でも修理を行なっており、ヘッダーボックスのカバーを元の位置に設置する際にナットを電動インパクトレンチで締め付けた、火炎が吹き出し火災が発生した。
原因・対策
本件労災の原因は、1インチのバルブが解放されたまま可燃性ガスを導入したことや、同熱交換器の補修工事に使用した電動インパクトレンチがきっかけで可燃性ガスに火がついたことが挙げられる。また可燃性ガスを用いたテスト中に火気を使用するなど工事の作業計画が甘かったことも起因している。
このような災害の対策として、ガスの逆流を防ぐ逆止弁を取り入れるなど安全対策を徹底することや、可燃性ガスを用いる場合には火気の使用を禁止することが重要である。
掲載日:2019年1月30日
一人親方あんしん労災 – ドラム缶の中の廃棄物が発火
一人親方あんしん労災 – 火災の労災事例
ドラム缶の中の廃棄物が発火
発生状況
本件労働災害は、分電盤の取り付けとそれに付随して必要な配線工事などを行う際に発生した。主な作業内容は配管の設置とプールボックスの据付けで、当日はプールボックスを取り付ける作業を行うことになっていた。
配管ダクトは銅のアングルで骨組みがされ、その外側にたる木が組まれており外部を耐火スレート板で被覆したものであった。まず配管ダクトにはしごをかけ配管ダクトの中に出入りできる穴を作り、その後新しいアングルの溶接を開始した。
作業は被災者を含む2人で、配管ダクトの骨組みアングルを足場にして行われた。被災者がアングルを支える担当で、もう1人がアーク溶接のホルダーを持って溶接していた。ところが作業開始からしばらくして、被災者らの下にあったドラム缶が突然燃え上がった。
ホルダーを持っていた作業員はすぐにアングルから降りたため被災しなかったが、逃げ遅れた被災者は作業着に火が燃え移ってしまい火傷を負った。ドラム缶には蓋がなく、中には水、切削油、アルミニウム合金ダイカストの研磨粉、加硫ゴムの研磨粉といった廃棄物が入っていた。
原因・対策
今回の発火の原因として、アルミニウムの研磨粉と水が反応し水素が発生したことで溶接のスパッターが発火した可能性と、研磨粉がスパッターにより直接燃えた可能性の2つが挙げられる。
このような災害の対策として、作業場所にあるものは廃棄物であろうと詳細に調査し、現場の安全が確保されているか適切に判断する必要がある。また廃棄物を捨てる際にも物質の性質をよく理解し正しく処理することが重要である。
掲載日:2018年12月3日
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